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企業健康経営 人事・総務 コメディカル 2025.03.04 公開

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【津下先生解説】実践の中で保健指導スキルを強化する方法とは? vol.13

第4期特定健診・特定保健指導制度が2024年4月から開始されました。ウィーメックスは指導品質の向上のためのセミナーを開催し、第1期より厚生労働省等の検討会委員を務めている女子栄養大学特任教授の津下一代先生に解説いただきました。本コラムでは、講演テーマである「実践の振り返りおよび改善方法の習得」より、さらに詳しく解説いただき、連載でお届けいたします。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

【津下先生解説】実践の中で保健指導スキルを強化する方法とは? vol.13

結果が出せる保健指導を行うには、どのようにスキルを強化すればよいか。本コラム読者から多く寄せられる質問です。保健指導の達人は「振り返りと修正」を毎日のようにくり返し、自信をつけていくようです。しっかり準備したという自信が、相手からの信頼感を得ることにもつながり、よりうまくいくようになります。

スポーツの世界を参考にすると・・・

保健指導は一対一でおこなわれるために、スキル向上のプロセスを可視化することが難しいかもしれません。でもほかの世界で参考になることはたくさんあります。

例えばスポーツの場合はどうでしょうか。あまりうまくいっていないときに、トップアスリートは「すぐに修正して次には立て直す」という表現をよく使います。「修正する」ということは、自分の動きや作戦の課題が分かっていること、そしてイメージ通りに体の動き等を調整できることを指します。対戦相手がいる種目の場合には、相手から攻められる自分の弱点を見抜き、そこをカバーする方法を見出し行動にうつせること。すぐに修正できることもあれば、じっくり取り組まねばならない課題もあります。コーチはその人の課題発見を手助けし、どのように修正すればよいか助言します。

Q1. 特定保健指導においての振り返りについて教えてください。

A. 制度的には、特定保健指導の評価は3か月後の実績評価時に行いますが、最も大切な振り返りのタイミングは初回面接を実施している最中や終了時の評価です。

相手をよく観察するなかで、本人が抵抗感を持っていること、疑問・困難な点を把握できたか、それに対して根拠をもった説明ができたか、健康のための行動を起こす気になったか、などの視点で振り返ります。指導直後に簡単なメモを残すとよいでしょう。

Q2. 短期的な振り返りを行なうことは、どのような効果が期待できますか。

A. このような短期的な振り返りを習慣化することで、保健指導者が「相手を知る」「相手に合わせた説明や提案をする」「相手のやる気を高める」といった保健指導の目的を意識することになるため、通り一遍の保健指導ではない、多様性をもった支援につながります。一人ひとりの違いに着目した対応ができるようになれば、対象者の自己効力感や満足度も高まることになるでしょう。

保健指導者が「うまくこなした」という面だけに着目すれば、このような効果は得られません。対象者と保健指導者の間に壁を作ってしまうことになるかもしれません。

Q3. 指導者個人で行なう振り返りのタイミングや具体的な手法について教えていただきたいです。

A. アスリートは試合の流れや相手・自分・チームの動きをよく記憶しています。競技の中でも振り返りと修正を重ねつつ(短期的)、良い結果を目指して取り組んでいる証左でしょう。その場での解決が難しい根本的な課題については、コーチとも相談しつつ、日ごろのトレーニングの中で解決を目指しています(中長期的)。

保健指導においても、面接の中で常に相手とのやり取りを客観視しながら修正していきます。最終的には面接終了後に振り返り、気になった状況や言葉をメモしておくとよいでしょう。一日の仕事を終える前に全体を振り返り、調べておいた方が良いこと、周囲の人(同僚、先輩など)に聞いた方が良いことなどを確認します。

「できなかったこと」だけの振り返りではなく、良かったことの振り返りも重要です。うまくいきやすい進め方のパターンがみえてくれば、保健指導の成功率を高めることができます。

自分の働きかけで相手が健康行動に気持ちが動いてくれる、その瞬間の「楽しさ」を感じられるようになると、保健指導のスキルが着実に高まっていることを実感できることでしょう。

▽前回のコラムをご覧になりたい方はこちら
【津下先生解説】保健指導スキル向上や実施体制の改善に必要な〇〇とは vol.12

筆者情報

津下 一代

津下 一代(つした かずよ) 様

女子栄養大学 特任教授

名古屋大学医学部医学科を卒業後、国立名古屋病院内科、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務。
12年あいち健康の森健康科学総合センター、23年より同センター長兼あいち介護予防支援センター長に就任。令和2年より女子栄養大学特任教授として活躍。

健康日本21(第三次)推進専門委員会、健診・保健指導の在り方に関する検討会などの厚生労働省等の委員、健康・医療新産業協議会・健康投資WGなどの経済産業省の委員を務めるなど、多方面で活躍。

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