目次
認定薬剤師とは?
認定薬剤師とは、ある分野に関して専門的で高度な知識や技術を習得している薬剤師に与えられる資格です。専門分野における最新の知識と技術を持っていることが証明できるため、認定薬剤師の資格があればスペシャリストとして活躍できます。一般の薬剤師以上の知識や経験を持つことから、患者さんへの服薬指導やケアにも活かせるでしょう。
認定薬剤師の資格を取得するためには、研修に参加して必要な単位を集めなければなりません。多くの単位が必要になることから、資格取得にはある程度の期間がかかります。
適切な医薬品の選定や効果・副作用の判断、薬物治療へのアドバイスなども必要に応じて行います。認定薬剤師の資格を取得することは、ゴールではありません。取得することで、専門知識を持つ薬剤師としてのスタートに立てます。取得するためには医療現場での実務経験や専門知識の習得が必要になりますが、取得した後どのように普段の仕事に活かすのかが大切です。
認定薬剤師制度とは?
認定薬剤師は、次のように3つの制度に分けられます。
- •生涯研修認定制度
- •特定領域認定制度
- •専門薬剤師認定制度
生涯研修認定制度とは、薬剤師が専門職としての役割を果たすうえで必要な知識や技術を常に新しく保つための制度です。薬剤師の資格は更新制ではありません。生涯研修認定制度では、資格を取ってからも勉学に励んでいることを証明します。特定領域認定制度は、特定の分野や領域において高度な専門知識や技術を習得した薬剤師を認定するものです。
専門薬剤師認定制度は、専門分野における知識や技術に長けていることを認定する制度として知られています。特定の領域において高度な知識や技術を発揮し、チーム医療や地域医療などで他の医療従事者と協力しながら患者の治療に貢献できる能力を保証するものです。
薬学部が6年制に移行したことにより、薬剤師にはこれまでよりもさらに高度な知識や技術が要求されます。認定薬剤師の資格は、薬剤師の資格を取った後も知識や技術を磨き、自己研鑽を行っていることの証明になるでしょう。
認定薬剤師のメリット
認定薬剤師の資格取得には、研修に参加したりeラーニングを受講したりして知識や技術の習得していくことが欠かせません。そのため、資格を取得することが薬剤師の資格に磨きをかけることにつながります。認定薬剤師を取得するメリットにはさまざまなものがあるので、詳しく見ていきましょう。
薬剤師としてのキャリアアップになる
認定薬剤師の資格を取得するためには、専門的で高度な知識を身につけることが必須です。資格取得のためには、実際に患者を見ながら経験を積んだり、プロバイダーが主催する研修に参加したりする必要があるものもあります。
資格を取るためには知識を新たに習得したりこれまでの知識を見直したりする必要があるため、薬剤師としての成長にもつながるでしょう。特定の分野に関する知識を集中的に学べることから、薬剤師としての知識をグレードアップさせ、日々の業務に役立てることもできます。
収入が上がる
企業によって対応が異なりますが、認定薬剤師の資格に対して手当がつき、収入を増やせることがあります。研修認定薬剤師だと、月の手当は5,000~10,000円ほどです。一方で緩和薬物療法認定薬剤師を取得すると月に50,000円の手当が支給される企業もあります。
転職活動をする際に資格があることを評価され、収入に上乗せしてもらえるケースも珍しくありません。何も資格がない薬剤師と比べると収入面で有利になりやすいことは大きなメリットです。
他の薬剤師と差別化できる
専門的な知識の習得によって薬剤師としてのレベルが上がることにより、他の薬剤師との差別化にもつながります。認定薬剤師の資格があるのとないのとでは、知識や技術に大きな差が出るものです。資格を取得しておけば、「あの薬剤師に相談してみよう」と頼りにされることが増えます。大勢いる薬剤師の中の一人として、周りからしっかり認識してもらえるため、自己肯定感の向上にもつながるでしょう。
専門薬剤師との違い
認定薬剤師のほかに、専門薬剤師という資格があります。専門薬剤師とは、認定薬剤師の上位資格です。専門薬剤師も、ある特定の分野に関する高度な知識や技術を習得していることを証明する資格として知られています。
しかし、専門薬剤師になるためには研修を受講するだけでなく、試験を受けて合格しなければなりません。認定薬剤師の上位資格に位置する専門薬剤師の資格もあるため、基本的には専門薬剤師のほうが難易度や専門性が高いと言えるでしょう。
資格取得までの流れ
認定薬剤師の資格を取得するまでの流れは決して難しいものではありません。研修に参加し、必要な単位を取得して資格獲得の申請を行えば、多くの資格は取得できます。では、認定薬剤師の資格を取得する流れについて詳しく見ていきましょう。
研修に参加する
まずは研修に参加しましょう。薬剤師の研修にはさまざまなものがありますが、認定薬剤師認証研修機関(プロバイダー)が主催する研修を選んで参加し、申請に必要な単位を取得してください。研修はオフラインで行われることもあれば、Webやeラーニングで参加可能なものもあります。eラーニングはどこで受けるかによって研修の内容が異なるため、自分が学びたい講座があるところを選びましょう。
以前は取得した単位の分だけシールが発行され、薬剤師研修手帳に貼って保管をしていました。しかし、研修に参加せずシールのみを不正に取得する例が散見されたため、現在はすべてPECS(薬剤師研修・認定電子システム)を使用して単位の管理が行われています。
PECSの登録は、日本薬剤師研修センターのホームページから行うことが可能です。ログインもこちらから行うことになるため、ユーザーIDを紛失しないように気をつけましょう。
なお、単位の反映はすぐには行われないので注意しましょう。オフラインで研修に参加した場合は約1週間後、Web参加の場合は約1ヵ月後に反映されます。eラーニングは翌々月末に単位が反映されるため、少々時間が必要です。1単位でも不足すると認定薬剤師の申請ができないので、期限までに必要な単位を計画的に取得していきましょう。
資格獲得の申請をする
単位を取得しただけでは認定薬剤師にはなれません。必要な単位が集まったら、認定薬剤師を取得するための申請を行いましょう。申請はPECSを使って行います。以前使われていた薬剤師研修手帳は販売終了しているため、もし必要な場合は、日本薬剤師研修センターのホームページにアクセスし、研修認定薬剤師研修受講シール整理表をダウンロードして使用してください。
現在はシールの交付が終了しているため、基本的にはPECSを用いて申請を行います。申請する際はPECSに必要な単位がきちんと反映されているかを確認して行いましょう。シールも使用して申請する場合は、プロバイダーへの提出が必要です。
更新手続きをする
認定薬剤師の資格は、薬剤師の資格と違って一度取得してしまえば永年にわたり使用できるというものではありません。更新には、3年毎に30単位以上を取得が必要です。さらに、年間で5単位以上を取得する必要があります。認定期限の2ヵ月前になると、PECSに登録しているメールアドレス宛てにメールが配信されるため、忘れずに確認しましょう。
もし、必要な単位を期限内に取得できなかった場合は更新できません。新規申請が必要になるため、余裕を持って単位の取得を行うことが大切です。
認定薬剤師の種類
認定薬剤師の資格には、次のように多くの種類があります。
カテゴリ | 認定薬剤師の資格名 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
人気の認定薬剤師
認定薬剤師の資格はとても種類が多いため、全部取得しようと思っても時間とお金がどうしても足りなくなります。そのため、自分が興味のある分野や、仕事で必要になる分野を優先して取得を目指していきましょう。どれを取得するか悩んでいる方は、これからご紹介する人気の資格を参考にしてみてください。
研修認定薬剤師
研修認定薬剤師は、多くの薬剤師が取得している有名な資格です。認定薬剤師の資格の中では比較的取りやすいこと、また、かかりつけ薬剤師になるために必要であることから人気を集めています。
薬剤師の資格取得後もきちんと自己研鑽に努めているか、知識を高めようとしているかを証明するための資格です。3年に1度の更新が必要になるので、忘れずに行いましょう。
がん薬物療法認定薬剤師
がんの薬物療法に関する知識や技術を持つ薬剤師として認定される資格です。がん治療に関する分野は非常に複雑で専門的なため、高度な知識とスキルがなければ患者に対して十分な対応が行えません。この資格は、がん治療に関わる薬剤師が適切な薬物療法を行えるようになるために必要なものです。
日本では、約2~3人に1人が一生涯のうちにがんになると言われています。多くの患者さんがいる疾患に関わる資格のため、今後も需要が伸びていくと考えられるでしょう。
感染制御認定薬剤師
感染症の予防や感染拡大を抑えるための専門知識とスキルを持つことを証明する資格です。感染症は医療現場や施設内では重大な問題であり、患者さんの健康を守るためにも適切な感染対策が必要になります。
感染症に対してどのような治療を行うのが適切なのか、薬物療法の提案や情報提供を行えるようになるため、重宝される薬剤師として活躍できるでしょう。
プライマリ・ケア認定薬剤師
プライマリ・ケアとは、総合的な医療のことです。特定の分野に限定せず、何でも相談して見てもらえる医療を指します。プライマリ・ケア認定薬剤師の資格は、プライマリ・ケアを行うための専門知識や技術の習得を目的に創設されました。
プライマリ・ケアは医師や薬剤師だけでなく、看護師や介護士などさまざまな職種の方と協力して行うものです。薬剤師個人としてではなく、チーム医療の一員に関わる医療従事者の一人として活躍できる薬剤師になるために必要な資格と言えます。
認定薬剤師の数
認定薬剤師の資格の中でもとくに登録者が多いのが研修認定薬剤師です。研修認定薬剤師の資格を持つ薬剤師は、全国に約8万人います。47都道府県のうちで最も認定薬剤師の数が多いのは東京都です。
2017年6月30日とやや古いデータですが、9,529人もの認定薬剤師が登録されています。全国にいる認定薬剤師の約11%が東京都にいるのです。高齢者の増加に伴い、認定薬剤師の資格の需要は今後も高まると予想されています。
実際に認定薬剤師の資格を更新する方よりも新規申請する方のほうが多いため、資格保持者の数は年々増えていくでしょう。
認定薬剤師の資格を取得して、より密なケアを
認定薬剤師とは、薬剤師の専門性を高めるための資格です。特定の分野における知識や技術を持っていることを証明するのに役立ちます。認定薬剤師の資格には多くの種類がありますが、中でも研修認定薬剤師、がん薬物療法薬剤師、感染制御認定薬剤師、プライマリ・ケア認定薬剤師などの資格が人気です。
どの資格も、必要な単位を集めて申請することで取得できます。薬剤師の資格とは違って更新が必要なため、忘れないように注意してください。認定薬剤師の資格を取得して、より密な患者さんのケアができるように自己研鑽してみてはいかがでしょうか。
メディコム 人気の記事
イベント・セミナーEVENT&SEMINAR
お役立ち資料ダウンロード
-
薬局経営 薬局経営者 薬剤師
働きやすい薬局の取り組みとは?ベースアップを実現する業務改善・評価のあり方
-
薬局経営 薬局経営者 薬剤師
薬局の未来を拓く!在宅サービス成功のための実践セミナー
-
薬局経営 薬局経営者 薬剤師
DX加算見直し10日前!現場はどう対応する?
-
薬局経営 薬局経営者 薬剤師
対人業務充実の切り札!調剤外部委託の実証実験が開始!薬剤師は価値をどう高める?
-
薬局経営 薬局経営者 薬剤師
薬局におけるCRM活用事例~米国の先進事例とツルハホールディングスのデータ活用戦略~
-
薬局経営 薬剤師 薬局経営者
薬局開局・経営に使える!補助金・助成金ガイドブック
-
薬局経営 薬局経営者 薬剤師
【黒木哲史様監修】薬局24時間対応の導入ガイドブック
-
薬局経営 薬剤師 薬局経営者
調剤薬局のための「成功する物販戦略」ガイド