“患者を呼べる待合室”の作り方
居心地の良い場所に、人々は集まる
以前(バックナンバー:『設計の基本構想と業者選定』参照)お伝えした通り、開業にあたっては内装計画をしっかり立て、待合室を快適な空間にしておくことは非常に重要です。体に不調を抱え不安な気持ちでクリニックを訪れる患者さんたちにとって、最も長い時間を過ごすことになる待合室の印象は、そのままクリニック全体の印象と直結すると言っても過言ではないからです。カフェやレストランの例をあげるまでもなく、人は居心地の良い場所に集まりやすいもの。もし先生が「医師は腕前ありき」とのポリシーをお持ちであろうとも、最終的にどのクリニックを選択するかの決定権を持つのは医師ではなく患者です。明るく開放的な内装の待合室には「安心して診てもらえる」と無意識のうち感じるでしょうし、感じの悪い待合室には「ここ大丈夫かな…」と無意識に警戒心を抱くことでしょう。つまり待合室のありよう如何で、集患率は少なからず影響を受けるということ。では集患率の上がる、“患者を呼べる待合室”にするためのポイントはどこにあるのでしょうか。
まずは存在感の大きいインテリアから考える
突然ですが「待合室のインテリアでいちばん目立つもの」といえば何でしょうか? 答えには様々あるでしょうが、医師目線ではなく患者目線で考えた場合にはソファーという回答がかなりの数を占めることでしょう。空間に占める割合の大きさはもとより、待ち時間のあいだずっと座り続けることで印象に残りやすいからです。つまり待合室のインテリアを考える際、ソファーの選択には細心の注意が必要だということです。デザインテイストが待合室の内装としてふさわしいものか? 床材や壁材とマッチする色合いか? 高齢者や足腰の弱い患者にとって座面が低すぎないか? 汚れが拭き取りやすいか? といった複数の観点からチェックしていきましょう。ソファについては必ずしも医療機器専門業者の取り扱い製品から選ぶ必要はないため、街の家具店にも置いてあるような一般向けの製品にも目を向けるべきです。選択肢が一気に増えるため、理想に近い製品に行き当たる可能性が高まることでしょう。
ポスターの色褪せは、クリニックイメージの色褪せ
また、待合室の印象に影響を与える意外なものとして、医療情報などを知らせるポスターがあげられます。これらは一度掲示してしまうと剥がす必要性を感じるタイミングがあまりないため、ついついそのままになってしまいがち。長期間貼っぱなしになったポスターは色が褪せ、汚れも目立ってきます。ところがついに破れまでが見られるようになっても、医師やスタッフは毎日目にしており、そのことに鈍感になっている場合があるのです。みすぼらしいポスターがほったらかしになっているクリニックに、好印象を持ってくれる患者さんはいるでしょうか? 定期的に掲示するものを見直して、常にフレッシュなイメージを保つようにしておきましょう。なお、内装計画の段階で掲示スペースを集約化しておくと、ポスターが無造作に貼られることもなく、雑然とした印象を抑えることができます。集患のためにもう一歩積極的な取組みをするのなら、ポスターを貼り出す際にクリニックからの一言コメントを追記するのがお薦めです。「なぜこの医療情報を掲示しているのか」「ポスターのどの部分が特に重要なのか」などが解説してあると親しみも湧きますし、他のクリニックとの差別化にも繋がります。書店の手書きPOPなどを参考に、トライなさってはいかがでしょうか。
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