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少子高齢化による人手不足
我が国は、人口に占める高齢者の割合が増加する「高齢化」と、出生率の低下により若年者人口が減少する「少子化」が同時に進行する「少子高齢化社会」を迎えています。
内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると、2021年現在の高齢化率は28.9%で3人に1人が高齢者で、15歳~64歳の人口は59.4%となっています。約40年後の2060年には、65歳以上の人口はほぼ横ばいで推移する一方で、15歳~64歳は大幅に減少し、高齢化率は38.1%に上昇することが見込まれています。
働き手不足の影響
少子高齢化によって生じる課題は、生産年齢人口(15〜64歳)の減少に伴う、労働力の減少です。戦後から生産年齢人口は増加を続け、1995年の8,716万人をピークに減少が続き、2021年には7,450万人(59.4%)となっています。
将来的に日本の生産年齢人口は、2030年には6,875万人、2060年には4,793万人と推計され、生産年齢人口が最も多かった1995年と比較しておよそ50%も減少すると見込まれています。
生産年齢人口の減少により、クリニックは激しい人材獲得競争を勝ち抜かなければならない状況となっています。実際のところ、クリニックで「人材採用」に関する相談が増えています。人材募集の告知をしても、昔に比べて応募が少なくなっていると言うのです。特に看護師や医療事務の採用が難しい状況となっています。
働き方改革の影響
2019年から「働き方改革関連法」が順次施行され、大企業だけではなく中小企業であるクリニックにおいても重要な経営課題の1つとなっています。また、2020年から始まった新型コロナウイルス感染拡大、その後の長引くコロナ禍の影響により、これまでの働き方が大きく見直される契機となっています。
働き方改革関連法は、長時間労働の解消、非正規と正社員の是正格差、労働人口不足などを課題に作られたものです。具体的には、残業の上限規制や年間5日間の有休消化、適切なインターバルの確保など、全体的に労働時間を抑えることが盛り込まれています。
クリニックにおいて、働き方改革に取り組むためには、一人当たりの労働時間を減らさなくてはならず、現在の業務量のままでは人材をより多く採用する必要が出てきています。先述した通り、人材採用が難しくなってきている現状では、生産性の向上に取り組む必要があります。少ない人員で現在の業務量をこなすことを考えなければならず、クリニックにおいても「業務効率化」が注目されるようになっているのです。
業務効率化を進めるためにデジタル技術に着目
クリニックが、業務効率化を考える際に、「タスクシフティング」と「自動化」を考えることになります。タスクシフティングとは業務分担の見直しを意味しますが、タスクをシフトする先はヒトだけでなく、コンピュータなどデジタル技術の活用にも目を向けるべきでしょう。コンピュータは「定型業務」および「単純作業」に向いています。クリニックの業務の中で、コンピュータに向く業務を探し、速やかに移行することで、業務効率化を図ることが可能なのです。
2022年4月の診療報酬改定でも、働き方改革はメインテーマに設定されており、医師及び医療従事者の負担軽減を目指し、タスクシフティングやICTの活用を進めることが重要となっています。
自動精算機・キャッシュレスの導入
近年、人手不足や働き方改革の影響から、スーパーやコンビニエンスストア、ホテル、飲食店など様々な業種で自動精算機やセミセルフの導入が進んでいます。また、消費税率の引き上げ、東京オリンピック、そしてコロナ禍における感染防止などの影響から、キャッシュレス決済(クレジットカード、交通カード、QRなど)も一気に進みました。この流れは医療界にも来ており、大規模病院では当然のこと、中小規模病院や診療所にも及ぼうとしています。
クリニックにおける精算業務は、電子カルテ(レセコン)で診療報酬を計算し、「自己負担金」を患者から徴収する業務となります。長らくこの業務はレジスターや電卓で釣銭の計算が行われてきました。この精算業務がアナログなために、「レジの打ち間違い」や「釣銭の渡し間違い」「レジ内の合計額の間違い」などが度々発生していました。これらの業務によって、締め作業に時間がかかり、残業の温床となってきたのです。精算業務を自動化し、ヒトを介在しない仕組みにすることで、業務効率化が図れ、人員削減や残業時間の短縮につながると期待されているのです。
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