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電子カルテ 医師 事務長 2023.11.29 公開

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クラウド型電子カルテとは?普及率や導入メリット

クラウド型電子カルテという言葉を最近よく耳にする方も多いのではないでしょうか。初期費用が安く抑えられる、インターネットに接続していれば、場所や端末を選ばずに利用可能といったイメージがあるものの、実際にクラウド型電子カルテがどういうものなのかを正しく理解するのは難しいものです。今回は、クラウド型電子カルテの仕組や特徴、導入メリットなど詳しく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #機器選定ポイント #セキュリティリスク #紙カルテの電子化 #システム入替

目次

診療所向け電子カルテが誕生して約20年が経ちました。2010年には医療分野でのクラウドコンピューティング(以後、クラウド)が解禁となりました。クラウド解禁から10年以上が経過し、クラウドの期待が膨らんできています。


クラウド電子カルテとは

クラウド電子カルテとは、インターネット回線を通じてサーバーに保存されたデータを利用する電子カルテのことです。クラウド型電子カルテと呼ぶ場合もあります。

クラウド型電子カルテは、インターネットを利用するため、院内だけでなく介護施設など外部からアクセスできることが主な特徴です。

2010年の医療分野のクラウド解禁以来、医療の現場でもクラウドサービスが増加傾向にあります。電子カルテもクラウド型のサービスが出てきました。

クラウド電子カルテとは

電子カルテの仕組みとは

電子カルテとは、患者の症状や治療内容などをパソコンなどで入力し、それらの情報を管理するシステムです。電子カルテのシステムには、大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」があります。オンプレミス型は、医療機関のサーバーに患者の情報を保存するシステム。クラウド型は、専門業者のサーバーに患者の情報を保存します。

また、これまで主流だった紙カルテは、費用を抑えられるというメリットがありますが、紙カルテを保管する場所が必要で管理が煩雑になったり、紙が劣化すると過去のデータが見えなくなったりするなどのデメリットがあります。それに対して電子カルテは、半永久的に保管できるほか、情報を管理・検索しやすいというメリットがあります。ただし、パソコンやサーバーにトラブルが起きると使えなくなるため、停電や災害などでサーバーがダウンしたときなどにも対処できる環境を整備しておくことが大切です。

現在、わが国には40社を超える電子カルテメーカーが存在します。ここでいう電子カルテとは、狭義にはカルテの電子化を指し、広義には診療所の基幹システムとして位置づけられ、様々な周辺システムと連携することで、診療所の業務全体をサポートするシステムと言えます。

電子カルテに関して、詳しく知りたい方はこちら

クラウドとは

クラウドとは一言でいうと、インフラやソフトウェアを持たなくても、インターネットを通じて、サービスを利用できることをいいます。これまでハードウェアを購入したり、ソフトウェアをインストールしたりしないと使えなかったサービスも、クラウドの出現によりオンライン上で利用できるようになりました。

クラウドとは雲(cloud)を意味する言葉ですが、なぜ「クラウド」と呼ばれるようになったかは諸説あるようです。インターネットを図解する際に、雲の絵を描いて表現したことが発端ともいわれています。

クラウドを使ったクラウドサービスとは、次の3つがあります。

SaaS(サース:Software as a Service)…ネットワークを経由してソフトウェアを提供するサービス
PaaS(パース:Platform as a Service)…プラットフォームをネットワーク経由で提供するサービス
IaaS(イアース:Infrastructure as a Service)…サーバー(インフラ)をネットワーク経由で提供するサービス

病院で利用されるクラウド電子カルテは、1つ目のSaaSに分類されます。インターネットに接続できる環境があれば、外出先でも必要なときに電子カルテなどの情報にアクセスすることができます。介護施設、訪問診療など病院の外であっても、スマートフォンやタブレットがあれば、カルテを確認したり、書き込んだりすることができるので、在宅医療を中心に普及が始まっています。

参考
総務省「クラウドサービスとは?」
ICT Business Online「クラウドとは」

オンプレミス型電子カルテとは

オンプレミス型電子カルテは、病院やクリニック内に情報機器を設置してデータの保存や管理などが行えるシステムです。サーバーや必要な機器を院内に設置しているため、「動作が速い」や「セキュリティが高い」などのメリットがあります。また、オンプレミス型はクラウド型に比べて自由にカスタマイズができるなど、機能面にも優れています。

そうしたメリットがある一方で、オンプレミス型はサーバーやパソコンなどの専用機器を購入しなければいけません。クラウド型と比べると初期費用が高くなることが一般的です。また、アップデートや更新作業も行う必要があり、クラウド型より手間や費用がかかります。

クラウド型電子カルテとオンプレミス型電子カルテの違いについて詳しくはこちら

電子カルテのクラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の比較

電子カルテのシステムの種類には、「オンプレミス」と「クラウド」、「ハイブリット」があります。

オンプレミスは、電子カルテのデータを保存するサーバーを院内に設置するシステムです。オンプレミスは、自院だけで活用するため自由度が高く、自院独自のシステムをつくることができます。

クラウドは、インターネットなどネットワークに接続されたサーバーにデータを保存するシステムです。インターネットに接続できればどこからでも作業ができます。ただし、停電などによりインターネットに接続できないと電子カルテは利用できません。

ハイブリットは、院内のサーバーとクラウド上のサーバーにデータを保存するシステムです。院内のサーバーが接続できなくなったときは、クラウド上のアプリケーションに切り替えることができます。

オンプレミス クラウド ハイブリッド
サーバー 院内に設置 企業サーバを利用 院内サーバ/企業サーバ併用
端末 基本は指定だが、最近は選べるように スペックを満たしていれば自由に選べる スペックを満たしていれば自由に選べる
利用場所 基本は院内、外部に持ち出す場合は別途設定 インターネットがつながればどこでも可能 外部に持ち出す場合は別途設定
インターネットセキュリティ インターネットにつながない場合は、外部からの侵入の脅威はない インターネットにつなぐ場合アンチウィルスやファイアウォールなどの対策が必要 インターネットにつなぐ場合アンチウィルスやファイアウォールなどの対策が必要
ネットトラブル 影響あまりなし 影響あり 随時切り替えて利用
スピード サーバに依存 回線速度に依存 サーバに依存
カスタマイズ 自由度が高い ほとんどできない ある程度の自由度はある
設置・操作指導 パッケージに含まれる 別料金 パッケージに含まれる
連携 システムや医療機器との連携実績は多い システムや医療機器との連携実績は少ない システムや医療機器との連携実績は多い
価格 パッケージ価格(イニシャル+ランニング) サブスクリプションモデル(月額定額) パッケージ価格(イニシャル+ランニング)
※ソフトはサブスクリプションモデルのケースあり
リプレイス OSのバージョンアップに合わせて買い替え(5年~6年) ハードのみ定期的に買い替え ハードのみ定期的に買い替え
クライアント数 クライアントごとにソフトが必要 同時アクセスする端末数で設定 クライアントごとにアプリが必要
サポート 訪問、リポート、電話、FAX オンライン(訪問は別料金) 訪問、リポート、電話、FAX

電子カルテの普及率

厚生労働省の調査によると、2020年の一般病棟における電子カルテ普及率は57.2%、一般診療所では49.9%でした。

以下、詳しい調査結果です。

2008年 2011年 2014年 2017年 2020年
一般病院 14.20% 21.90% 34.20% 46.70% 57.20%
病床規模別 400床以上 38.80% 57.30% 77.50% 85.40% 91.20%
200〜399床 22.70% 33.40% 50.90% 64.90% 74.80%
200床未満 8.90% 14.40% 24.40% 37.00% 48.80%
一般診療所 14.70% 21.20% 35.00% 41.60% 49.90%
電子カルテ普及率推移
▽参照
厚生労働省 電子カルテシステム等の普及状況の推移(PDF)

一般病院の病床別に見ると、400床以上では91.2%と高く、厚生労働省が目標としていた90%に達成しています。その一方で、200床未満の小規模な病院では48.8%と、普及率は半分以下です。

厚生労働省は、未だ導入が進んでいない400床以上の一般病院も含め、200床以上の一般病院での普及率を85%まで引き上げることを2025年の目標としています。

クラウド型電子カルテは院外での作業が多く、スピードの影響が少ない「在宅医療」を中心に普及が進んでいます。なぜなら、在宅医療はその日に会計処理がなく(月1回の会計処理)、1日の訪問患者数も10人程度のため、それほどスピードが求められないためです。

一方で、診察のたび、毎回会計処理が必要な「外来医療」では、スピードが安定しているオンプレミス型を導入するケースが一般的です。

外来医療では、よく使用する処方、処置、検査、画像などのセット化がスピードアップにつながります。瞬時に行えるカルテ記載とオーダー指示、病名検索など、カルテ作成にかかる業務の全てをセット化することも少なくありません。

自院にとって、効率的で安心かつ質の高い医療サービスを提供するためには、クラウド型・オンプレミス型いずれの電子カルテが適しているかよく検討し、ICT活用を推進することが重要です。

クラウド型電子カルテの導入メリット

クラウド電子カルテ導入のメリット

医療機関はクラウドに対してどんな期待を持っているのでしょうか。たとえば、「導入コストの低下」や「システムの持ち出し」、「デバイスフリー」、「障害・災害対策」、「多職種間連携、地域連携」などが挙げられます。それぞれのメリットは、クラウド型でなければ実現出来ないものでしょうか。

サーバー設置不要のため導入コストが低い

クラウドサービスは院内にサーバを設置せずに、企業が保有するサーバ上のシステムを多数のユーザーでシェアをするという性格から、「導入費用の低下」が期待できます。

院外に端末を持ち出せる

クラウドサービスは、インタ―ネットに接続できる環境があれば、どこでも使用可能になるため、電子カルテを院外に簡単に持ち出すことが可能になります。在宅医療の普及が進む現在、システムを院外に持ち出すニーズは増えています。

電子カルテを院外に持ち出す方法は、「データを抜き出す」「リモートで院内のサーバにアクセスする」「クラウドで電子カルテを使用する」といった3つの方法が考えられます。

メディコムは、「往診端末」「リモートカルテ」を用意し、ニーズに対応しています。

デバイスフリー

タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末の急速な普及に伴い、モバイル端末を気軽に利用したいというニーズも増えています。クラウドサービスでであれば端末を自由に選べる(デバイスフリー)のではないか、と期待しているのです。
メディコムは、それらのニーズに応えるために、「タブレット医療支援」を用意し、院内・院外を問わずモバイル端末の利用が可能です。

クラウド上サーバーによる障害・災害対策

我が国は毎年のように地震や水害などの自然災害に見舞われており、いつそのような被害にあうか分かりません。そのような災害への備えとして、クラウドサービスを選ぶケースもあるでしょう。メディコムの「クラウドバックアップソリューション」を活用すれば、自然災害の備えが可能となります。自動的にクラウド上のサーバにバックアップを行いますので、災害などで電子カルテのデータが消失することはありません。

地域連携、多職種間連携

2025年の地域包括ケアの完成に向けて、各地で地域連携ネットワークが構築されています。また、在宅医療では、医師、看護師、ケアマネージャー、薬剤師、セラピスト、介護支援員など様々な職種との情報共有が重要です。地域をあたかも大きな病院と見立て、緊密なやり取りを行っていく必要があるのです。
地域連携ネットワークの多くがNECの「ID・Link」と富士通の「Human Bridge」を利用しています。メディコムはどちらのシステムとも連携可能ですので、地域連携のネットワークに速やかに対応できます。

クラウド型電子カルテの導入デメリット

クラウド型電子カルテを病院やクリニックに導入することで、さまざまなメリットをもたらします。しかし、デメリットもあります。導入前にメリットだけではなく必ずデメリットも把握しましょう。

クラウド電子カルテ導入のデメリット

インターネット接続が必須

クラウド型電子カルテのデメリットの1つとして、インターネット接続が必須であることが挙げられます。なぜなら、電子カルテを使用する時、インターネットに接続してデータを確認するためです。

クラウド型電子カルテは、患者カルテが必要な場合、パソコンやタブレットを使いインターネット上のサーバーにアクセスして利用します。インターネットの接続状況が安定しなければ、効率的に活用できません。

月額費用でトータルコストが膨大の可能性

他のデメリットに、月々の費用がかかることがあります。クラウド型は業者のサーバーを利用するため、利用料が発生するのです。たとえば、業者のサーバーを使う場合はメンテナンスや更新作業などを含めた利用料を支払わなければなりません。クラウド型は病院やクリニック内に設備を整える必要が無い分、定期的に費用が発生します。

操作時に反応が遅いと感じる場合がある

クラウド型電子カルテは、院内にサーバーを設置しているオンプレミス型に比べて、操作時に反応が遅いと感じる場合があります。クラウド型は、データ更新時にクラウドサーバーを使用するため、インターネット回線やサーバーの性能などによって、多少タイムラグが生じる可能性があります。

クラウド型電子カルテを導入する際は、実際にデモ版などで操作性を確かめてみることをおすすめします。

クラウド型電子カルテの普及

イメージ

現時点で、クラウド型は院外での作業が多く、スピードの影響が少ない「在宅医療」を中心に普及が始まっています。なぜなら、在宅医療はその日に会計処理がなく(月1回の会計処理)、1日の訪問患者数も10名程度のため、それほどスピードが求められないためです。
一方で、院内で安定的なスピードで使用したい「外来医療」では、スピードが安定しているオンプレミス型が主流です。外来医療は毎回会計処理が必要であり、1日の外来患者数は60名を超えるためです。
スピードが求められる外来医療では、よく使用する処方、処置、検査、画像などをセット化することがスピードアップにつながります。できるだけ素早くカルテの記載をしたい外来医療の現場では、カルテ記載とオーダー指示、そして病名など、カルテ作成にかかる業務の全てをセット化することさえあります。昨今では、医師の負担軽減の観点から電子カルテ操作を医療クラークに代行させるケースもあります。いかに医師から電子カルテの負担を取り除くかが重要であることが分かる事例です。

現場を知り尽くしたインストラクターが良きパートナーに

多くの患者を診察する外来医療では、できるだけ電子カルテの操作を簡単に行う必要があります。電子カルテ操作を簡単にするためには、現場を十分に理解した「インストラクター」と実際の運用をイメージしながら、しっかりと相談をしながら、最適なセットを作ることが大切なポイントです。もし仮に、医師自らが電子カルテのセッティングを行う場合は、膨大な時間とシステム運用に関する知識が必要になります。
様々な現場を経験し、運用を熟知したインストラクターとともに電子カルテを作り上げることが、電子カルテの安定稼働に向けての近道であり、ストレスなく電子カルテを利用する秘訣と言えるでしょう。長年の実績のある電子カルテメーカーのインストラクターは快適な電子カルテライフをサポートしてくれることでしょう。

外来医療は様々な周辺システムとの連携が重要に

外来医療では電子カルテを単独で利用するケースはほとんどありません。いまでは、「画像ファイリングシステム」をはじめ、「外注検査」「診療予約システム」などの周辺システムと電子カルテを連携して使用することが一般的です。昨今の働き方改革などの影響から、「自動精算機」や「セルフレジ」などと接続する場合も増えてきました。
外来医療では、様々な周辺システムとトータルな連携が必要になっています。仮にシステム同士の連携ができなければ、システムごとに患者登録をしなくてはならず、業務効率を著しく損ないます。このシステム間連携については、過去の接続実績に依存するため、長年の実績のある電子カルテメーカーが得意とするところです。

電子カルテのクラウド化サービス紹介

クラウド型電子カルテについてよくある質問

クラウド型電子カルテのセキュリティは大丈夫でしょうか?

クラウド型電子カルテのデータは、外部から判読できないよう暗号化され、サーバーに保存・管理されます。また、PCとサーバー間の通信も暗号化され、外部から改ざんされにくくなっています。

さらに、クラウド型電子カルテは、セキュリティ対策が厳重です。不正アクセスが検出された場合、不正侵入を監視する不正侵入検知システム(IDS)によって、サーバー管理者に通知されます。ファイアウォールは、外部からの不正アクセスをブロックし、データを守ります。

クラウド型電子カルテの費用相場はどれくらいでしょうか?

クラウド型電子カルテの費用相場は、月額利用料1万〜4万円程度です。導入にあたって、新しくパソコン機器を購入するのか、既存の院内のパソコンを利用するかによって費用が異なります。

一般的に安価に利用できるクラウド型電子カルテですが、サポートやオプションなど、求める機能によって導入費用は異なるため、具体的な費用はメーカーや業者へ相談が必要です。

メディコム製品のご紹介

著者情報

大西 大輔

MICTコンサルティング(株) 代表取締役
大西 大輔 氏

2001年 一橋大学大学院(MBAコース)卒業
2001年 病院経営コンサルティングファーム「 日本経営グループ」入社
2002年 医療IT機器の展示場「メディプラザ」設立
     東京、大阪、福岡の3拠点を管理する統括マネージャーに就任
2016年 独立して「MICTコンサルティング(株)」を設立

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