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電子カルテ 医師 事務長 2024.07.24 公開

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電子カルテの規格統一によって医療機関はどう変わる?メリット・デメリットや選び方などを解説

昨今、電子カルテの必要性が叫ばれ、導入率が年々上がっています。一方で、電子カルテを導入することでどのような効果が得られるか疑問に思う方もいるでしょう。本記事では、電子カルテの規格統一(標準化)によって医療機関がどのように変化するのか、導入のメリット・デメリットを踏まえて解説します。今後、導入を検討している方は、規格統一化された電子カルテについて知識を深め、ぜひ参考にしてみてください。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策 #紙カルテの電子化

目次

電子カルテ規格統一とは?

電子カルテ規格統一とは?

電子カルテ規格統一とは、カルテ情報を共有するために、データ形式の規格統一を進める取り組みです。

現在、医療機関同士で電子カルテを経由して医療情報の交換をおこなう場合、システムのメーカー間で規格が異なるため連携が難しくなる点が問題視されています。たとえば、患者さんが転院する際、紹介元と紹介先でデータ形式が異なる場合、規格を変換しなければなりません。データ形式の変換をおこなうと、時間と労力がかかるだけでなく、情報が失われるリスクが発生します。そのため、医療連携が困難になるケースが想定されます。

一方で、電子カルテのデータ形式を規格統一させると医療機関同士での診療情報のやり取りがシームレスに進み、診療効率を向上させることが可能です。

政府は、遅くとも2030年には、おおむねすべての医療機関で電子カルテを導入できるよう、カルテ情報共有の支援策を推進しています。電子カルテ規格統一については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
https://www.phchd.com/jp/medicom/park/tech/ehr-dx

電子カルテ規格統一によるメリット

今後、電子カルテの規格統一を進めるための政策が進められていきます。電子カルテの導入を検討している方は、以下のメリットを押さえておきましょう。

システム間の連携が可能になる

従来はベンダーごとで異なるデータの通信形式を使用していたため、電子カルテを介した情報交換・共有が困難な状況でした。そこで、電子カルテ情報を共有するための統一規格であるHL7 FHIRを使用することにより、データの入出力が規格統一され、システム連携ができるようになります。これにより医療機関同士の情報交換が円滑になり、患者さんにおける診療情報の共有が効率化され、スムーズな診療へとつながるのです。

院内外の情報共有がスムーズになる

HL7 FHIRで規格統一することで、データを規格統一した状態で院内外に入出力することが可能です。情報共有が可能なデータの具体例としては、以下の3文書6情報が挙げられます。

 ● 3文書(診療情報提供書・退院時サマリー・健康診断結果報告書)
 ● 6情報(検査情報・処方情報・傷病名・アレルギー情報・感染症情報・薬剤禁忌情報)

上記の情報が院内外で共有しやすくなることで、より診療効率の向上が期待できるようになるでしょう。

また、院内で検査をおこなう際に電子カルテから患者さんの情報を検査システムと連携させることで、シームレスな診療につなげることが可能です。

システムの導入・移行がしやすくなる

データ形式が規格統一されていない場合、システム同士の接続に手間や費用がかかったり、接続自体が不可になったりするケースがあります。

一方で、データの規格が統一化されることで、システム同士の接続が円滑になり、導入やデータ移行がスムーズになり、さらに連携にかかる時間や費用を抑えることができます。旧システムから新システムへのデータコンバートにおいても、比較的短時間かつ安価に進められるでしょう。

より正確な問診が可能になる

患者さんが転院する際に使用する紙ベースの紹介状だけでは情報量が不足することが想定されますが、電子カルテを規格統一させることで、より正確な問診が実現できるようになります。他にもカルテ情報を電子化すると他院とさまざまな診療情報が共有しやすくなるため、問診を効率的かつ正確に進めることが可能です。

患者さんの治療歴や病歴、特記事項などが瞬時に共有できるようになるため、患者さん・医師とともにやり取りの負担が軽減できるでしょう。

電子カルテ規格統一によるデメリット

電子カルテを規格統一すると、以下のデメリットが想定されます。導入を検討する際は、メリット・デメリットを考えて判断しましょう。

導入・運用コストがかかる

電子カルテの導入には、導入・運用コストが発生します。システムのスペックにもよりますが、導入費用だけで100〜300万円のコストがかかることもあります。

それに加えメンテナンス費用や月額費用(クラウド型の場合)などのランニングコストも発生するでしょう。一方で長期的スパンで考えると、業務効率の向上によって人件費が減らせたり、従来の紙カルテで使用していた紙代などが削減できたりします。

導入する際は、運用期間を仮に設定しそのなかで得られる費用対効果を考えることをおすすめします。たとえば、導入費用が200万円だった場合、電子カルテを5年運用することで人件費が年間で40万円削減できるという5年でペイできるのなら導入するに値する、といった判断ができるかと思います。

操作方法に慣れるまで時間がかかる

電子カルテを運用する場合、操作に関わる医師や看護師、医療事務スタッフなどが操作の練習をする必要があります。特に高齢の医師やスタッフの場合、パソコンに苦手意識を持っている場合があるため、きめ細やかな研修が必要です。

そのため、電子カルテを導入する際は、より使い勝手の良いシンプルな設計のものを選ぶと良いでしょう。導入後はメーカーから十分な操作のレクチャーを受け、一通りの業務がこなせるようになる必要があります。

セキュリティ対策をする必要がある

電子カルテは紙カルテと異なり、ログインさえすれば、誰でも患者さんの情報を閲覧することが可能です。そのため、情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策を徹底しなければなりません。

もし、ウイルスに感染してサーバーが故障すると多くの医療機関で電子カルテが使用できなくなり、診療に支障が出る可能性があります。カルテ参照時のパスワードを暗号化したり、サーバーのバックアップ体制を強化したりなどの対策していきましょう。

停電時・災害時に利用できなくなる恐れがある

停電や災害が発生すると、電子カルテを保存するサーバーやパソコンなどの機器が利用できなくなり、診療に支障が出る可能性があります。電源が確保できなければ、ネットワークやサーバーが機能しなくなります。院内に無停電電源装置を設置することで緊急時のリスクヘッジにはなるものの、利用時間には制限がかかるでしょう。

診療が滞ると、患者さんへの医療提供ができなくなります。最悪のケースを防ぐためにも、紙カルテによる対応ができるような体制を作っておくことが大切です。

電子カルテの普及状況

厚生労働省の医療施設調査によると、2020年時点の電子カルテ普及率は一般病院で57.2%(200床未満の病院は48.8%)、一般診療所で49.9%という結果が出ています。

出典:電子カルテシステム等の普及状況の推移(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000938782.pdf)

この結果から、約半数程度の医療機関が電子カルテを導入していないということがわかります。

導入が進んでいない主な理由は、以下のとおりです。

 ● 導入コストが高くて費用対効果が見込めない
 ● 維持費・ランニングコストがかかる
 ● パソコンに苦手意識がある
 ● 手書きの方が効率的

今後、電子カルテを普及させるためには、上記の懸念が払拭できる操作感・性能を有したシステムの開発を進めていく必要があります。

標準規格型電子カルテの選び方

標準規格型電子カルテを選ぶ際は、HL7 FHIRに対応しているかどうかを確認すると良いでしょう。HL7 FHIRに対応している電子カルテであれば、他の医療機関から同形式で出力された診療情報をインプットできます。情報を受け取る他院側で統一規格に対応していれば、問題なくアウトプットすることが可能です。

次にポイントとなるのが、クラウド型かオンプレミス型かという点です。オンプレミス型の場合、導入コストが比較的高いものの、カスタマイズ性に優れているという特徴があります。それに対して、クラウド型の場合はハードウェアの購入が不要であるため、導入コストが比較的安価に抑えられます。一方で、カスタマイズ性が限定的になるケースがあるでしょう。

上記を考慮しながら、自院に適した電子カルテを選び、院内の業務効率向上につなげましょう。

電子カルテ規格統一によって、クリニックはどう変わる?

クリニックで統一化された電子カルテを導入することで、所見入力の電子化といったカルテ機能に加え、医療DXのサービス群(電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋管理サービス等)を利用できるようになるため、他医療機関との患者さんの情報共有がスムーズになったりします。そのため、院内の業務効率向上や院内・院外との連携がより円滑に進むようになるでしょう。

また、他院へ患者さんを紹介する際には、紹介先が電子カルテに登録した診療情報提供書を電子的に取得できるようになります。患者さんが病院からクリニックへ転院する場合、入院時の診療内容が記載された退院サマリーを電子カルテで確認可能です。通院時は予診票や接種券がデジタル化されるので、スムーズに診療を促せます。

このように電子カルテから出力した診療情報を患者さんが受け取ることで、患者さんの健康管理に対する意識を向上させられます。

規格統一された電子カルテを活用し、切れ目のない情報共有をしながら、患者さんに対してより良いケアを継続していきましょう。

電子カルテの規格統一化で切れ目のない医療の提供を

近年、政府により電子カルテの規格統一が推進され、各医療機関で電子化が検討され始めています。

電子カルテを規格統一すると、院内外での情報共有がスムーズになり、患者さんに提供する医療の質の向上が期待できるようになります。

一方で採用時には、導入・運用コストや停電時・災害時における対策、セキュリティ対策などが課題とされます。

電子カルテを導入する際は、費用対効果が期待でき、切れ目のない医療提供体制が作れるシステムを検討しましょう。

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