勤務医から開業医への意識改革・心構え
勤務医マインドから開業医マインドへ
「いつか独立し、勤務医から開業医になる!」と決意されている先生の中には、すでにクリニックの開業地について見当をつけ始めるなど、具体的な準備にとりかかっている方もいるかもしれません。なるほど開業の準備は多岐に渡るものですから「少しでも早めに済ませておこう」というその気持ちも分かります。ですが先生自身の「心構え」についてはどうでしょうか? 開業後には多くの医師が勤務医と開業医との業務内容の大きな違いに戸惑い、悩みを抱えることもあるといいます。だからといって準備に要した時間とお金や、たくさんの人達の協力を無にして、勤務医に逆戻りするわけにもいきません。そこで、この心構え、言い換えれば勤務医マインドから開業医マインドへの意識改革が早い段階でできていると、その戸惑いや悩みも小さなうちに解消できるはずです。迷いの無い院長が率いるクリニックは、経営が安定するまでそう時間はかからないでしょう。開業前から頭を切り替えておき、クリニックのスタートダッシュを図りましょう。
事業主としての覚悟をしっかりと持つ
開業するということは事業主になる、ということです。これはご自身のクリニックに関するすべてにおいて決定権を持つと同時に、その全部の責任も負う必要があるということ。勤務医時代には病院側でやってくれていた人事や会計、諸手続きなども、何から何まで自分で行わなければなりません(もちろんこれらを一手に引き受けるスタッフを雇っても良いですが、最初からそこまで余裕のある開業は難しいでしょう)。この「事業主になる」という覚悟をきっちり持つことが、開業医になる際の心構えの根幹となるのです。「良いことも悪いことも、何が起ころうと自分の責任」という姿勢さえ揺るがなければ、開業して初めて経験することになる様々な雑務やトラブルにも、煩わしさを覚えたり怖じ気づいたりすることなく対処できるでしょう。雑務やトラブルについての具体的な対処法についてはこのコラムでも随時取り上げていきますし、少しずつ経験していくことで上手く乗り越えていけるはずです。勤務医である今の時点で何より重要なのは、事業主となる覚悟であると心得て下さい。
クリニックの院長は一人三役をこなす
ではここからはクリニックにおける事業主、つまり院長の役割について見ていきましょう。ご自身のやるべきことや立場を事前に整理して理解しておくことも、開業前の心構えとして有効です。
クリニックの院長は一人で三役をこなさなければなりません。すなわち「経営者・管理者・医師」の三役です。一つ目の「経営者」としての役割には、増収対策や経費削減、業務の合理化といった経営方針の決定をはじめ、資金繰りなどが含まれます。クリニック経営の最高責任者としての立場です。二つ目の「管理者」の役割には、従業員の教育や管理があげられます。労務管理や研修などを通してスタッフの質を向上させていくことが求められます。三つ目の「医師」については言うまでもありません。診療方針の決定など、医療行為の中心者としての職務です。
これら三役の業務と責任すべてが事業主である院長にのしかかってきますから、生半可な覚悟では痛い目に会うことが想像いただけるでしょう。開業後に「こんなはずではなかった…」と嘆くことのないよう、開業前にしっかりと意識改革に取り組んで下さい。
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