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クリニック経営 医師 事務長 2024.10.23 公開

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クラークとは?種類や業務内容、導入する際のポイントを解説

診療に関連する事務作業の増加に伴い、クラーク導入を検討している方は多いのではないでしょうか。本記事では、クラークの定義や業務内容、導入のポイントを網羅的に紹介し、導入のポイントなどを詳しく解説します。クラーク導入の具体的なイメージが持てるようになりたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #開業直後の悩み #業務効率化

目次

クラークとは

クラークとは?種類や業務内容、導入する際のポイントを解説

クラークとは、コメディカルスタッフの1つで、事務作業や秘書業務などを担当する職種です。主に医師のサポートをしながら、診断書、退院サマリー、紹介状返書の作成といった事務作業を行います。具体的にどのような業務を担当するのか、解説します。

定義

クラークとは、医療機関で医師の事務作業を補助する「医師事務作業補助者」を指します。2008年度の診療報酬改定で創設された「医師事務作業補助体制加算」を契機に誕生し、勤務医の負担軽減を目的として全国の医療機関に普及していきました。

クラークは医師の指示下で、診断書などの文書作成補助やカルテの代行入力、医療の質向上のための事務作業などを担当します。細かい業務内容は医療機関の特性により多岐にわたります。

また、クラークには特定の資格が不要なため、有能な人材が医療現場で活躍できる機会が広がっています。クラークの導入は、医療スタッフの負担軽減や活躍できる人材の幅の広さから、医療サービスの効率化と質の向上に大きく貢献するといえるでしょう。

2024年度診療報酬改定におけるクラークの取り扱い

2024年度診療報酬改定では、医師の業務への適切な支援の促進を目的として、医師事務作業補助者体制加算が見直されました。これまでの改定でも、医師の働き方改革を推進することが基本的な考え方として盛り込まれており、強化が図られた形です。

たとえば、医師事務作業補助体制加算1の施設基準では、従来の3年以上の勤務経験者を5割以上配置する要件に加え、補助者の勤務状況と業務内容の定期的評価が推奨されるようになりました。さらに、加算1及び2の評価点数が20点引き上げられています。

なお、診療報酬は入院医療のみが対象です。しかし、無床クリニックもクラークを活用する考え方の参考になる部分はあるため、目を通しておくとよいでしょう。

これらの変更は、タスクシフティングを進めるためにクラークの役割の重要性が認識され、その質の向上が求められていることを示唆しています。

医療機関は、クラークの効果的な活用と継続的な評価体制の構築を通じて、医師の負担軽減と医療サービスの質向上を図ることが期待されています。

医療事務・看護助手との違い

クラークに近い職種として、医療事務や看護助手が挙げられます。各職種の主な業務を以下の表にまとめました。

職種 主な業務
クラーク 医師の事務サポート(診断書作成、カルテ入力代行など)
医療事務 受付窓口(患者対応、会計、レセプト作成など)
看護助手 看護師のサポート(患者さんの身体的サポート、食事・更衣の介助など)

クラークは医師の業務効率化、医療事務は病院運営の円滑化、看護助手は直接的な患者ケアのサポートをそれぞれ担当します。

各職種が連携することで、医療サービスの質が向上し、患者さんが安心して治療を受けられる環境が整います。

クラークの業務内容

クラークの業務は、カルテの代行入力、文書の代行作成、予約調整、診療に関するデータの管理や資料作成に分けられます。いずれの業務も、原則として医師の指示のもとで行われることが前提です。それぞれの業務内容について、詳しく解説します。

カルテの代行入力

クラークによるカルテの代行入力は、医師の業務効率化に貢献する重要な業務です。電子カルテを導入していれば電子カルテの代行入力、紙カルテであれば代行記載がクラークの業務にあたります。

クラークが作成したカルテは、最終的に医師が確認することが必要です。

文書の代行作成・予約調整

文書の代行作成では、診断書や各種保険証明書の作成が主な業務内容です。そのほか、患者さんの診療・入院・手術の予約を調整する役割を担う場合もあります。

作成された書類は、最終的に医師が内容を確認し、署名や押印で承認します。

診療に関するデータの管理や資料作成

診療データの二次利用のサポートは、医療の質向上に欠かせない業務です。具体的には、学会やカンファレンス用に向けて、診療データを分析・編集しやすいようにクリーニングしたり、データを管理しているフォルダに積み上げたりします。

また、がん登録やサーベイランス報告などに届出ている医療機関であれば、報告用の統計作成や調査も業務範囲に含めて対応しているケースもあります。

クラークの種類

クラークは、外来と入院の2種類に分けられます。担当業務が異なるため、自院での役割分担の参考にしてください。

外来クラーク

外来クラークは、外来患者の診療に伴う事務業務を担当し、診療の円滑化と医療スタッフの負担軽減に貢献する役割を担います。具体的には、クリニックでは、受付業務から指示に基づいた診療のサポート、病院ではカルテの代行入力や文書作成補助が主業務です。

病棟クラーク

病棟クラークは、入院患者に関する専門的な事務業務を担当し、入院生活の円滑化と医療スタッフの負担軽減に貢献する役割を担います。具体的には、受付業務やカルテの管理、物品の手配などが挙げられます。施設によっては、紙媒体のスキャン取り込みや看護補助者に近い業務を担当するケースも珍しくありません。

クラークを導入する際のポイント

クラークは、診療現場の事務周りをサポートし、先生や各職種が自分の業務に集中できる環境づくりに貢献する職種です。しかし、ただ導入するだけではコストだけが増えてしまい、十分なメリットを得られない恐れがあります。そこでここでは、クラークを導入する際に整理しておくべき3つのポイントを解説します。

担当業務を明確にする

クラーク導入の成功には、担当業務の明確化が不可欠です。クラークは医師の事務サポートだけでなく、病棟での看護師の事務的サポートや受付業務など幅広い役割を担う可能性があります。そのため、効果を最大化するためには担当業務を明確にしなければなりません。

たとえば、受付業務をお願いすると医療事務との差がなくなってしまいます。また、看護師の補助にまわってもらう機会ばかりでは、看護補助者と変わりません。よって、日々の診療のなかで課題となっているものに優先順位をつけ、優先度の高い業務がクラークに適しているかを判断する手順が必要です。

優先順位をつける際には、医師の視点だけでなく多職種の意見を交えて、クラーク業務を明確にしていきましょう。

向いている人を採用する

クラークには特別な資格は不要ですが、適切な人材を採用することが大事です。以下のスキルを持つ人材が望ましいでしょう。特に重要なのは、パソコンスキルと気づきを行動に移せる配慮の部分です。診療を止めないタイピングスピードや、医療者と患者さんの表情から何をすべきかを体現できる人がクラークとしての能力を発揮してくれる有力候補といえます。

(事務作業能力)
● 診察の様子を見聞きしながら正確にカルテを入力できるパソコンスキル
● カルテの内容から必要な内容をピックアップし診断書を形にできる情報収集と要約のスキル
● データを管理しやすい形に加工しまとめる情報処理のスキル

(コミュニケーション能力)
● 医師や看護師からの指示を汲み取るスキル
● 患者さんや家族にわかりやすく伝えられるスキル
● 周りのスタッフと協働しやすい雰囲気

面接や採用試験だけですべてを把握するのは難しいでしょう。そのため、複数人で対応して多角的に評価すると、自院に適した人材かどうかの見極めがしやすくなります。

待遇を整理する

クラーク導入の成功には、待遇面の事前整理が不可欠です。なぜなら、医療事務としての待遇なのか、クラークとして独立した待遇なのかで、求人情報を見る応募者の印象が変わるためです。

医療事務の場合、受付や会計、診療報酬に関する知識などをもっている方が、医療事務の相場をもとに応募する可能性があります。一方、クラークの場合、医師事務作業補助者や病棟クラークでの知識や経験をもとに、クラークの相場を踏まえて応募する可能性があるでしょう。

どのような待遇を準備するかで、求人への反応は変わってきます。そのためには、現状の患者単価や一般的な賃金の把握が欠かせません。その理由は、適切な待遇の条件を整えなければ、採算が取れなくなる恐れがあるためです。

社会保険診療報酬支払基金や厚生労働省が公表している診療報酬の点数や賃金例をもとに、待遇の条件を考えてみます。

● 【単価】:診療所における1日当たり点数:755.7点(7,557円)
※社会保険診療報酬支払基金「診療報酬算定件数・日数及び点数の状況(諸率)(医科-入院外)」より

● 【賃金】:クラーク含む医療事務の平均求人賃金:19.3万円(月額)
厚生労働省「職業情報提供サイト」医療事務求人賃金(月額)より

週5日稼働(1ヶ月21日)、1日当たり40人の診療を行っていると仮定した場合、1日当たり約30万円(7,557円×40人)、1ヶ月当たり約640万円(30万円×21日)のなかから、クラークの日給約9,190円(19.3万÷21)を捻出できるか、という計算ができます。

※計算を簡略化するため、固定費を含めずに算出。

待遇面を考えるためには、まず自院の状況を客観的に把握し、応募者が満足できる条件を整える必要があります。

出典:「医療機関別診療状況令和4年度診療分」(社会保険診療報酬支払基金)
https://www.ssk.or.jp/tokeijoho/tokeijoho_02.files/iryoukikan_r04.pdf
出典:「職業情報提供サイト内医療事務」(厚生労働省)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/443

まとめ

クラークは、医師の事務作業を補助し、医療現場の効率化や医師の負担軽減に貢献する重要な職種です。カルテの代行入力や文書作成を依頼すれば、医師は診療に集中できるようになり、より患者さんの満足度を高められます。それ以外でも、簡単な看護補助や窓口業務などを担当してもらうことで、スタッフの負担軽減が図れます。

クラークは、診療の現場に近い場所で働く機会が多い分、人柄が重視される職種です。まずは自院が求める具体的なクラークの人物像について検討したり、担当業務を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。

クラーク運用について詳しく知りたい方は、以下のセミナーがおすすめです。
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著者情報

武田 直也 氏

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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