レセコン(レセプトコンピュータ)とは?電子カルテとの違いや現場が使いやすい選び方を解説
収益の要となるレセプト作成を担うレセコン(レセプトコンピュータ)の導入では、機能やコスト以上に「現場のスタッフが業務をスムーズに行えるか」が決め手です。複雑化する診療報酬制度のもと、現場には常に正確さとスピードが求められます。使いにくいシステムを選んでしまうと、入力ミスによる返戻や業務遅延、スタッフの疲弊など経営面に影響を及ぼしかねません。本記事では、レセコンの基礎知識や種類、電子カルテとの違いを解説し、現場の負担を減らして健全な経営に寄与する導入ポイントを紹介します。
※本内容は公開日時点の情報です
#開業検討 #機器選定ポイント #業務効率化 #システム入替
目次
レセコンとは診療報酬明細書(レセプト)を作成するコンピューターシステム
レセコンとは、レセプトコンピュータの略称で、診療報酬明細書(レセプト)を作成するシステムです。かつてレセプト作成は手書きで行われ、複雑な点数計算と専門知識が必要な負担の大きい作業でした。
1972年に日本初のレセコンが登場して以来、診療報酬の自動計算が可能になり、医療事務スタッフの負担は劇的に軽減されました。レセコンは単なる請求書作成ツールにとどまらず、受付業務での患者情報登録や診療報酬の点数入力、会計処理など幅広い業務に対応します。
経営データ分析機能を備えた製品もあり、医療機関経営の根幹を支えるシステムの1つです。

レセコン導入のメリット
レセコン導入によるメリットは1つではありません。
業務効率化の面では、診療報酬の自動計算により手作業が削減され、スタッフが患者対応や相談業務に集中できる環境が整います。
また、正確性の向上も見逃せない利点です。人的ミスが減り、返戻(レセプトの差し戻し)による入金遅延を防ぎ、安定した収益確保につながります。
結果として、コスト削減効果として作業効率化により残業時間が短縮され、人件費の最適化も図れます。レセプト業務は月末・月初に集中する傾向にありますが、レセコン導入で業務を平準化できるため、スタッフの負担軽減と離職防止にも寄与するでしょう。
蓄積されたデータは経営分析に活用できます。自院の患者層把握や診療内容の可視化など、戦略や収益改善のサイクルを回すことで、レセコン導入のメリットは最大化できます。
レセコンと電子カルテの違い|連携の重要性
レセコンと電子カルテは別々のシステムであり、連携の出来不出来が日々の運用を左右するシステムでもあります。
電子カルテは診療情報の記録と管理を目的とし、主に医師や看護師が診療時に使用します。
一方のレセコンは、診療行為を診療報酬点数に変換してレセプト作成を行うシステムです。主に医事課や受付スタッフが事務処理で使用します。
両システムを連携させれば、受付から診療・会計まで一元管理が可能になり、データの二重入力も不要です。レセコンと電子カルテの違いについて、より詳しく解説した記事もあるため、あわせてご覧ください。
関連記事:電子カルテとレセコンの違いを解説。連携すれば真価を発揮
レセコンの種類とそれぞれの特徴
レセコンは開発主体により2つに分類されます。
1つ目は日本医師会が開発した「日医標準レセプトソフト(ORCA)」です。※全国140社(2025年10月20日時点)のORCAサポート事業所が導入・設置・サポートを担当し、ソフトウェア本体は無料で利用できます。
※出典:日本医師会総合政策研究機構「新規導入支援 日医IT認定サポート事業所リスト 2025-10-20時点 」(https://search.orca.med.or.jp/support/pdf/nintei-list-2025-10-20.pdf)
2つ目は企業が開発した「メーカー製レセコン」です。1972年に日本初のレセコンを発売したウィーメックスのMedicomシリーズをはじめ、現在は数社の大手メーカーに集約されています。診療報酬に精通した専門スタッフが手厚いサポートを提供する点が強みです。
レセコンメーカーの比較と選び方は以下の記事で詳しく解説しているため、選定時の参考にご活用ください
関連記事:レセコンメーカーの選び方とは?選ぶ際のポイントを紹介
現在の主流は「レセコン一体型電子カルテ」
近年は、電子カルテとレセコンが1つにまとまった「レセコン一体型電子カルテ」が主流です。一体型では、電子カルテへのデータ入力が自動的にレセコンに反映されるため、情報が分散せず1つの画面で業務を完結できます。
とくに、医療のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む現在では、オンライン資格確認との連携において一体型の利点が顕著です。
具体的には、患者さんの保険情報取得による受付業務の手間削減に加え、薬剤情報や特定健診情報を自動連携できるため、より質の高い医療提供と効率的な運用を両立できます。
また、サーバ設置費用やメンテナンス費用も1システム分で済むため、トラブル時の問い合わせ先も一本化でき、有事の際の対応もスピーディです。
なお、電子カルテの「レセコン一体型」と「レセコン分離型」の選び方は、以下の記事で解説しているため、参考になさってください。
関連記事:電子カルテは「レセコン一体型」と「レセコン分離型」どっちを選ぶべき?
レセコンを比較し、導入する際のポイント
レセコン選びで重視すべきは「現場の運用がスムーズに動くかどうか」です。具体的には以下、5つのポイントが挙げられます。
- 初期費用・運用コスト:トータルコストと自院の経営計画が合うか
- 操作性・見やすさ:毎日利用するシステムのためスタッフが使いやすいと感じるか
- チェック機能:レセプト点検の作業負担を軽減できるか
- サポート体制:診療報酬改定対応と日々のトラブル対応の体制があるか
- 他システムとの連携のしやすさ:オンライン関連の機能と連携できるか
日々の運用に関わるシステムのため、上から順に確認して絞り込んでいくと、後悔のない選定ができるでしょう。
より詳しい内容は以下の記事で解説しているため、参考になさってください。
関連記事:レセコンメーカーの選び方とは?選ぶ際のポイントを紹介
ウィーメックス(旧PHC株式会社)のレセコンの特徴
ウィーメックスは、1972年に日本初のレセコンを発売したパイオニアで、約50年の歴史に裏付けられた信頼性を有します。
現場の声を活かした直感的な画面設計と、豊富な入力アシスト機能により、ITに不慣れなスタッフでも使いやすいシステムと評価する声も頂戴しています。
また、チェック機能では、入力中のレセプトデータに対してもリアルタイムでチェックするほか、独自の「点検アシスト」機能により、適正な診療報酬請求を強力にサポートします。
全国150拠点以上(※1)のサポート体制により、診療報酬の複雑なルールや改定内容にも迅速に対応でき、全国約70拠点の保守サービスで万が一の緊急時も安心です。(※2)
※1:販売代理店、保守サポート提携先を含む
※2:拠点数は2024年4月時点の数値
販売・サポートしている製品(サービス)紹介
ウィーメックスでは、クリニック・病院・保険薬局それぞれの業務特性に最適化されたシステムで、現場の効率化を支援しています。以下より、各製品の特徴とレセプト業務を効率化するサービスをご紹介します。
【クリニック向け製品】Medicom-HRf core
なカスタマイズも可能な柔軟性が特徴です。新規開業時の初期投資をおさえながら、将来的に電子カルテへステップアップする際もスムーズに移行できる設計で、運用変更のストレスを最小限におさえます。また、豊富なチェック機能により、ミスや漏れのないレセプト作成でクリニック経営を支えます。なお、Medicom Cloud運用継続サービスとの連携で、データのバックアップ強化も可能です。
製品の詳細はこちらから:クリニックと共に成長する医事コンピューター Medicom-HRf core
【病院向け製品】Medicom-HSif
受付から会計までの医事業務を簡単な作業で処理でき、点検アシスト機能が正確なレセプト作成をサポートします。レセプトを紙に印刷する必要がなく、画面上で即座に内容を修正できるため、レセプト点検の効率性向上に寄与します。また、統計アシスト機能により病院経営の見える化、電子カルテシステムとの連携、さらにはMedicom Cloud運用継続サービスバックアップも万全です。
製品詳細はこちら:病院用医事コンピューター Medicom-HSif
【保険薬局向け製品】PharnesX-EX
わかりやすい操作画面で薬剤師の業務をストレスフリーにし、医薬品に関する情報をインターネット経由で配信します。Medicom Cloud運用継続サービスにより、障害・災害発生時にもデータを守り薬局運営の継続性に貢献する安心設計です。クラウドサーバと薬局内サーバがリアルタイムで同期し、大切な顧客データが常時双方に複製保存されます。
製品詳細はこちら:保険薬局用コンピューター PharnesX-EX
【レセプト院内審査システム】べてらん君 collaboration Plus
レセプト業務の効率化を支援する院内審査システムです。退勤後に自動でチェック・出力を完了する「スマートチェック機能」により、退勤前に起動するだけで翌朝には結果が確認できます。レセプト1万件を8分間で処理し、現場に合わせて自由にカスタマイズできるチェック項目が特徴です。
製品詳細はこちら:レセプト院内審査支援システム べてらん君collaboration Plus
まとめ
レセコンは医療機関の収益を支える最優先システムであり、選択は経営の安定性に直結します。単なる機能やコストの比較だけでなく「現場のスタッフがストレスなく使えるか」という視点が欠かせません。
選定時のポイントをおさえながら、院内の課題に合ったレセコンを選べば、スタッフの満足度向上と患者サービスの質の向上、そして健全な医院経営の実現につながります。ウィーメックスは50年以上の実績と全国のサポート体制で、貴院の医療DXを支援いたします。何かお気づきの点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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