目次
時間外・休日・深夜の加算とは
時間外・休日・深夜などの時間外等加算とは、保険医療機関が標榜する診療時間以外に受診する患者さんに対する加算のことで、初診料・再診料とは別に請求できます。時間外等加算とは、主に以下の3つをいいます。
- 時間外加算:医療機関が標榜する診療時間外の時間
- 休日加算:日曜日および国民の祝日(12月29日〜1月3日)
- 深夜加算:午後10時~翌朝の午前6時
ただし、上記3つの加算はいずれも併用して算定できず、条件が重複する場合は最も点数の高い加算を適用します。
出典:診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について(厚生労働省)(PDF)
(https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1d_0001.pdf)
時間外・休日・深夜の加算の算定要件
時間外・休日・深夜加算の算定要件について、それぞれ解説します。
時間外加算の算定要件
保険医療機関が標榜する診療時間以外に受診した患者さんに、時間外加算の算定要件が適用できます。保険医療機関は、診療時間をわかりやすい場所に表示しなければなりません。
平日と土曜日には、以下の時間帯が算定できます。
- 平日:午前8時前と午後6時以降
- 土曜日:午前8時前と正午以降
ただし、当該時間を診療時間とする保険医療機関などでは、その表示する診療時間以外を「時間外」として取り扱います。時間外加算は患者さんからの希望で緊急を要する診察の場合に算定できますが、保険医療機関の都合で時間外に診療が開始されたケースでは算定できません。
休日加算の算定要件
休日加算は、休日の救急医療を確保するために診療を行っている保険医療機関を受診した患者さんに対し、算定できます。
具体的な対象医療機関は、地域医療支援病院、認定された救急病院や救急診療所、地方自治体の救急医療対策事業に位置付けられている保険医療機関です。
休日加算の対象となる休日は、以下の通りです。
- 日曜日および国民の祝日
- 1月2日
- 1月3日
- 12月29日〜31日
当該休日を休診日としている医療機関に、患者さんからの希望で緊急を要する診察の場合に算定できます。
出典:診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について(厚生労働省)(PDF)
(https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1d_0001.pdf)
深夜加算の算定要件
深夜加算は、地域の救急医療確保のため、深夜診療を行う医療機関を受診した患者さんに対し、算定できます。
加算の対象となる医療機関は、地域医療支援病院、認定された救急病院や救急診療所、地方自治体の救急医療対策事業に位置付けられている保険医療機関などです。対象となる時間帯は、午後10時~午前6時までです。ただし、以下のケースでは算定できません。
- 医療機関の都合で深夜の時間帯に診療を行った場合
- 通常から深夜時間帯に診療を行っている医療機関の診療時間内である場合
出典:初・再診料について(厚生労働省)(PDF)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000291v3-att/2r985200000293c3.pdf)
時間外・休日・深夜の加算の点数
初診・再診の場合の時間外・休日・深夜加算点数は、それぞれ以下の通りです。
【初診の場合】
6歳未満 | 6歳以上 | |
---|---|---|
時間外加算 | 200点 | 85点 |
休日加算 | 365点 | 250点 |
深夜加算 | 695点 | 480点 |
【再診の場合】
6歳未満 | 6歳以上 | |
---|---|---|
時間外加算 | 135点 | 65点 |
休日加算 | 260点 | 190点 |
深夜加算 | 590点 | 420点 |
夜間・早朝等加算と届出について
夜間・休日・深夜等加算と似たものに「夜間・早朝等加算」がありますが、この加算は時間外等加算とは明確に区分されています。
夜間・早朝等加算は、軽症の救急患者を地域の身近な診療所で受け入れることで、病院勤務医の負担軽減を図る目的があります。医療機関が標榜する診療時間内のうち、以下の時間帯に受診があった場合、初診料・再診料に加えて50点の加算が可能です。
- 平日:午前6時〜8時、午後6時〜10時
- 土曜日:午前6時〜8時、正午〜午後10時
- 休日:午前6時〜午後10時
医療機関が診療時間として標榜している時間帯であっても、産業医・学校医・地域活動の業務などで医師が不在となる場合は、表示時間に含まれません。
夜間・早朝等加算の施設基準は、1週間当たりの表示診療時間が合計30時間以上の診療所に限られます。ただし、精神科ナイトケアや人工腎臓治療などの加算を算定している診療科は対象外です。
また、おおむね月1回以上、当該診療所の医師が、深夜における救急医療の確保のため、夜間・休日に地域医療支援病院・認定された救急病院や救急診療所・地方自治体の救急医療対策事業に位置付けられている保険医療機関などで診療に協力している場合は、1週間当たりの表示診療時間が合計27時間以上でも良いとされます。
診療所が夜間・早朝等加算の施設基準を満たしていれば、厚生局への届出を行う必要はありません。
時間外・休日・深夜の加算についてよくある質問
時間外・休日・深夜の加算について、よくある質問にお答えします。
時間外対応加算との違いは?
時間外・休日・深夜加算の3種類を指す「時間外等加算」と似たものに「時間外対応加算」があります。
時間外対応加算は、診療時間外に患者さんからの問い合わせがあった場合などを含め、24時間体制で外来診療や往診、他医療機関の紹介などの対応を行う診療所の再診患者に対し、算定可能です。
算定要件と点数は以下の通りです。
点数 | 算定要件 | |
---|---|---|
時間外対応加算1 | 5点 | 原則、常勤の医師又は看護職員等により、常時対応体制があること |
時間外対応加算2 | 4点 | 診療所を継続的に受診している患者またはその家族から電話などの問い合わせに対し、非常勤の医師、看護職員、または事務職員が常時電話等で対応可能な体制を整えている ※2024年診療報酬改定により新設 |
時間外対応加算3 | 3点 | 標榜時間外の夜間に数時間の対応体制がある |
時間外対応加算4 | 1点 | 自院を含め最大3つまでの診療所による連携体制がある |
出典:個別改定項目について(厚生労働省)(PDF)
(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001220377.pdf)
緊急時の往診にも時間外・休日・深夜加算は適用される?
2024年(令和6年)度診療報酬改定において、患者さんの状態に応じた適切な往診の実施を推進する観点から、緊急時の往診にかかる評価が以下のように見直されました。
出典:令和6年度診療報酬改定の概要【在宅(在宅医療、訪問看護)】(厚生労働省)(PDF)
(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001226864.pdf)
ここでの夜間、深夜、休日の取り扱いは、以下の通りです。
- 夜間(深夜を除く):午後6時〜午前8時
- 深夜:午後10時〜午前6時
- 休日:日曜日および国民の祝日、1月2日・3日、12月29日〜31日
ただし、保険医療機関の標榜時間に含まれる場合は、夜間・休日・深夜往診加算は算定できません。
時間外加算は受付時間と診療開始時間どちらで適用される?
時間外加算の算定対象となる時間は、受付を行った時間です。来院患者が多い場合や保険医療機関の都合などで、当該加算の算定対象となる時間に診察を開始した場合は、対象外となるため注意が必要です。
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まとめ
時間外・休日・深夜などの時間外等加算は、保険医療機関が標榜する診療時間以外に受診した患者さんに適用されます。それぞれ要件が定められており、併用して算定することは不可能です。
また、夜間・早朝等加算や時間外対応加算などとも異なります。今後も診療報酬改定などにより、算定要件の見直しや新設が行われる可能性があるため、それぞれの違いを把握し、診療報酬を適切に算定しましょう。