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クリニック経営 医師 事務長 2024.08.06 公開

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「開業して一番つらいのは…」30代、開業医のリアル座談会Vol.2

変化と多様性の時代。医師の生き方・働き方も時代に合わせ、これまでとは異なる選択を求められるようになりました。「開業」を選んだ先生は、いつ・何を考え・どう動いたのか?ライフプランとキャリアプラン、経営の悩みや戦略など、実際の先生3名に匿名でお集まりいただき、座談会形式で開業医のリアルに迫ります。前回は、先生方のプロフィール、最近の関心ごとについてお聞きしました。今回は、「開業のきっかけと実感」に迫ります。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #開業地選定 #事業計画 #労務管理 #開業直後の悩み #マネジメント #30代、開業医のリアル #業務効率化

目次

<参加いただいた先生のプロフィール>

ぐちょぽい先生 眼科クリニック開業医。30代。専門は角膜感染症、ぶどう膜炎、神経系。
くるとん先生 内科クリニック開業医。30代。専門は消化器内科全般、肝臓内科。
KOTATSU先生 内科クリニックの開業準備中。30代。専門は糖尿病、内分泌内科。

※座談会は2024年3月に実施された内容です。各先生のお名前はハンドルネームです。

>前回はこちら!「医院経営で気になっているのは…」30代、開業のリアル座談会Vol.1

開業のきっかけ

――まずは先生方が開業しようと考えたきっかけを教えていただけますでしょうか。ぐちょぽい先生は様々なクリニックで兼務、くるとん先生は承継など、現在の形態で開業しようとお考えになった理由も、併せてお教えください。

くるとん先生:私の場合は、小学校に入る前から父が開業していたのが1番の動機です。クリニックが1階、自宅が2階というスタイルでしたので、幼少時から医師になって開業することが当たり前と考えていました。父は医師10年目で開業していたこともあり、私も自分が医局に入局する際には「10年目くらいで開業します!」と教授に伝えていました。今考えると生意気ですが…(苦笑)。

――お父様の影響で開業医を目指されたと。承継も考えられていましたか?

くるとん先生:当初は元々あったクリニックでそのまま診療することも考えたのですが、築30年以上経過し老朽化していること、医師1名分の診察室しかなく、改築する場合は数千万かかると言われたことなどから、旧クリニックの近隣の土地を購入し新クリニック建築に至りました。ぐちょぽい先生はいかがですか?

ぐちょぽい先生:大学病院で研修を積んで専門医を取っても、自分の仕事がなかなか評価していただけないと感じ、医局を離れる決意をしました。

――医局を離れるにあたって、最初から開業を目指していたのでしょうか?

ぐちょぽい先生:自分一人での開業のほかに、市中病院の部長や近隣の医院の継承など色々なお話をいただきました。開業を検討する際にネックとなったのは私が手術全般の経験が少ないことでした。眼科では様々な日帰り手術が主流になっており、手術なしでの開業はミドルリスクローリターンとなってしまいます。
悩んでいたところで、現在所属しているクリニックグループの理事長と出会いました。理事長は手術全般が得意だけれども外来が苦手。私は外来全般が得意だけれども手術が苦手で、お互いの利害関係が一致し、2人でクリニックを盛り上げていくことになりました。
おかげで、私は、基本は外来に集中しつつ、手術はやりたい時だけ担当という形をとらせていただいています。クリニック全体としては手術でしっかりとした収益が確保できるので、私1人で手術無しでの開業をした際のシミュレーションよりも、利益をあげることができました。

努力や労力に見合った報酬と、働き方を選べる点が開業の魅力

――KOTATSU先生は目下クリニックの業態を検討中とのことですが、勤務医時代に元々考えていた形はありましたか?

KOTATSU先生:私はもともと、開業は考えていませんでした。ミトコンドリアに関する基礎研究で海外発表をしたり、専門医試験の問題集を単著で400ページ書いたりしていて、大学でのし上がってやるんだ!と思っていました。

――順風満帆な勤務医生活だったように思えますが、何がきっかけで開業を考え始めたのでしょうか?

KOTATSU先生:出世競争です。絶対次の教授になる!と信じていた直属の上司が教授選に敗れてしまい、私の博士号の審査前に別の大学へ移ることになりました。私は審査前なのでついていくこともできず、新しい教授が外部から医局員を連れてきて、急に居場所がなくなってしまいました。元上司も新しい大学で教授にはなりましたが、なかなか大変な状況で、元部下である私の処遇まではフォローできなかったみたいで。

――大学病院を離れる際、市中病院などの選択肢もあったかと思うのですが、開業を選ばれた理由はありますか?

KOTATSU先生:収入の面はありますね。大学での夢が絶たれた以上は、思い切ってキャリアを変えたいと思いました。そもそも大学で教授になっても、開業医の報酬の半分以下ですから…。開業は実際楽しいのか、勤務医と比べてどうなのかと知りたくなり、雇われ開業医も経験しました。コロナの時期だったので、ただただ捌く、きたら捌く、という感じで、売り上げは増えましたが、雇われなので実入りは少なく、自分で開業したほうが、と思いました。

――大学病院、雇われ開業の経験から、開業という解にたどり着いたということですね。

KOTATSU先生:はい。勉強や愚直な努力、苦労が、比較的そのまま報酬にも結びつきやすい開業は、医師の働きかたとして最適解のひとつだと思います。理想のスタイルは、診療内容は専門外来(糖尿病、甲状腺)プラス訪問診療も検討、自身は週3-4勤務として、専門領域に関する講演会などもお受けできるような時間を確保する…といった形でしょうか。
とはいえ、本気で開業で生き残るならまずは週6勤務してしっかり結果を出して、資金が潤ってきたら、非常勤や常勤の先生を雇って、自分の時間を徐々に確保するのが現実的かもしれません。

一方、開業医のつらいところは…

――皆さん開業されて良かったと感じておられると思いますが、勤務医時代と比べてギャップを感じる瞬間や、辛いと感じたご経験はありますか?

KOTATSU先生:ギャップとしては、開業医は経営者としてやはり孤独になりがちですよね。スタッフは敵ではないですが、医院経営という観点からは、やはり同じ視座をもっている方ばかりではないので…。
勤務医時代のように、医局で隣あってくだらない話や相談を気軽にできる仲間がいたりするのは、精神安定上良いだろうなと感じます。その意味ではぐちょぽい先生の、医師同士で得意苦手を補う協働も理想形の一つかもしれないですね。

ぐちょぽい先生:おっしゃる通りで、開業医にとって一番辛い点も孤独かもしれません。勤務医であれば辛い症例、揉めてしまった症例があったとしても、同僚と気軽に相談したり、転勤によって関係をリセットしたりすることができますが、開業医だと相談できる相手もいませんし、逃げることもできません。実際それが辛くて、人員的には自分だけで問題ないのに、わざわざ後輩を雇って2診制にしはじめた先生もいらっしゃいました。もちろんオープンしたては「損益分岐点を超えるか」が1番の心配事でしょうが、収支が落ち着いてくると孤独の解消や、自分の時間の確保に悩まれている先生が多い印象ですね…。
あとは勤務医と開業医の1番のギャップといえば、定番ですが臨床業務以外のところでしょうか。雇われの時って、医学のことだけを考えていれば良いですが、開業医だと臨床は「出来て当たり前」で、スタッフ管理に頭を悩ませることばかりです。
皆さんもそうではないでしょうか?

――ありがとうございます。スタッフ管理のお悩みについてはこの後のパートにて、詳しくお伺いできればと思います。

シリーズ「開業医のリアル」座談会の様子は、全8回(予定)に分けて配信いたします。
次回は、「開業医の永遠の悩み、スタッフ管理」に迫ります。

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