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クリニック開業 医師 事務長 2025.01.17 公開

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50代での開業、課題だったのは…泌尿器開業のリアル

2024年3月に開院したおはな泌尿器クリニック。院長の花井禎先生は、50歳を過ぎて開業を目指しました。開業準備に際してどのような課題があったのか、どう対応して開業にこぎ着けたのか――。リアルな経緯を語っていただきました。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #開業地選定 #労務管理 #マネジメント

目次

医療機関様概要

おはな泌尿器クリニック様

おはな泌尿器クリニック

住所:大阪府吹田市千里山東2-27-10 千里山医療ビル3F
開業年月:2024年3月
診療科目:泌尿器科
従業員数:医師2名、看護師3名、事務スタッフ5名
Webサイト:https://ohana-uro.com/

慣れ親しんだ勤務地から、あえて離れたところで開業

花井先生が開業に向けて準備を始める過程では、開業地の決定までに様々な課題がありました。

開業医の多くは、勤務していた病院に比較的近い場所を開業地の候補として医療コンサルタントと相談し、診療圏調査などを経て決定することが多いとされています。花井先生も当初は「通算で3年以上勤務していた基幹病院があった地域なら土地勘もあり、周辺の病院にも知っている医師が多いため、開業地として有利だろう」と考えたそうです。

「実際に、勤務していた病院の後輩医師が私より1年ほど前に開業したのですが、開業2~3年前から将来自分のクリニックで患者さんを引き受けることを想定して、毎日60~70人の外来診療に注力していましたからね」(花井先生)

しかしながら、クリニックが軌道に乗った際には一緒にクリニックで働くことを予定していた奥様とも話し合う中で、土地柄や住民性を考え、花井先生が勤務していた地とは遠く離れた大阪府北部、あるメディカルビルでの開業プランが有力となってきました。

先生が開業されたメディカルビルの管理会社は、ビル1階で薬局を運営する大手ドラッグストアチェーングループ会社で、医療コンサルタント業務も同社の開業支援部門に依頼しています。コンサルティングを受けて診療圏調査を行う中では、”競合する診療科が周辺に存在しないこと”を重視しました。

「内科などと比較すれば、泌尿器科は患者さんの絶対数が非常にすくないため、競合するクリニックがすでにあれば経営が成り立たなくなるからです」(花井先生)

懸念された資金融資

50代に開業した医師の多くが頭を悩ますのは、開業後の診療期間を含め銀行融資を受けるには年齢的にぎりぎりであること。日本医師会のアンケート調査によると、2009年の調査結果ではありますが、開業したときの医師の平均年齢は41.3歳、開業5年以内の医師では44.9歳です。

「開業を現実のものとして考えるようになり、50歳を過ぎた人間に金融機関が融資してくれるのかは悩ましい問題でした」(花井先生)が、こうした資金融資にかかわる懸念も、今後医師の奥様と共に、ご夫婦で経営していくという計画で払拭されました。

▽参考資料
開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査(社団法人 日本医師会)(https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090930_21.pdf

スタッフ採用、カギは「プロ意識を持って働く人を」

おはな泌尿器クリニックの開業時のスタッフ体制は、医師1人(土曜日のみ2人)、看護師3人、事務スタッフ5人。看護師および事務スタッフは午前診療(9:00~12:00)・午後診療(16:00~19:00)それぞれでシフト制により勤務しています。そのうち、2人の看護師は泌尿器科経験者で、もう1人は内科経験者。事務スタッフは1人が泌尿器科の医療事務経験者で、4人は未経験者です。

開業にあたっての募集では、全員パート職員として採用し、6カ月後に正社員として登用することを条件としました。
その理由について、花井先生は「もちろん正社員として働くことは本人の意志や生活環境を重視するものですが、職務に対する適性を見極めること、あるいはスタッフ同士の相性などで問題が生じることを避けるためです。また、スタッフ募集を主導した税理士から、6カ月後に正職員に転換する場合に厚生労働省の『キャリアアップ助成金』が利用できることをアドバイスされたことがあります」と説明します。

キャリアアップ助成金は、パートやアルバイト、派遣社員などの非正規雇用者をキャリアアップさせることを目的とした制度。パート職員などのキャリアアップを図って正社員としたり、賃金の規定を改定したりした場合、事業主に助成金が支給されるものです。

採用にあたって、花井先生がスタッフに求めたことは「受付であれ、看護師であれ、プロ意識を持って働く人」だそうです。それを前提として、募集要項には定年を設けないことを明示しました。

「年齢に関係なく、何歳であろうと辞めたくなるまで働ける環境をつくることを提示しました。熱意を持って就職してくださる人が応募してくれるだろうと期待したからです」(花井先生)。

こうして採用されたスタッフは、まだパート職員でありながらも「プロ意識を持って業務に向き合おうとしている姿勢を感じている」と話します。一方で、さらに求めていることは患者さんへの接し方、コミュニケーションにおける要望だそうです。

「もっと患者さんにリピートしてもらう意識を持ってもらえる接し方を望んでいます。初診時の症状が治まり、寛解していったん診療が終了したとしても再び何か症状があったときに来院していただけるために、どのような接し方やコミュニケーションをとるべきか考えてほしいと感じています」(花井先生)。
実際にスタッフに対して未だ話してはいないとしながらも、こう語っています。

悩ましいスタッフ教育やコミュニケーション

開業から約5カ月を経たおはな泌尿器クリニックですが、花井先生が難しいと指摘するのがスタッフ教育です。職務のスキル向上のための研修に限らず、患者さん対応、業務フローなどの改善に向けた院内ルールの浸透など、全員で話し合う機会が設けられないことだと苦心しています。

というのも、研修やミーティングの時間を設けようとしても、現状では看護師・事務スタッフとも午前診療と午後診療で入れ替わるため、昼の休診時間帯を利用できないためです。スタッフはそれぞれの生活サイクルと調整しながら勤務シフトを構成しているので、昼の休診時間に研修やミーティングをしようにも、最低でも1カ月以上前に予定を設定する必要があるそうです。

「近いうちに一度、食事会を兼ねながら話し合う機会を設けようと考えており、全員が出席できるのかどうかの状況をみながら対応を考えています」(花井先生)と、今後のプランを語りました。

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