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結果が出せる保健指導を行うには、どのようにスキルを強化すればよいか。前回は短期的評価、すなわち毎日の振り返りと修正についてお話ししました。今回はより長い視点で、アウトカムを意識した振り返りについて考えてみます。
Q1. 長期的な振り返りを行なうことは、どのような効果が期待できますか。
A. 保健指導によって、対象者の意識が変わり、行動変容につながったか、そして体重や腹囲等への変化がみられたのか、実績評価時に振り返ります。本人のやる気のレベルや生活習慣の変化、提供した情報やサポートの中でどんなことが役に立ったのか、などアンケートで情報収集します。
振り返ることで、自分自身の保健指導の強み・弱みを知り、保健指導方法の見直しや学習のヒントになることでしょう。チームメンバーによって得手・不得手はあるので、お互いの強みを共有する、弱点については学びあうなどの工夫ができるとよいですね。保健指導者がしっかりと振り返り、指導技術の向上を目指していることは、保険者の信頼を勝ち得ることにもつながります。もっと長期的な効果としては、保険者がみなさんに信頼をおいて委託を継続してくれることではないでしょうか。
Q2. 長期的な振り返りを行なう際の具体的な手法やポイントについて教えてください。
A. 振り返りについては、量的な評価(何%の人に効果があったのか:打率みたいなもの)と質的な評価(変えられたのはどんなことか、効果があった要因は何か)があります。
量的な評価のポイントは、現在の打率を確認し、目標となる打率を設定すること。少しでも多くの人に、「面接してよかった、生活の見直しにつながった」と思ってもらえるよう目標設定します。
うまくいったことを確認して強化する、うまくいかなかったことについては、対策を考えることが必要です。うまく説明できなかったことについては本で確認したりより説明しやすいように教材を研究する、アプリなどをうまく活用する、最初からやる気がなさそうな人が多い場合には案内の方法を工夫する、など、どんな改善ポイントがあるか、考え実践してみましょう。
Q3. 事例検討会を行なう際の留意点はありますか。
A. 事例発表者は、定型的な形式(属性、検査値や質問票から見た対象者像、これまでの保健指導歴、今回の保健指導で実施したこと、行動変容などの変化、体重等のアウトカム)の流れに則りながら、わかりやすく資料をまとめてプレゼンします。
考察として、よかった点、修正できそうな点、解決策を思いつかない課題などに整理して発表するとよいでしょう。小さな場でもよいので、プレゼンの練習をすることで、相手にわかりやすく簡潔に伝えるスキルが上達します。
助言者としては、発表者のがんばりを評価し、その発表からチームとしてどんなことが活かせるのかを考えます。
一人が悩んでいることは、みんなが悩んでいることかもしれません。一人の経験を他の人が追体験できることで、指導能力を格段に高めることができます。助言者からのコメントは、発表者の意欲が高まるように、良かった点をまず挙げて、修正点を提案するような形でおこなうとよいでしょう。
▽前回のコラムをご覧になりたい方はこちら
【津下先生解説】実践の中で保健指導スキルを強化する方法とは? vol.13