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メディコムパークでは、医師の方を対象に「2024年度診療報酬改定」に関するアンケートを実施し、65名の先生から有効回答を頂きました。
「2024年度診療報酬改定の「診療報酬+0.88%」という結果をどう受け止めますか?」という質問に対し、「不満」と回答した方が60%、「どちらともいえない」が34%に対し、「妥当」と答えた方の割合はわずか6%に留まりました。
「不満」と回答した先生のコメントには、物価や人件費などの高騰といった社会情勢を反映できていないという声や、初診料・再診料が上がった一方でマイナスとなった項目も多く、トータルで見た場合はマイナスであるといった声が目立ちました。
また、特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料への移行や、新設のベースアップ評価料の算定についても「負担が大きい」という回答が複数寄せられました。
以下、自由回答より一部の先生方のコメントを抜粋します。
「不満」と回答した先生のコメント(自由回答より抜粋)
「物価や人件費が上がっているにもかかわらず、短期滞在や検査料などが減らされており、トータルで見ると診療報酬点数は下がると思う。」
(開業医・眼科・50代)
「医療費・社会保障費が高騰し続けているからというだけで、まず抑制ありきの改定を行っている。しかも表向きは僅かばかりのプラス改定をよそおい欺瞞に満ちている。このような診療報酬改定で職員給与まで上げるように要求する。まったくもって憤懣やるかたない心境です。」
(開業医・外科、内科・70代以上)
「特定疾患療養管理料の変更は、手間が大きく増えているがincomeは従来と同じなのでやめてもらいたかった。ベースアップに関しても、クリニックの収益は増えないのに手間ばかりかかるので最悪。」
(開業医・整形外科・50代)
「初再診料は上がったが、処方箋料の引き下げが有り、全体としてはむしろ低下と感じる。いろいろな加算があってようやくプラスだが、細かいコストが増え、それも月1回や1日1回と取れる回数が異なったり、発熱患者等対応加算は患者によって取る取らないもあるため確認する医師やスタッフの負担に感じる。ベースアップ評価料でスタッフの給与を増やせることはありがたいが、計算が煩雑で点数を算定するための負担が強い。また扶養内で働くスタッフにとっては収入が増えることは望ましいが、上限に達しやすくなり勤務人員が足りなくなるリスクをはらんでいる。」
(開業医・耳鼻咽喉科・40代)
「ベースアップ評価料はあらたな試みであり、職員に配分できる点がいいと思う。特定疾患療養管理料などの減算分を生活習慣病療養計画書やデータ提出加算で何とか補えるが、準備と継続する手間暇が結構大変である。個別に目標を立てて文書化することは意義があると思う。今回は特に改定内容が多岐に渡るため、事前の情報収集の有無がクリニック経営に与える影響が大きい。医療業界は保険点数でしか売上単価が決められないため、物価高による薬剤費や人件費の高騰にうまく適合できない点が問題である。」
(開業医・脳神経外科・50代)
「色々なものの値段が上がっている中で、今般の改定は医療側への嫌がらせというかいじめだと思えてなりません。生活習慣病療養計画書を用いて指導など、ペーパーレス化を推進しようという時代の流れにも逆行する愚策でしょう。患者からも「今どき紙にサインですか」と呆れられました。それでも減収は避けたいので、毎日セコセコとカルテ予習と計画書を作成していますが、エクセルの入力だけでも面倒くさく、これをずっと続けるのかと思うと憂鬱でなりません。」
(開業医・内科・50代)
「特定疾患療養管理料→生活習慣病管理料になり書類の手間が増え減収はありえない。政治家のやりたい放題にうんざりしています。自分たちを守る法案のみ注力してこの国の未来をうれいています。また日本医師会にもやや失望せざるを得えません。」
(開業医・内科・50代)
「開業医が儲けすぎるなどの意見はすべての開業医に適しない。再診料と初診料また変わるけど初診というものははっきりしていない。初診と再診ではなく診察料だけにしたらどうでしょう。ベースアップは患者負担でしょうか。」
(開業医・眼科・50代)
「どちらともいえない」と回答した先生のコメント(自由回答より抜粋)
「コロナ禍において社会保障費の大盤振る舞いを考えると財政的にはプラス改定は難しいと思います。全国一律の保険制度が既に破綻し、今後は社会インフラの一環としての医療を考えると地方、地域によって制度設計を見直す必要があると思います。財務省が恣意的に医療費についてのミスリードをしている点は納得していません。」
(診療所勤務・婦人科・50代)
「外来においては特定疾患療養管理料が書類記載したりして煩雑になるが、月に2回受診させているクリニックなどが淘汰されるのは良いことかなと思う。訪問診療は施設診療中心のところと往診専門業者の狙い撃ちで、前者はやや可哀想な部分もあるが、妥当な判断かと思う。在宅医療でICTでの連携に加算がついたり、真っ当に在宅をやっていると評価が高まっているのはありがたい。
在宅ホスピスへの訪問看護と精神科訪問看護をもう少しマイナスにした方が良い気がする。不必要な訪問も多い。そもそも訪問看護なのか…という問題もあり。
ベースアップ加算は自分の勤務先では算定するが、周りのクリニックは算定しないらしい。計算が面倒なためやらないのもあるのかもしれないが、算定するところが少ないと国から梯子を外される可能性もあるため、積極的にやって従業員の給料アップに繋げてあげた方が良いと思う。」
(診療所勤務・訪問診療・30代)
「数字ではなく内容が言語道断です。生活習慣病管理料算定のために渡す書類作成と患者さんのサインで、これまでの倍時間がかかってしまうので、発熱の方を診療できないぐらい時間がかかります。あまりにもナンセンスな改定です。」
(開業医・内科・40代)
調査概要
メディコムサイトを利用したことのある医師の方を対象にウェブアンケートを実施。
調査期間:2024年5月24日(金)~2024年6月14日(金)23:59
有効回答数:65名
内訳は、開業医66%、病院勤務31%、診療所勤務3%。年齢は20代0%、30代6%、40代26%、50代38%、60代22%、70代以上14%。(小数点以下、四捨五入)
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