【レポート】2024年度調剤報酬改定 薬局はどう変化していくべきか
メディコムでは薬剤師の方や薬局関係者の方を対象に、2024年3月22日に「2024年度調剤報酬改定 薬局はどう変化していくべきか」をテーマとしたセミナーを開催いたしました。
講師には、玉田 慎二様を迎え、講演後には薬局団体や視聴者の方々からのご質問もいただき非常に議論が白熱した1時間半となりました。セミナーで司会進行を務めていただいた、ドラビズon-line編集長の菅原さんに振り返っていただきました。
【講師】医薬コラムニスト/ジャーナリスト 玉田 慎二 様
【タイトル】2024年度調剤報酬改定 薬局はどう変化していくべきか
■菅原幸子 自己紹介文
老舗業界紙のドラッグマガジン社が発行する「月刊ドラッグマガジン」で編集長を務めさせていただき、薬局・薬剤師業界の記者歴は20年以上になります。2020年7月に株式会社ドラビズon-lineを起業。現在、WEBメディア「ドラビズon-line」を運営しています。厚労省の審議会や規制改革会議をはじめとした行政のほか、日本薬剤師会・日本保険薬局協会・日本チェーンドラッグストア協会などの各種関連団体の定例会見のほか、薬局現場などに足を運んで取材を続けています。
■今回のセミナーのご紹介
<このセミナーで分かること>
・今回の調剤報酬改定の決定要素
・特に注目の改定項目
・薬局は今後どのような対応をしていけばいいのか
今後の方向を読む上でも必要な過去の経緯と全体像
業界紙記者として30年ほどのキャリアのある玉田慎二様が、今回のセミナーの講師です。玉田様の視点の利点は、その長い間の取材経験から、歴史と照らして今回の調剤報酬の位置付けを語ることができることでしょう。
薬局薬剤師の皆さまの中には、各改定項目の算定へ向けて施策を練っている方も多いと思いますが、このセミナーではそもそも調剤報酬はどうやって決まっていくものなのか、それぞれの要素がどう改定項目に影響していくのか、俯瞰した視点でも解説をいただいています。過去や全体像を知ることは、今後の方向を読む上でも重要といえるでしょう。
2017年に事務次官と同格ポストを創設した医系技官/薬系技官の今後は?
まず玉田様が説明したのは、改定の議論の場である中医協を仕切る厚労省の全体像です。キャリア官僚、ノンキャリア官僚のほか、薬系や医系技官などの“技官”などのポジションがあり、それが絡み合って政策に影響を与えている構図です。その中でも医系技官は、2017年に事務次官と同格の医務技監のポジションを創設しています。それに比して、最高のポストが大臣官房審議官である薬系技官においては、今後、さらに高いポストをつくれるかも注目されるとされました。こうした厚生労働省内の人事も改定に影響をもたらす要素ということができます。
全体のプラス改定を獲得しなければ各改定項目も深掘りされる
その上で玉田様は、今回の改定が決着するまでの経緯について、財務省が早期から診療所の引き下げにターゲットを絞っていたこと、ただ、最終的には政治の中枢が選挙への影響等の懸念から、マイナス改定にはしなかったことなどに触れました。その過程では、これまでになく医療関係団体も懸命の対応にあたったとし、最終的には適正化の項目もしっかり盛り込む形で+0.88%というプラス改定になったとしました。
玉田様は、各改定項目に注目することも重要ではあるものの、そもそもプラス改定でなければ各改定項目も深掘りされることになり、全体の改定率は重要であると説明しました。そして、そのためには日本薬剤師会に“仕事”をしてもらう必要があり、それを支援するのが選挙での得票数だと指摘しました。
注目の改定項目は
注目の改定項目としては、「がん薬物療法体制充実加算」を挙げました。病薬が対象となる項目ではありますが、以前の「小児特定加算」のように非常に地味だけれども大事な業務にスポットが当たった事例だとし、「点数付いたコトしかやらないではなく、一所懸命にやっている所に点数が付く」ことを強調しました。
最後に玉田さんは“冥利”という言葉を挙げ、自身も「記者冥利」を追って仕事をしているとし、薬剤師にも「冥利に尽きる」仕事への注力へ期待を示しました。
そのほかの講演内容
そのほか、今回の改定に対する薬剤師・薬局関連団体のそれぞれの反応や、それに対する玉田様の見解なども紹介されました。また、敷地内薬局の議論の経緯や地域支援体制加減額やフォローアップ項目などへの見解も披露いただいています。
今後の薬局のあり方を考えるのに有用な指摘が満載です。ぜひセミナーをご視聴ください!