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  5. 医療法人化とは?メリットとデメリット

クリニック開業 医師 2020.08.05 公開

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医療法人化とは?定義やメリットとデメリットなどを解説

独立後の開業を決意されている先生の中には「将来的にはクリニックを医療法人化したい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。一般的には、プラスイメージで語られることの多い医療法人化ですが、そのメリットとデメリットについて解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #事業計画

「法人」とは、法律上に認められた架空の人格

独立後の開業を決意されている先生の中には「将来的にはクリニックを医療法人化したい」と、いわゆる“法人成り”を視野に入れている方もいらっしゃるでしょう。一般的には、「かなりの節税が見込める上に、社会的信用も増す」というプラスイメージで語られることの多い医療法人化ですが、逆にデメリットとなる点はないのでしょうか。そこで今回のコラムでは、クリニックを医療法人化する上でのメリットとデメリットについてお伝えしていきます。「法人にした方が儲かるらしい」ぐらいの安易な気持ちで法人化し、後で悔やむことのないよう、個人経営のクリニックと異なる点をきちんと把握しておきましょう。
ですがその前に、そもそも「法人」とは何でしょうか? ごく簡単に言えば「法律上、人として扱うことが認められた組織」です。クリニックを医療法人化すると、そのクリニックを所有し経営するのは、創設者の先生ではなく医療法人だということになるのです。この点を先に理解しておくと、法人化のメリット・デメリットが整理しやすくなることでしょう。

医療法人化するメリットとデメリット イメージ

医療法人とは?定義と種類について

ここからは、医療法人の定義と種類について解説していきます。

医療法人の定義とは

医療法人とは、病院・医師が常に勤務している診療所、または介護老人保健施設を開設することを目的として設立される法人のことを指します。開設するには、都道府県知事の許可が必要で、「社団医療法人」と「財団医療法人」の2つがあります。

医療機関で定めている病院と診療所の違いは、次のようなものがあります。病院は、20床以上のベッドがある医療機関のことをいい、2020年の調査によると病院の総数は8,238あると報告されています。診療所は、19床以下のベッドがある医療機関で、入院施設があるものとないものがあり、「医院」や「クリニック」などといわれています。診療所の総数は102,612あると報告されています。

参照:厚生労働省「医療施設調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/20/dl/02sisetu02.pdf

医療機関の種類には、大きく分けて医療法人と個人病院があり、医療法人は、非営利性であることが特徴として挙げられます。医療法人では、営利性のある病院または診療所の開設は許可しないと定められているため、医療法人では余剰金の配当などができません。

また個人病院との違いは、次のようになっています。

参照:厚生労労働省「医療法人の基礎知識」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/houkokusho_shusshi_09.pdf
医療法人 個人病院
種類 病院・診療所・介護老人保健施設など 病院・診療所
届け出 都道府県知事の許可が必要 決められた届け出のみ
登記 必要 不要
診療所数 分院の開設ができる 1カ所のみ
決算 自由に設定できる 12月31日
退職金 遺族または本人が受け取れる 遺族または本人は受け取れない
厚生年金保険・健康保険 加入する義務がある 5人以下の場合加入する義務はない

医療法人にするメリットは、病院・診療所以外に介護老人保健施設を運営するなど、事業を展開していくことが可能になることです。また、医療法人として登録しているため、社会的信用が高くなることも良い点といえます。デメリットとしては、医療法人を開設する際に必要な手続きが多いことなどが挙げられます。

医療法人の種類とは

医療法人には、大きく分けて社団医療法人と財団医療法人の2つがあります。医療法人の多くは社団医療法人で、2010年3月末現在、全体の99.1%以上を占めています。医療法人の類型は、2007年4月より変更されました。

参照:厚生労働省「医療法人の基礎知識」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/houkokusho_shusshi_09.pdf
・社団医療法人とは

社団医療法人は、出資持分があるかないかという考えから、「出資持分のある医療法人」と「出資持分のない医療法人」に分けることができます。
出資持分のある医療法人とは、出資した額に応じる財産権のことを指し、出資持分は贈与税や相続制などの課税の対象となります。
出資持分のある医療法人は、出資持分に関する定めを設けています。1つ目は社員の退社に伴う出資持分の払い戻し、2つ目は医療法人の解散に伴う残余財産の分配があります。ただし、出資持分のある医療法人は2007年の医療法改正により、新規で出資持分のある医療法人を開設することはできなくなりました。
出資持分のある医療法人には「出資額限度法人」、出資持分のない医療法人には「基金制度を採用した医療法人」があります。出資額限度法人は定款により、「社員が退社するとき出資持分払戻請求権や解散するときの残余財産について払込出資額を限度とすることを明らかにする」と定められています。

また、医療法や租税特別措置法が求める厳しい条件にクリアした医療法人に認められる「特定医療法人」という種類もあります。これは、医療法や租税特別措置法による厳しい要件をクリアした法人に与えられる類型です。こちらも出資持分はありません。

・財団医療法人とは

財団医療法人は、個人や法人が無償で寄付した財産を利用して運営される医療法人です。

社団医療法人・財団医療法人には、次のようなものがあります。

社団 財団
医療施設の種類 病院・診療所・介護老人保健施設 病院・診療所・介護老人保健施設
資産 事業に伴う収入 寄付による
名称 医療法人○○会とする 医療法人○○会とする
目的 病院を経営し、適正な医療を普及する 病院を経営し、適正な医療を普及する
厚生労働省「医療法人の業務範囲」
https://ajhc.or.jp/profile/seido.htm#b
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000901066.pdf

医療法人化するメリット(経済・事業上のメリットなど)

医療法人化するメリットとデメリット イメージ

クリニックの所有者・経営者が医療法人である以上、先生への報酬は法人から給与として支払われることになります。つまり給与所得控除を受けることができますし、もっと多くの控除を狙うなら家族を医療法人の役員にして役員報酬を支払うこともできます。加えて所得税や住民税などの個人課税は法人課税に切り替わり最高税率が下がるため、大きな節税効果も見込めます。さらに個人事業では認められていなかった退職金支払いが、院長(理事長)や家族に対して支給可能に。退職金は通常の給与よりも税制面で優遇されるため、こちらも節税に繋がるのです。
経済的なメリット以外にも目を向ければ、事業拡大の容易さがあげられます。医療法人となると、分院や介護事業所など複数の事業所を経営できるようになるのです。手広い経営で高収益化を目指す先生にとっては見逃せないポイント。加えて、例えばお子さんにクリニックを承継する際も、医療法人であれば新たに開設許可を受ける必要がありません。

医療法人化するデメリット(運営上のデメリットなど)

節税や事業展開面で多くのメリットを享受できる一方で、医療法人ならではのデメリットもやはり存在します。中でも多くの先生方を悩ますのが、運営管理が複雑化することではないでしょうか。まずもって法人設立の手続き自体が煩雑な上、毎年の事業報告書や資産登記、理事会の議事録など書類作成の手間も飛躍的に増えます。また社会保険と厚生年金への加入義務が生じるため、未加入だったクリニックにとっては費用負担の増大は免れません。
もう一つ大きなデメリットは、現在は出資持分のない医療法人しか設立できないということ。出資持分とは、出資額に応じて有する財産権の一種。この権利がないということはすなわち、クリニック設立時にいくら出資していようとも、法人が解散することになった際の残余財産は出資者に分配されないということです(基金拠出型医療法人であれば持ち出した金額分だけは戻ってきます)。医療の公益性・非営利性という観点から、残余財産は国や地方公共団体などに帰属する取り決めになっているのですが、「懸命に貯めたお金を没収される」とも捉えられるため、後継ぎのいないクリニックにとっては法人化の大きなネックとなっています。そのため医療法人化については、自分の代だけでなく次の世代まで見通した上で検討をした方が良い、と言えるのではないでしょうか。

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