クリニックを発展させるスタッフマネジメント ~スタッフの定着・質の向上~
4. コミットメント(約束)の重要性
スタッフのモチベーションを高める上で大切なのは、一人ひとりに役割を与え、それを達成するという成功体験を積み上げていくことです。「評価」、「役割付与」、「依頼」、「達成支援」というサイクルを回しながら、自らの役割を果たすという「コミットメント」をそれぞれのスタッフが達成し、スキルを高め続けられる仕組みを作りましょう。
「評価」のステップでは、スタッフの属性や能力を見極め、これに応じた「役割」を与えます。このとき、クリニック全体の目標と各スタッフの目標の方向性が整合しているかを確認しましょう。
次に、スタッフに役割を「依頼」します。「あなたのこういう能力がこの役割に活きるのだ、ぜひお願いしたい」とスタッフにやりがいと責任を感じてもらえるよう促すことが大切です。また、スタッフの進捗を常に確認し、必要に応じてサポートを提供します(「達成支援」)。こうしたステップを経てふたたびスタッフの「評価」を行い、プロセスを循環させていきます。
5. 一人ひとりに目を配る
コミットメント達成のサイクルを循環させるとき、根幹にあるのは「決めたことは必ず実行する」という思いです。目標を確実に達成するために、組織のガバナンスを強化していくと言い換えても良いでしょう。そのためには、一人ひとりの目標達成状況を常に確認し、適切な指導を行うことが大切です。院長の業務が多くそこまで手が回りきらない場合は、事務長のポジションを設置することも選択肢です。全体に目を配ることができるよう、組織の人員配置を検討しましょう。
6. 採用に当たっての着眼
一人ひとりに役割を付与するには、採用の時点から「こういう役割を担える人材がほしい」という明確なビジョンを持ち、そのビジョンとマッチした人材を迎え入れることが大切です。人手不足は多くのクリニックが抱える悩みですが、自院のビジョンにマッチしない人材を焦って採用してしまっても、お互いに良い結果は得られません。職種ごとに採用のポイントを決めて試験を行うなど、基準を明らかにすることに注力し、ミスマッチをなくす取り組みが大切です。場合によっては採用プロジェクトを発足し、求める人材像をスタッフ同士で議論しても良いでしょう。
7. 内外の人材活用を行う
クリニックのコアとなるのはもちろん診療業務ですが、この円滑な運用をサポートするために、多岐にわたるタスクにも対応しなければなりません。外部のリソースも適宜活用し、クリニックの業務品質を高めましょう。
診療報酬管理や会計業務は、収益を確保し、適切に管理する上で非常に重要です。また、収益をはじめとした各種の目標を管理する、予算実績管理も経営の根幹をなす業務です。これらは基本的には内製化を前提として進めたいところです。
また、生産性管理、院内業務管理、教育管理といった人材管理業務も、主に院内で対応しましょう。教育管理については、外部の研修などを適宜活用しても良いでしょう。
今後のクリニックでは、他の病院・クリニックや介護施設、地域の組織などとの連携を強化していくことが非常に重要になってきます。こうした要素を業務の柱として認識し、スタッフに役割を担ってもらうよう業務整理を進めていきましょう。基本的には院内で対応しますが、コンサル会社などの活用を検討しても良いかもしれません。
また、新たな業務分野にはホームページ・SNS・メディア管理も挙げられます。クリニックのITリテラシーに応じて、ベースとなる部分は外注し、運用は院内で行うスタイルを検討してみましょう。
最後に
今回はスタッフマネジメントをテーマとして、クリニックの経営を強化するアイデアをご紹介しました。スタッフにとって働きやすい環境を整え、モチベーションを引き出すことができれば、それぞれが潜在能力をしっかりと発揮し、クリニック全体の医療や接遇の質が向上します。スタッフの定着率も高まり、さらにクリニックの品質が向上するという好循環を生み出せるでしょう。さまざまな人材が働くクリニックで、組織を結束させるのは院長の明確なビジョンの力です。これをブラッシュアップしつつ、今回ご紹介したアイデアを実践して、クリニックのさらなる発展を実現しましょう。
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