電子カルテ買い替え時のチェックポイント
電子カルテの買い替えを成功させるためには、買い替えの原因となった不満を減らすことに他ならない。原因の上位を占める「サポート」「使いやすさと機能」「システム間連携」についてのチェックポイントを解説する。
電子カルテの買い替え時のチェックポイントは、「サポート」「使いやすさと機能」「データ移行」「システム間連携」の4点です。一つひとつ気を付けて欲しいポイントを解説していきます。
サポート体制のチェック
電子カルテの買い替えの注意点としては、買い替えの原因で最も多い「サポート体制」の確認が挙げられます。このサポートは、「導入前サポート」と「導入後サポート」があり、この両面の確認が必要になります。
導入前サポートとは、電子カルテを現場の運用に合わせてセッティングする行為と事前の操作研修を指しています。一般的には「導入・研修」と呼ばれます。導入後サポートは、2年に1度行われる診療報酬改定やシステムのバージョンアップ、そしてトラブル時の対応を指しています。一般的には「保守」と呼ばれます。
サポート体制は、会社の体制と担当者の問題に分けて考える必要があります。また、電子カルテのサポートは、訪問、リモート(オンライン)と時代に合わせて方法は変わっており、電子カルテ導入に対して不安が大きい方は、「訪問」のあるメーカーを選ぶと良いでしょう。
実際、サポートレベルは、具体的には「トラブル時に飛んできてくれるかどうか」「すぐに対応してもらえるかどうか」それは導入してみなければわからない部分です。対応レベルを確認するためには、同じ地域でそのメーカーを導入した友人に聞くのが手っ取り早い方法です。百聞は一見にしかずですから、実際の対応内容などを聞いてみることをお勧めします。結局、日々のサポートフォローの積み重ねが、会社の評判となるので、悪い評判が聞こえてくるようなら、多かれ少なかれ問題があると考えてよいでしょう。火のないところに煙は立たずというところです。
使いやすさと機能のチェック
チェックリスト例
「買い替えたら、前より使いにくくなった」では、当然また不満が溜まってしまいます。そうならないためにも、買い替え前に、十分にシステムを触ってしっかり確認することが大切です。従来通り、メーカーからのデモンストレーションを受けるだけでは分かりませんので、メーカーにお願いし、別に一人で触れる時間をもらってください。外から見ていても本質はなかなか分からないものです。
また、これまで使用してきた電子カルテで「できていた機能」が、新しい電子カルテ変わって、できなくなるのは大きな問題につながります。操作性が変わるだけでストレスですから、機能がなくなるとより大きなストレスを感じてしまいます。新旧の電子カルテの機能の比較表を作成して、抜け漏れがないようしっかりとチェックすることをお勧めします。
データ移行のチェック
電子カルテの買い替えの際に、これまで使用してきた電子カルテから新しい電子カルテにデータを移行できるかは、重要な問題です。この部分も忘れずに確認してください。具体的には、電子カルテのデータの移行の可能の有無を以下より一つずつ確認すると良いでしょう。
①「頭書き(保険証情報)」「患者情報」
②「カルテ欄(記事)」
③「処方・処置欄(コスト)」
④「メモ」「サマリー」
⑤「レセプト」
⑥「検査結果」
⑦「文書」
⑧「病名」
また、データ移行の方法については前回の項「電子カルテ移行方法」を参考にして、➀データ移行➁併用利用③ 汎用ファイルと確認してください。導入後に、「実はデータが引継ぎできません」では後の祭りとなってしまいます。
システム間連携のチェック
クリニックでもシステム間連携が増えています。電子カルテと周辺システムを連携するのが一般的になっています。クリニックで多く導入されるものとしては、PACS、予約システム、Web問診、自動精算機などとなります。これらの周辺システムとの連携も電子カルテを買い替えても引き続きできるかの確認が必要です。買い替えてみたら、システム間連携ができなくなり、2重入力が必要になるという可能性もあるためです。
まとめ
電子カルテの「買い替え」は難しいと言われて久しいが、徐々に改善されてきています。ただし、対応状況はメーカー間で大きな隔たりがあり、移行レベル、移行の方法が統一されていないのが現状です。もし、電子カルテの買い替えが必要になったら、以下の点をしっかり確認し、失敗のない買い替えをして欲しいものです。
<ポイント>
・電子カルテの移行方法を確認する。
・電子カルテ移行のレベルを確認する。
・電子カルテの過去データの管理方法を決める。
・買い替え時のチェックポイントを確認する。
(サポート、操作性、機能、システム間連携)