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調剤報酬改定を振り返って今後の薬局が取り組むべき課題

【レポート】調剤報酬改定を振り返って今後の薬局が取り組むべき課題

2022年8月26日に「調剤報酬改定を振り返って今後の薬局が取り組むべき課題」をテーマとしたセミナーを開催いたしました。講師には、公益社団法人 日本薬剤師会 相談役である漆畑氏を迎え、講演後には薬局団体の方々からのご質問もたくさんいただき非常に盛り上がった1時間半となりました。セミナーで司会進行を務めていただいたたドラビズon-line編集長の菅原さんに振り返っていただきました。

【講師】公益社団法人 日本薬剤師会 相談役 漆畑 稔氏
【タイトル】調剤報酬改定を振り返って今後の薬局が取り組むべき課題

■菅原幸子 自己紹介文
老舗業界紙のドラッグマガジン社が発行する「月刊ドラッグマガジン」で編集長を務めさせていただき、薬局・薬剤師業界の記者歴は20年以上になります。2020年7月に株式会社ドラビズon-lineを起業。現在、WEBメディア「ドラビズon-line」を運営しています。厚労省の審議会や規制改革会議をはじめとした行政のほか、日本薬剤師会・日本保険薬局協会・日本チェーンドラッグストア協会などの各種関連団体の定例会見などにも、現場に足を運んで取材を続けています。

■今回のセミナーのご紹介
<セミナー内容>
・大事なのは調剤報酬改定のあと! 返戻が増加の指摘
・確実な算定のために注意することは
・改定を読み解くには予算や政治の動向を知る必要も

来年度予算の社会保障費は+5600億円程度と推察

「週明けに、与党でこんな人事がありますよ」――。
セミナーの冒頭から、どのメディアも報じていない薬剤師に関わりの深い情報をご紹介いただいた漆畑稔先生。いかに漆畑先生が、薬剤師業界の最前線で現役でご活動されているかがうかがえるシーンでした。そんなこぼれ話が散りばめられたセミナーになりました。

漆畑先生は、調剤報酬改定について「直後」や「直前」だけでなく、「その経過が重要」と指摘されます。調剤報酬がどのような改定になるのか。それを深く理解し、予測するには、政治や行政の動きにも関心を持つことが必要だと指摘します。

特に予算については来年後は今年度のマイナス10%というシーリングがかかっていることをご説明。社会保障費については自然増を認めると約6500億円程度の増加が見込まれるところ、コロナの状況もあり、来年度は+5600億円程度になることが見込まれていると指摘しました。これはコロナ対策の補助金などは含まれていません。

3回目となった加藤厚労大臣

内閣改造については、3回目の厚労大臣となった加藤勝信氏について、「財務省出身であり財政規律には厳しい方」と表現。副大臣に就いた羽生田俊氏については、漆畑氏中医協委員時代からのお付き合いだとし、「話のしやすい関係の方」として薬剤師業界にとってはプラスとしました。また本田顕子氏については政務官になりましたが、「ワクチン担当とはされているが、ぜひ薬剤師の専門性を生かしたお仕事をしてほしい」と期待を込めました。こういった要職の方々の人物評をお聞きできることも貴重な情報といえると思います。

実際は算定できていない改定項目が多い/今年4月からの減少傾向が指摘

薬局経営の厳しさについても指摘しました。見逃しがちな数字ですが、調剤報酬においいては技術料は2200円台で伸びておらず、プラス改定とはいっても点数項目だけ増えて実際は算定できていないという状況をみていくべきだとしました。たしかに、算定してこそ薬局経営にはプラスになるわけです。

レセプト上では6項目ぐらいの算定項目で請求されていることに変化はないにもかかわらず、改定で算定項目自体は20項目から、この20年で40項目程度に増えているといいます。

特に今年4月からの請求に関して点数の減少傾向があることがすでに指摘されているといいます。返戻の指摘数は例年の4割増しとの声もあるそうです。

漆畑先生は、このことに危機感を持っておられ、算定項目を増やすには、新しい項目を指向するよりも、既存の点数の要件をしっかり整理することが重要だと指南しました。請求と支払いの差額の確認をしっかりしているのか、と思われるような楽観的な意見もよく聞くそうです。差額も把握し、さらに算定できる項目をよく知り、算定していく必要があるのではないかと話されていました。

そのほかの講演内容

そのほかにも下記のような内容が話されました。
・薬局を利用する理由が様変わりしている調査結果。そこに商機がある
・与党、関係省庁人事とその影響分析
・規制改革の方向
・「ジェネラル医薬品」の導入
・医療費適正化の流れ
・4月以降のレセプト審査の問題点の具体的ポイント
講演後には薬局関連団体の薬剤師の方々から漆畑先生への質疑応答もありました。