《ここがポイント!》
- 国立病院機構は2023年度の経常収支が47億円の黒字となったが、前年度から黒字幅が大幅に縮小した。新型コロナ関連の補助金減少が主な要因。医業収支は赤字幅が縮小したものの、325億円の赤字。
- 患者数はコロナ前の水準に回復せず、感染症対策や医療DX、災害対策などに取り組む必要があるが、資金調達の制約や医業収支の状況から十分な資金の余力はないとしている。
~独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第12回 7/30)《厚生労働省》~
全国で140病院を運営する国立病院機構の2023年度の経常収支は47億円の黒字で、前年度の587億円から黒字幅が大幅に縮小した。入院診療の収益が48億円、外来診療では34億円いずれも増えたが、新型コロナ関連の補助金が642億円減った(資料1参照)。厚生労働省の「独立行政法人評価に関する有識者会議」に7月30日、23年度の業務実績を報告した。
一方、経常費用は38億円削減した。材料費が131億円増えたが、給与費は99億円、水道光熱費は43億円共に減った(資料1参照)。病院の本業に当たる医業収支ベースでは325億円の赤字だったが、前年度の432億円から赤字幅が縮小した(資料1参照)。法人全体での患者数は19年度に比べ入院で8.7%、外来で10.2%減少し、コロナ前の水準に回復していない(資料2参照)。
国立病院機構では、本来の役割を果たすには感染症対策や医療DX、災害対策などに取り組む必要があるとしている。ただ、資金調達に関する法的な制約があることや医業収支の状況を踏まえると、資金の余力が十分にあるとは言えないという(資料1参照)。
国立病院機構の経常収支ベースでの黒字幅は、19年度の23億円から20年度には576億円に拡大した。コロナ関連の補助金が増えたためで、21年度には908億円の黒字を確保していた。一方、医業収支は19年度には20億円の黒字だったが、20年度は435億円、21年度は354億円のいずれも赤字だった(資料1参照)。
(資料公表日 2024-07-30/MC plus Daily)
資料1:令和5年度 業務実績評価説明資料(独立行政法人 国立病院機構)
資料2:業務実績評価書(独立行政法人 国立病院機構)
(提供 / 日本経営)
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