目 次
1. そもそもフリーランス医師とは?
医師といえば開業医か勤務医として働く人がほとんどですが、フリーランス医師は特定の医療機関や大学医局に所属せず、複数の医療機関や企業と契約して非常勤で働く医師のことを指します。
フリーランス医師は医師免許と医療技術を生かして仕事の内容や時間を選ぶことができますが、個人事業主になるので社会保険や確定申告も自分で行わなければなりません。
定期非常勤医の働き方
「定期非常勤」は、比較的長い契約期間(半年から1年単位)で、週3日や一日5時間など、曜日や時間を決めて働く非常勤の勤務形態です。子育てや介護など自分の都合に合わせて勤務時間をあらかじめ調整することができ、フリーランスの中でも比較的安定した働き方ができます。
勤務時間の制限があるために常勤勤務できない場合だけでなく、医師としての専門性を高めるために、大学病院や専門の医療機関で経験を積んだり、逆に大学病院で高い専門性を持っている医師が開業前に地域診療や総合医療の経験を積んだりするため、定期非常勤で勤務する場合もあります。
医療機関としても、高い専門性を持つ医師を常勤雇用しなくても、定期非常勤で週1〜数回、専門外来や患者相談会、夜間の当直などを目的に非常勤医師を確保できるので、医師と医療機関の双方にメリットがあります。
スポットバイトの働き方
スポットバイトは短時間や一日・数日単位のアルバイト勤務です。地域の健康診断や学会出席、病気などの理由で、常勤医師が不在の時に外来や当直業務を行います。学会や、夏休み、年末年始などは非常勤医師の需要が多いため、年間計画で集中して働く医師もいます。
定期非常勤とスポットバイトを組み合わせた働き方
スポットバイトは、一般的に定期非常勤より高時給の仕事が多いのですが、常に希望の仕事を年間通して確保できるとは限りません。
フリーランスの医師にとっては、安定した勤務と収入を得るため、希望の働き方や診療科の仕事を定期非常勤で確保しておくと安心です。
2. 常勤医師の働き方
常勤医師は、正社員と同じように、特定の医療機関と雇用契約を結び、週5〜6日終日働きます。病棟や救急診療の有無により異なりますが、月に1、2回の当直勤務や夜間・休日のオンコールの対応も必要となります。
3. フリーランス医師として働くメリット・デメリット
フリーランス医師といえば、高収入で時間も自由になりそうというイメージがあります。その一方で、保障はなく失職や医療事故への不安もあります。常勤勤務医と比べて、フリーランス医師として働くメリットとデメリットをまとめてみました。
フリーランスで働くメリット
- 医師としてのライフプランを主体的に設計できる
- 短期間で収入アップを見込める
- 医師としてのスキルアップや経験を積むことができる
- 組織への責任や人間関係のトラブルから解放される
常勤医師として勤務していると、結婚や子育て、介護などのライフスタイルの変化があっても、勤務先の労働条件や勤務形態に従わなくてはなりません。
フリーランスで働く最大のメリットは、今後の医師としての働き方やキャリアアップとプライベートのライフプランを自分が主体となって設計できることです。
フリーランスで働くデメリット
- 収入の安定性がなく、人生設計が立てにくい
- 医療事故やトラブル発生時に守ってくれる後ろ盾がない
- 学会や医療技術習得の経費は自己負担となる
- 組織のマネジメントをする機会が少ない
フリーランス医師は、組織に属さなくてよい代わりにすべてが自己責任となります。個人事業主の経営者として、万一のリスクに備えた保険や保障、確定申告や税務業務など外部専門家との連携も必要になります。
自由な時間と働き方を手に入れる一方で、勤務医ならば院内スタッフに任せることができた医療以外の業務やその調整に携わる時間が必要となります。また、将来、開業を目指している場合は勤務医として組織のマネジメント能力を身につける機会が少ないので、クリニック開業後の経営面で問題となる場合もあります。
4. 常勤医師として働くメリット・デメリット
医療機関の規模や専門科によって異なりますが、専門医の資格を取るまでは大きな病院の常勤医として働くことを選ぶ医師が多く、それなりのメリットがあります。
常勤医師として働くメリット
- 安定した収入と労働環境を得ることができる
- 先進医療や最新の医療機器を使った医療技術を習得できる
- 組織マネジメントや経営を学ぶことができる
常勤医師として働く環境としては、大学病院や大規模公立病院など、比較的大きな病院が選ばれることが多いようです。中小の病院では結核医療や感染症医療など民間では携わらない症例を多く診ることができるなどのメリットがあります。また、地域によっては、救急医療や小児科、産婦人科は不採算部門として診療をやめる民間病院もありますが、公立病院では地域医療に不可欠な診療科として研鑽を積むことができます。
さらに、国公立病院では公務員として安定した収入と福利厚生面でも恵まれ、退職後の退職金も受け取ることができます。
常勤医師として働くデメリット
- 労働時間が長い
- 勤務外のオンコール対応
- 給与が低い
常勤医師で働く一番大きな不安は、毎日、長時間の時間外労働の激務が続くことです。給与が低いことに加えて、長時間労働で健康面での不安を抱える勤務医も少なくありません。
また、大学病院で勤続15年ほどの40歳前後の勤務医師は、大学病院内の限られたポストをめぐって先行きの不安定さを抱え、開業もしくは民間病院への転職を考え始めます。
常勤医師が先進医療施設を持つ医療機関で働くばかりとは限りません。地方の公立病院など、老朽化した設備と医療機器で長時間働かされるという不満を持つ医師もいます。
5. フリーランス医師と常勤医師の給料事情とは?
フリーランスと常勤の給料事情について、ざっくり言うとフリーランスは委託された仕事単位、時間単位で高額な収入を得ることができますが、常勤医師は勤続年数や役職によって決まります。
フリーランス医師として働く平均年収とは?
フリーランス医師は、診療科や地域によって異なりますが、給与は日給もしくは時給制で支払われます。時給1万円を下回ることはなく、医師不足の地域や難易度の高い診療科では、時給が2万円近くなることもあります。
時給1万円の場合、1日8時間勤務で週5日フルに働くことは少ないですが、夜勤やスポットの組み合わせで、合計週40時間働くとすると、計算上は、週40万円、月収160万円、年収約2,000万円となります。常勤医は30代まで収入が低い場合が多いため、収入だけでいうとフリーランスが有利かもしれません。
しかし、個人事業主で社会保障が少ないことや交通費や研究費や税理士などの費用がかかることを考えると圧倒的に高収入とは言えません。
常勤医師の平均年収とは?
厚生労働省の2019年度医療経済実態調査によると、常勤勤務医の年間給与は約1,100万円とされています。勤務先からの給与と賞与を合わせた金額の平均ですが、週に1~2日ほどアルバイトを行うという医師も多く見られます。
6. 常勤に向いている医師とフリーランスに向いている医師
常勤医は、医師としての経験・能力を高めて安定した収入・環境を求める医師に向いています。
フリーランスは、就業時間や働き方をコントロールしやすいので、育児や介護、専門の研究などで時間の制限がある医師に向いています。
7. まとめ
以上、常勤医師とフリーランス医師のメリット・デメリットを挙げてみました。フリーランス医師として働くことができるのも医師の資格があるからです。医師のキャリアとプライベートのライフプランを考えた上で働き方を考えることをおすすめします。
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