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クリニック承継/M&Aの理想的なタイミングとは

クリニック承継/M&Aの理想的なタイミングとは

近年の医療業界では、承継やM&Aの件数が増えつつあります。開業医のライフプランを充実させるうえで、非常に多くのメリットがある「クリニックの承継/M&A」。では、どのようなタイミングで準備を始めればよいのでしょうか。承継のメリット・デメリットや大まかな流れとともに解説します。

[セミナー日時:2021年9月29日(水)※Web会議ツール(Zoom)での配信]

1.M&A市場の拡大

M&Aに対する認知度の向上などを背景に、すべての業種で企業の買収・合併は増える傾向にあります。買収規模についても、かつては大企業による大型M&Aが中心であったのに対し、最近では小~中規模の案件も多数見られるようになっています。
医療業界においてもM&A・承継は次第に増え、注目を集めつつあるのです。

M&A市場の拡大

2.開業医の高齢化と引退プランの重要性

病院や診療所における承継・M&Aが進む理由のひとつに、開業医の高齢化があります。診療所開設者・法人代表者の平均年齢は毎年上がり続けており、2016年時点では61.2歳となりました(出典:日医総研ワーキングペーパー「医療承継の現状と課題」、2019年1月8日)。60代ともなると、第二の人生のプランを具体化する年齢にさしかかっていると言うこともできます。こうした年齢層の開業医が増えるにつれ、承継・M&Aの件数も徐々に拡大しつつあると考えられるのです。

一方で、承継・M&Aではなく、「閉院」を選択する診療所も依然として多くあります。こちらも高齢化に伴い、件数は増加傾向です。ただし閉院については、事前に計画が立てられていたケースばかりではなく、急な閉院も多いのが実情です。

高齢となると、急な体調不良などのリスクがどうしても高くなります。自身でも予想していなかったタイミングで引退することになってしまった、という開業医の方も、残念ながらいらっしゃいます。実は、引退時期をあらかじめ決めている開業医の割合は決して高くはなく、全体の2割弱に留まるというアンケート結果もあります(出典:日医総研ワーキングペーパー、「日本医師会 医業承継実態調査:医療機関経営者向け調査」、2020年1月6日)。つまり、多くの開業医に「突然の閉院」というリスクがあるということです。しかし、突然の閉院は、開業医自身や家族だけでなく、勤務するスタッフにも大きな影響を及ぼします。全員が安心して診療所の経営に関わることができるよう、あらかじめ引退についてのプランを立てておくことが大切です。

開業医の高齢化と引退プランの重要性

3.閉院と承継、それぞれのメリット・デメリット

引退を考えるとき、大きくは「閉院」と「承継」という選択肢があります。ここではそれぞれのメリットとデメリットを考えることで、よりご自身に適したプランを選択できるようにしましょう。なお、承継は、親族や親子間で行う場合と、第三者と行う場合がありますが、後継者となる子・親族がいない開業医が大半であることから、以下では第三者への承継を前提としてご説明します。

閉院と承継、それぞれのメリット・デメリット

4.閉院のメリットとデメリット

閉院のメリットとしては、承継のように買い手が見つかるのを待つ必要がないことが挙げられます。つまり、自分のタイミングで引退できるということです。条件に合う買い手を見つけるのに難航すると、自身や家族にとってストレスにもなります。こうした負担から解放されるのは、閉院のメリットと言えるでしょう。

一方のデメリットとして、閉院するときには多額の費用がかかることがあります。使っている建物や設備によって金額は異なりますが、数百万から一千万円前後になることもあり得るのです。
また、地域から貴重な医療機関が失われることとなり、患者さんにとってもかかりつけ医がいなくなってしまうことも大きなデメリットです。さらには、従業員が職を失う点も認識しておきましょう。

5.承継のメリットとデメリット

承継をすれば、患者さんはこれまでと変わらず診療所に通院できるというのは、非常に大きなメリットです。スタッフの雇用も、承継であれば継続できます。 また、承継により受け取ることのできる譲渡金は、引退後の人生設計にとっての重要な資金となります。承継後も自院で働き続けるという選択肢もあるため、早いうちに承継したからといって必ずしもやりがいのある仕事を失うわけではありません。

一方、院長の交代に伴い、診療の理念や方針が変わる可能性はあります。また、条件に合う買い手が見つからなければプロセスを進めることができません。想定していたよりも時間がかかるかもしれない点は、注意しておきたいところです。

ただし、これらのデメリットは、余裕を持って承継の準備を進めることで、大部分を回避できるのです。経営状態などの条件が良いうちに着手すれば、承継という選択肢は非常に多くのメリットを実現できる可能性があります。

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