開業医の妻・夫はどうあるべきか?
本当に困った時、迷った時は“パートナー頼み”
本コラムではクリニック開業を目指す医師の皆様方に向け、その準備期間中に必要となってくるノウハウや心得などを概論としてお伝えしてきました。今回からは開業後についても視野に入れながら、より具体的な内容でお送りしていきます。最初に取り上げるテーマは、先生のパートナー(配偶者)。開業の準備や開業後の経営にどのように関わってもらうのが良いのか、理想の「開業医の配偶者像」を探っていきましょう。突然ですが先生のパートナーは、先生がこれから開業医を志すことについて好意的でいらっしゃるでしょうか? もし答えが「NO」であるならば、お相手のご理解・ご協力を得られるよう、開業計画をきちんと説明したり、ご家族の将来について話し合ったりして下さい。個人事業主として開業しクリニックを経営していくということは、勤務医時代に想像していた以上に孤独で不安なもの。迷った時や困った時に最も心の頼りになるのは家族、なかでも「妻」「夫」のはずです。クリニック開業を心に決めたのなら、誰を置いてもまずは夫婦同士で相談し、パートナーのサポートを得られるようにすべきです。
患者目線の客観的な“ご意見番”として
中には「パートナーの反対を押し切ってでも開業する!」と息巻く先生もいらっしゃるようですが、「家族さえ承服できないほど困難な開業計画ではないか?」と周囲に邪推される可能性もありお薦めできません。「家族の理解と協力は開業の大前提」と言っても過言ではないため、夫婦二人三脚で歩んでいけるような関係を築きたいものです。ではパートナーから充分なサポートが得られそうだとして、実際のところどのように動いてもらうのが良いのでしょうか? 開業地の選定/設計/建築、資金調達、スタッフの面接/研修など、勤務医時代には経験することのなかった未知の課題が盛りだくさんの準備期間中は、ある意味「医療の素人」であるご家族の意見が貴重です。もちろんコンサルタントや医師仲間に相談することも大切ですが、「医療について何も知らない妻・夫の意見が、いちばん患者の目線に近かった」ということは往々にしてあること。それでなくとも開業に向けてフル回転している時期は目先のことに集中しがちですので、ことあるごとに客観的で中立な意見をパートナーに求めてみましょう。
近年求められる、“裏方”としての職場参加
それでは開業後、パートナーにクリニックを直接サポートしてもらう場合はどうでしょうか。「スタッフが働きづらい」としてひと頃は避けられる傾向にあった院長の妻・夫の職場参加ですが、最近ではコンパクトな経営で生き残りをかけるクリニックが増えてきたため、そうも言っていられない状況となってきました。ただし、以前と異なるのは、配偶者に労務や経理などの事務的な仕事を受け持ってもらうケースが増えたということ。裏を返せば、「妻・夫が裏方に徹すればスタッフとの軋轢は避けやすい」とも言えるでしょう。今どき院長の親族だからといって強権を振るうような方は少ないでしょうが、万が一そのようなことがないよう院内に目を配ることも忘れずにいて下さい。なお、先生のパートナーにその気があるのなら、クリニック開業の前に医療事務について勉強することをお薦めになってはいかがでしょうか。短期間の講座や通信コースで学んでおくだけでもかなりのプラスになります。「妻」「夫」という最も信頼の置けるスタッフが事務方にいれば、先生は医師の本務である診療に集中できるというものです。
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