電子カルテは「レセコン一体型」と「レセコン分離型」どっちを選ぶべき?
電子カルテには「レセコン一体型」と「レセコン分離型」があり、どちらを選ぶべきか迷う先生もいるでしょう。結論からいうと、重要なのは「レセコンの性能」であり、電子カルテとレセコンとでシームレスな連携ができるのであれば、レセコン一体型でもレセコン分離型でも問題ありません。しかし、開業を検討している先生の中には、そもそもレセコン性能を重視されていない方もいらっしゃるようです。なぜ電子カルテ選びで「レセコン」を考慮するべきなのかを知るために、レセコンの重要性から見ていきましょう。
※本内容は公開日時点の情報です
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目次
「レセコン選び」はクリニック経営を左右する
レセコンは、レセプトコンピューターの略であり、医事コンピューターとも呼ばれています。
なぜレセコンが重要なのか。それは、医療機関にとって収入の要となる「レセプト(診療報酬明細書)」を作成するシステムだからです。レセコンはほとんどの医療機関が導入していて、医療機関にとって「最も大切なシステム」といっても過言ではありません。
レセコンには、以下2つの非常に重要な役割があります。
①適切な診療報酬を請求する
②事務作業を効率化する
詳しく説明していきましょう。
まず日本では、公的医療保険制度によって、すべての国民が必要な医療を受けられるよう、医療にかかるお金が定められています。これが「診療報酬」です。
国民が負担する医療費はかなり安価に抑えられており、一般的に、患者さんの多く(社会に出て働き、保険料を納めている人々)は3割負担となっています。残りの7割は、国に納められている保険料の中から支払われます。
つまり保険診療をメインとする医療機関の場合、収入の大半は、健康保険組合などの支払機関に請求しないと受け取れないということです。
医療施設が診療報酬を受け取るには、支払機関にレセプトを提出しなければなりません。
しかし、レセプト業務は、患者1人ひとりの1ヵ月間の診療内容をまとめて作成するため、医療事務スタッフにとって負担の大きい仕事です。病院でレセプト業務を担っているのは医事課ですが、勤務医の先生方も、病名チェックなどの形でレセプト業務に関わったことがあるでしょう。レセプト業務の忙しさは、医療事務スタッフの毎月の様子からよくご存じだと思います。
レセプトには、患者の氏名や傷病名、1ヵ月分の処方薬や実施した処置・検査などの診療内容、それらの診療報酬点数が記載されています。これらは、定められたルール通りに記載する必要があり、専門知識が必要です。レセプトの記載が正しくなければ正当な診療報酬が支払われなかったり、支払時期が遅れてしまったりするため、入念な確認が欠かせません。ただし、ヒトの目でチェックするには時間がかかりますし、見落としをなくそうにも限界があります。
レセコンのチェック機能を活用すれば時間や業務量が削減できるので、ヒトによる確認・判断が必要なポイントでも、集中力を落とすことなく丁寧に目を通せるようになるでしょう。
レセコンがなかった時代はすべて手計算をし、ヒトの目でチェックしていたことを考えると、レセコンがいかにレセプト業務の効率性と正確性を支えるシステムであるかがわかります。
「レセコン一体型電子カルテ」と「レセコン分離型電子カルテ」の違い
ここからは、レセコンを考慮した電子カルテ選びについて見ていきましょう。
一見、レセコンと電子カルテには何の関係もないように思えるかもしれません。
なぜ、電子カルテ選びにレセコンが関わってくるのでしょうか?その理由は、レセプトが電子カルテの情報を基に作成されるものだからです。
電子カルテには、電子カルテとレセコンが1つの同じシステムで動く「一体型」と、別々のシステムで機能する「分離型」があります。レセコン一体型とレセコン分離型のどちらを選ぶべきか迷う先生も多いでしょう。
結論からいうと、重要なのは「レセコンの性能」であり、電子カルテとレセコンとでシームレスな連携ができるのであれば、レセコン一体型でもレセコン分離型でも問題ありません。
とはいえ、システムは目的に応じて選ぶことが重要です。レセコン一体型とレセコン分離型がそれぞれどのような特徴を持っているのか、違いを押さえておきましょう。
レセコン一体型の特徴
レセコン一体型は、電子カルテとレセコンが1つのシステムになっていて、受付から診察、会計までを一元管理できます。電子カルテとレセコンとで同じ情報を取り扱っているため、電子カルテにデータを入力すると、レセコンにもレセプトに必要なデータが反映されデータ入力の二度手間が生じません。
これまで繰り返し述べてきたように、シームレスな連携ができるのであれば、レセコン一体型でもレセコン分離型でも問題ありません。しかし近年は、データヘルス改革により、レセコン一体型の注目度が高まっています。
中でもオンライン資格確認は、レセコンとオンライン資格確認が連携することで、患者の保険情報を確認するだけでなく、質の高い医療に貢献する情報を得ることができます。
オンライン資格確認をレセコン一体型で導入した場合、レセコン側では患者の保険情報を取得することによる受付業務の手間削減や資格過誤によるレセプト返戻の作業軽減を行うことができます。
また電子カルテ側では薬剤情報・特定健診情報といった患者の医療情報を入手することで、正確な医療の提供に繋がります。
このように、電子カルテとレセコンの連携は、従来のような会計用のオーダー情報に留まらず、様々なデータを双方向にやり取りする必要性と有用性が増えてきており、分離型より一体型の方がより効果的、効率的な運用を実現できるようになってきています。
他にも、レセコン一体型は複数のサービス契約を必要としない分、サーバーの設置費用やメンテナンス費用を抑えられるメリットもあります。加えて機器トラブルが起きた際も、電子カルテとレセコンのメーカーが同じなので、サポート体制や問い合わせ先も同じです。あちこちに連絡する必要がないので、万が一の事態にもスムーズな対応ができるでしょう。
レセコン分離型の特徴
一方のレセコン分離型は、電子カルテと別々のシステムを使っているため、サーバートラブルが起きた場合であっても、一方のシステムは利用を続けられるメリットがあります。ただし、電子カルテとレセコンとでメーカーが異なることも多いことから、特定の医療情報が連携できないケースがあるので、どの情報が連携できるかを導入前に確認しておくことが大切です。
レセコン分離型は、レセコンはレセコン専門メーカーから、電子カルテは電子カルテ専門メーカーからそれぞれ導入できるので、レセコン一体型と比べて専門性に特化しやすいという特徴があります。専門メーカーが注力した製品だからこそ、必要な機能や利便性、操作性が突き詰められた仕様になっているというわけです。
ある程度の専門性であれば、オンプレミスのレセコン一体型でカバーした方が使いやすい場合もありますが、専門性を追求するためにレセコン分離型を選ぶ医療機関もあります。
電子カルテ選びには「レセコンの性能」という観点も重要
電子カルテを特定のインターフェースで使いたい場合は専門性に特化した「レセコン分離型」、電子カルテとレセコンの情報共有をスムーズに進めたいのであれば「レセコン一体型」を導入するという選び方もあるでしょう。ただし、あくまで重要なのは、レセコンの性能です。性能をチェックした上で、どの製品を選ぶのか?という部分が重要なのです。
レセコンが普及した今でさえ、診療報酬のルール通りに請求するのは容易ではありません。
診療報酬のルールは複雑で、さらに2年に一度改定されます。レセコンが診療報酬改定に対応できるのは当然ですが、適切な診療報酬を請求するために重要な点は多岐にわたります。改定時のマスタ更新はどれくらい速いのか、変更点に関するレクチャーや資料配布といったサポートが受けられるかどうか、チェックロジックの更新はあるかなどは、メーカーによって違いがあります。
ウィーメックス(旧PHC)では常に最新の状態で業務を行えるよう、インターネットで迅速にデータベースを更新し、法令改正ソフトや点数・薬価変更など、カルテ機能・医事機能に必要なソフトや情報をタイムリーに配信しています。
また、レセコンのチェック機能にはメーカーによって差があることも重要なポイントです。
高度なチェック機能を提供しているメーカーのレセコンを選べば、より正確なレセプトを効率的に作ることが可能です。
例えばウィーメックスのシステムは、レセコン・電子カルテ一体型である強みを最大限に活かし、入力済のレセプトデータのみならず、入力中のレセプトデータに対してもリアルタイムで自動的にチェックをかけて、ミスや訂正候補を表示します。これは正確なレセプト作成を助けるだけではなく、レセプト業務が月末月初に集中するのを防ぐ仕組みにもなっています。
また、同社のレセコンは、「点検アシスト」機能を搭載しており、本来ならば算定可能な項目が漏れている可能性を示唆してくれることも、大きなポイントです。算定できない項目のチェックに加え、クリニックの診療に対して正当な報酬が支払われるかどうかまで考えてくれる特長を持っています。
高性能かつ電子カルテとシームレスに連携できるレセコンを選べば、より正確なレセプトを作成できるだけではなく、残業代の削減やスタッフの満足度アップといった点からもクリニック経営の安定化につながるでしょう。クリニックに適した電子カルテを選ぶためには、「レセコン」という観点からも検討することをおすすめします。