在宅医療における薬剤師の役割とは?業務内容と必要なスキルを解説
日本では着々と高齢化が進んでいます。厚生労働省によると、2040年には全人口のうち65歳以上の方が占める割合が約35%に及ぶ見込みとのことです。約3人に1人が高齢者となる日本で、急激に需要が高まっているのが在宅医療です。高齢になると身体が衰え通院が困難になる場合もあるので、自宅などで治療を受けたいという患者さんが増えるでしょう。需要が高まりつつある在宅医療において、薬剤師がどのような役割を担い、どのような業務をこなしているのか知らない方も多いかもしれません。そこで今回は、薬剤師が在宅医療で果たす役割や具体的な業務内容について詳しく解説します。
※本内容は公開日時点の情報です
目次
在宅医療における薬剤師の役割とは?
在宅医療とは、通院が困難な患者さんの自宅や施設などを訪問し、診察や治療などを行うことです。薬剤師だけでなく医師や看護師、管理栄養士などさまざまな資格を持った方と協力して在宅医療を行っていきます。
在宅医療における薬剤師の役割は、患者さんに対して適切で安全な薬物療法を提供し、自宅にいながら安心して治療を続けられる環境を整えることです。在宅薬剤師とも呼ばれ、患者さんの服薬指導や薬剤管理を行います。
薬剤師は患者さんの自宅や施設などに調剤した薬を届けに行ったり、副作用が出ていないかモニタリングをしたりします。きちんと服薬できているのかを確認し、残薬が残っていないかチェックするのも薬剤師の役割です。在宅医療では、患者さんの生活に密着した薬物療法を提供しなければなりません。調剤薬局の窓口で服薬指導を行うのとは違い、より密なケアが求められます。
参考:在宅医療における 薬剤師の役割と課題(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zap2-att/2r9852000000zatv.pdf
在宅薬剤師の具体的な業務内容
在宅薬剤師と聞くと、患者さんに薬を届けるだけと思われる方もいるかもしれません。確かに薬を届けることは大事な業務ですが、他にも重要な業務をこなす必要があります。今回は、特に重要な3つの業務について詳しく見ていきましょう。
患者さんの自宅または入居先に薬剤や衛生用品を届ける
在宅薬剤師のメインの仕事となるのが、自宅や施設などに薬剤や衛生用品を届けることです。意外に思うかもしれませんが、届けるのは薬剤だけではありません。ガーゼやばんそうこう、手袋などの衛生用品も一緒に届けることがあります。
在宅医療を受けている患者さんは外出が難しい方が多く、必要なものを自分一人で購入しに行けない方が少なくありません。また、処方された薬剤を調剤薬局や病院に取りに行くのも難しい方がほとんどです。そのため、薬剤師が患者さんのところへ足を運び、薬剤や衛生用品を届ける必要があります。
薬剤の管理、わかりやすい服薬指導
在宅医療では、通常の調剤薬局や病院と同様に、薬剤の管理や服薬指導を行います。薬剤の管理では、患者さんが薬剤を問題なく飲めているかを確認し、必要に応じて錠剤を粉砕したり、一包化したりといった工夫が必要です。
高齢者は複数の医療機関から薬剤を処方されていることが多いため、飲み合わせに問題がないかなどのチェックも行います。薬袋で薬剤を管理することが難しい方には、服薬カレンダーなどへのセッティングも行いましょう。
状況に応じて、残薬の調整も必要です。まだ使用できる残薬がある場合は、次回の処方で数を調整してもらえるように医師に報告してください。この他、患者さんが適切な治療を進められるよう、わかりやすい服薬指導を行うことも大切です。服薬指導を行いながら、患者さんが内容を理解しているか、嚥下機能に問題はないか、一人で問題なく服薬できるかなども確認します。
他医療従事者との連携・情報共有
在宅医療に関わっているのは、薬剤師だけではありません。医師や看護師、栄養士やケアマネジャーなど多くの方が一人の患者さんと関わっています。そのため、他のスタッフともうまく連携しながら業務を進めていくことが大切です。
在宅医療はチームで進めていかなければなりません。副作用が見られた場合は、医師に報告しましょう。嚥下機能に問題がある場合は、歯科医師や栄養士に報告します。
些細なことでも構わないので、在宅医療をする中で何か気になることがあればすぐに情報共有を行いましょう。薬剤師にとっては何でもないと感じる情報でも、他のスタッフにとっては重要な情報源となることがあるためです。
例えば「何もないところでつまずいた」という情報を理学療法士が把握すれば、運動療法の見直しにつながることがあります。
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在宅薬剤師に必要なスキル
「生き残る薬剤師になるためには在宅医療をする必要がある」と言われるほど、在宅医療の需要は高まっています。在宅薬剤師として活躍するためには、次に挙げる3つのスキルが必要です。
薬剤師としての知識・経験
基本的なことですが、薬剤師としての知識や経験は必ず必要になります。在宅薬剤師は患者さんの生活に深く介入していくため、あらゆる角度から患者さんを見ていかなければなりません。
どの薬でどのような副作用が起こるのか、どうすれば服薬アドヒアランスを上げられるのかなど総合的な知識が必要です。患者さんの状態に合わせて薬剤の変更を行うことも多く、「こうしたらもっとよくなるのでは」という提案力も求められます。
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コミュニケーション能力
普段の業務でもコミュニケーション能力は必須ですが、在宅医療ではより高度な能力が必要です。他の医療従事者と連携を取らなければいけないため、相手に「話しやすい」と思われるような関わり方をしなくてはなりません。また、患者さんと話す際は普段の生活の様子をうかがいつつ、必要な情報を聞き取る能力が求められます。
話すだけでは患者さんがあまり理解できていない様子があれば、図や絵を描くなど臨機応変な対応も必要です。他の医療従事者と協力して在宅医療を行い、患者さんと円滑な情報共有ができるようにするためにも、高いコミュニケーション能力が必要とされます。
在宅医療に関わる薬剤師の資格
在宅医療をするにあたって、薬剤師以外の資格は必須ではありません。しかし、質の高い在宅医療を患者さんに提供するためにも、「在宅療養支援認定薬剤師」の資格取得が推奨されています。在宅療養支援認定薬剤師とは、在宅医療に必要な知識や技能を持っていることを証明するための資格です。
資格を取得することで、患者さんの立場に立ちながらチームの一員として活躍するための能力を身につけられます。資格を取得することで、患者さんの状況に合わせた最適な薬物療法を提供できるようになるでしょう。
在宅医療にはPharnesX-MXがおすすめ
在宅医療を行う薬剤師には、患者さんに適切な薬物療法を提供するという重要な役割があります。そのためには、患者さんの自宅や施設などに薬剤を届けるだけでなく、残薬のチェックや普段の生活の様子の確認などを行って薬剤の管理を行ったり、他の医療従事者と情報を共有しながらうまく連携を取ったりする必要があります。
在宅医療を行うときは、出かけ先や車の中で薬歴を書くこともあるでしょう。メディコムの「PharnesX-MX」なら、薬局の外にいても薬歴の参照や入力ができます。わざわざ薬局に戻らなくても普段と同様に薬歴に触れられるため、在宅医療との親和性が高いことが特徴です。いつでもどこでも利用できる薬歴ソフトをお探しでしたら、ぜひ「PharnesX-MX」をご活用ください。
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