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オンライン資格確認 医師 薬剤師 2022.12.15 公開

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オンライン資格確認の義務化と保険証廃止による医療現場への影響

厚生労働省は、質の高い医療を効率的に提供するとともに、現場の負担軽減や患者さまの健康に対する意識向上などを目的とした「データヘルス改革」を推進しています。その取り組みの一つがオンライン資格確認です。政府は、経済財政政策についての文書『骨太方針2022』でオンライン資格確認の原則義務化を示しました。保険証の発行を原則廃止することも記載されています。本記事では、この流れを受けてオンライン資格確認の義務化の開始時期・流れ、導入のメリット、補助金の仕組みなどについて詳しく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策 #機器選定ポイント #業務効率化

目次

オンライン資格確認は2023年4月より義務化

政府は、保険医療機関と薬局へのオンライン資格確認の導入を2023年4月から原則義務化することを決定しました。まずはその概要や背景について、次で詳しく解説します。

オンライン資格確認とは

オンライン資格確認とは、医療機関・薬局の窓口で患者さまが加入している医療保険や自己負担限度額などの情報を確認できるようになる仕組みです。この導入により、期限切れの保険証による過誤請求や情報の手入力による事務コストの削減が期待できます。

また政府は2024年の秋頃を目途に「保険証の原則廃止」と「マイナンバーカードとの一体化」を目指しており、その前段階として保険証を希望者のみに発行する制度の整備を進めています。

▽参考記事
NHK『政府 健康保険証を再来年秋ごろ廃止 マイナカード一体化で調整』

義務化される背景

2022年6月、『経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~(骨太方針2022)』が閣議決定されました。

そのなかでは、医療・介護費の適正化および技術革新によるサービスの効率化・質の向上を目的に、オンライン資格確認をはじめとした関連サービスの認証制度の導入やイノベーションなどを進めることについて言及されています。また、保険証のマイナンバーカードとの一体化もそのうちの一つです。

マイナンバーカードの保険証利用を実現するにはオンライン資格確認の導入が不可欠なため、2023年4月からの導入を原則義務づける運びとなりました。

▽参考記事
『経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~(骨太方針2022)』

オンライン資格確認の普及状況

オンライン資格確認を運用している医療機関の割合は31.0%です(2022年10月2日時点)。内訳は、病院が47.3%、医科診療所が21.0%、歯科診療所が22.2%、薬局が53.5%です。医科診療所と歯科診療所ではまだ2割程度である一方、病院と薬局では約半数が運用を開始しています。

また、顔認証付きカードリーダーの申込率は80.2%でと、約8割の医療機関が顔認証付きカードリーダーを申し込んでおり、オンライン資格確認の導入準備をすすめていることがわかります。

『骨太方針2022』では保険証廃止も打ち出された

前述の『骨太方針2022』では、保険証の廃止について示されています。オンライン資格確認の導入により、紙やカードタイプの保険証に代わり、マイナンバーカードの保険証利用によって、患者さまが加入している健康保険の種類や期限切れなどをオンラインで確認できるようになるからです。これによって、薬局業務の効率化や保険証の有効性を確実に確認できるようになります。

また、デジタル庁の『デジタル社会の実現に向けた重点計画』では、デジタル社会の実現に向けた施策の一環として「マイナンバーカードの普及及び利用の促進」が示されています。保険証の原則廃止もその施策のうちの一つです。

▽参考資料
『デジタル社会の実現に向けた重点計画』

オンライン資格確認導入のメリットとは

オンライン資格確認の導入は、医療機関側と患者さま側の双方にメリットがあります。
医療機関側のメリットとしては、以下があげられます。

・資格過誤によるレセプト返戻の削減
・保険証情報入力の手間の削減
・患者さまの保険資格の有無や変更などを事前確認できる
・限度額適用認定証などとの連携により窓口での限度額以上の医療費の支払いが不要になる
・薬剤情報や特定健診などの情報の閲覧が可能になり手厚い診療や調剤が可能になる(災害時にも閲覧可能)
・電子版お薬手帳との連携ができる
・医療情報・システム基盤整備体制充実加算が算定できる

オンライン資格確認を導入することで、情報入力のミスや手間の削減ができ、より迅速で的確な医療の提供につながるわけです。

また、患者側のメリットは次のとおりです。

・薬剤情報や特定健診などの情報共有が可能になることで、かかりつけ以外の医療機関でも適切な治療を受けられるようになる
・申請不要で限度額適用認定が受けられる
・診察券としても利用できるようになる
・災害時にも薬剤情報などが確認できる

このように、医療機関におけるメリットは患者のメリットにも直結しているわけです。

オンライン資格確認の導入手順と補助について

次に、オンライン資格確認導入の流れと導入支援、補助金などについて解説します。

オンライン資格確認の利用までの流れ

オンライン資格確認を利用する際は、医療機関等向けポータルサイトでのアカウント登録や顔認証付きカードリーダーの準備、システムベンダによる各種機器の導入・設定、ポータルサイトでの運用開始日の設定などが必要です。

オンライン資格確認の導入準備の流れについては、以下のようになっています。

(1)医療機関等向けポータルサイトでアカウント登録をする
(2)医療機関等向けポータルサイトより顔認証付きカードリーダーを申し込む
(3)医療機関等向けポータルよりオンライン資格確認利用申請、電子証明書の発行申請を行う
(4)システムベンダに各種機器の導入・設定やシステムの改修、ネットワーク設定などを依頼
(5)顔認証付きカードリーダーなどの機器を受領後、システムベンダにてオンライン資格確認の設定をする
(6)オンライン資格確認の導入完了後、医療機関等向けポータルより運用開始日の登録をする
(7)運用開始に向けて、受付業務の変更点確認や、患者さま向け掲示の準備をする
(8)システムベンダから必要書類を受領する
(9)医療機関等向けポータルより補助金を申請する

導入の支援と補助について

オンライン資格確認の導入にあたっては、医療情報化支援基金から顔認証付きカードリーダーの無償提供やその他の補助金の支給を受けることができます。その他の補助金の支給額は、導入した顔認証付きカードリーダーの台数で異なります。
「その他の費用の補助金」の対象となるのは、マイナンバーカードの読取・資格確認などに必要なソフトウェア・機器の導入、ネットワーク環境の整備、レセプトコンピュータ、電子カルテシステムなどの既存システムの改修にかかるものです。
補助金の詳しい内容については関連記事をご確認ください。

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オンライン資格確認とは

オンライン資格確認の導入に向けて早めの対策を

10月2日時点でオンライン資格確認を運用開始している医療機関は約3割。普及にはまだ課題が残っているとも言えるでしょう。
一方で、2023年4月からのオンライン資格確認の義務化は決定事項です。現状を把握したうえで、必要な対応は早めに行いましょう。

2022年
オンライン資格確認の今後や導入の際に考えるべきポイントについては、こちらの記事でも詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。

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オンライン資格確認の導入率と対応医療機関の確認方法をまとめて解説
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