統合報告書 2023

PHCグループの事業戦略ヘルスケアソリューション

医療業界を変革し続けるヘルスケアソリューションカンパニーとして、
医療関係者の課題解決に加え、その先にいる人々の
Well-beingに貢献します。

大塚 孝之

大塚 孝之

PHCホールディングス株式会社 執行役員
ウィーメックス株式会社代表取締役社長

メッセージ

人口減少や高齢化、財政の逼迫等、今起きている社会問題は医療業界でも大きなテーマとなっています。勤務医の過重労働の問題、地域による医師数の偏りや過疎地における医療格差、今後更に医療従事者の不足や労働環境における課題が顕在化していくことが予想されています。これらの課題の解決に向け、医療政策への対応はもちろん、デジタルを活用して医療業務の効率化、更には予防領域に取り組みます。
私たちWEMEXは、50年以上の間、医療業界のデジタル化を支援してきました。今後は更にこの領域での取り組みを強化していきます。
そして、長期的には医療機関だけでなく、その先の生活者を見据えていくこと、「Well-being」の実現に向けて貢献してまいります。

概要

ウィーメックスでは、診療所・病院向けのレセプトコンピューターや電子カルテ、調剤薬局向けのレセプトコンピューターや電子薬歴システムを提供しています。
我々は1972年に日本初のレセプトコンピューターを発売して以来、医療機関・薬局における経営・業務の効率化をITの面でリードし続けてきました。現在も診療所や薬局におけるレセプトコンピューターや電子カルテのシェアは国内1位です。
2023年4月1日に、PHC株式会社メディコム事業部と、その販売会社であったPHCメディコム株式会社、株式会社LSIメディエンスの健康診断サポート事業を統合し、WEMEXを設立しました。また、10月1日には富士フィルムヘルスケアシステムズ株式会社の電子カルテ・レセプト関連事業を取得しました。レセプトコンピューターや電子カルテといった既存製品の一層の拡大に加え、遠隔医療や医療データへの取り組みも進め、医療DXを更に推進していきます。
「一人ひとりの心身を探求し、誰もが自分らしい幸せを手に入れる社会を創り出す」をパーパスに、社会に必要とされる価値を創出し続けたいと考えています。

強み

  • 豊富な知見・経験
    我々は1972年の日本初のレセプトコンピューター発売以来、様々なイノベーションを起こしてきました。お客様が必要としているものを理解し、製品・サービスに反映させるための膨大な知見と経験が蓄積されています。
  • 強固な顧客基盤
    診療所・薬局におけるレセプトコンピューターや電子カルテのシェアは国内1位です。マイナンバーカードの保険証利用システムであるオンライン資格確認や電子処方箋対応等様々な政策関連需要が見込まれる中、強い信頼関係のある強固な顧客基盤は我々の大きな強みです。
  • 迅速なサポートサービス
    全国に140拠点ものサポートネットワークでユーザーをサポートしています。また診療報酬改定や法改正にもタイムリーに対応し、セミナー等を開催。ヘルスケア業界初となるKCSアワードやHDI格付けベンチマークによる三つ星を取得し、サポート品質でも業界をリードしています。

FY2022スナップショット

売上収益379億円

主要顧客

  • 病院/診療所
  • 調剤薬局
  • 歯科
  • 健康保険組合

主要製品・サービス

国内の医療DXを推進するソリューションを展開。電子カルテシステム及び電子薬歴システムはオンライン資格確認や電子処方箋と連携や、他社サービスとのAPI連携を実現

ヘルスケア業務支援システム

  • 医事コンピューター
    (レセプトコンピューター)

    診療所・病院シェア 1 Medicom-HRf core

    保険証情報を自動取り込み。会計作業を円滑化

  • 電子カルテシステム

    診療所シェア 1 Medicom-HRf Hybrid Cloud

    カルテ入力荷軽減を中心に
    医療現場の業務を効率化

  • 電子薬歴システム

    PharnesV-MX

    薬歴の一覧画面や多彩な機能で薬剤師の業務をサポート

    • 歯科医院向け電子カルテ

      fine-SEED

      手書きカルテの自由さと使い勝手を
      そのまま再現。
      業務ストレスを軽減

    • レセプト審査支援ソリューション

      べてらん君 collaboration Plus

      デジタルの高速処理と、
      アナログ的インタフェースの見やすさを兼備

予防医療ソリューション

  • 健康管理ソリューション

    ウェルスポートステップ

    従業員(健康保険組合員)への保健指導を
    きめ細かく、
    効率的にサポート。
    毎年約10万名の生活習慣を改善

デジタルヘルスソリューション

  • 遠隔医療ソリューション

    遠隔医療システム Teladoc HEALTH イメージ

    Teladoc HEALTH
    チーム医療をサポートするリモート操作可能な
    遠隔医療システム

※自社調べ

ヘルスケアITソリューション事業部

ヘルスケアITソリューション事業部 イメージ

国内ヘルスケアIT市場は年2%の安定した成長が見込まれています。電子カルテの普及率はまだ全体の50%未満です。従来はオンプレミス型の製品が主流でしたが、今後クラウド製品・サービスの需要増加が見込まれています。
また現在、政府により、マイナンバーカードの保険証利用システムであるオンライン資格確認や電子処方箋導入等の医療DX政策が推進されています。Wemexでは既に運用開始施設数の約27%※1にあたる35,000件以上のオンライン資格確認のシステム導入をしています。
また、医療データを活用した市場も拡大しており、健康経営やビッグデータ分析等の領域で年2桁成長が見込まれています。

政策への迅速な対応力や製品開発における先進性等を強みとして、診療所・病院・薬局の業務効率化やデジタル化に貢献する様々な製品・サービスを提供しています。2022年度のオンライン資格確認の導入や2023年度以降は電子処方箋の導入、また、電子カルテ標準化に伴い、2030年には電子カルテ普及率100%を目指す取り組み等、医療政策動向の流れに沿う形で、基盤領域に取り組んでいます。また、2023年4月には、富士フィルムヘルスケアシステムズから電子カルテ・レセプト関連事業を取得。今後もインオーガニックでの成長を視野に、付加価値の高い製品ラインアップと顧客基盤の拡大を目指し、事業成長を加速させていきます。

クラウドサービスを充実させていきます。オンライン順番受付システムであるAirWAIT®※2とWemexのレセプトコンピューターを接続して診療所の待ち時間管理を効率化したり、digicareというクラウドサービスにより日々の売上や来局者の分析等薬局経営の見える化ができるような取り組みを既に実施しています。今後もレセプトコンピューターや電子薬歴システムと様々なクラウドサービスを繋げ、診療所・薬局の経営・運営の効率化のソリューションを提供していきます。

データビジネスについても様々な切り口から取り組みます。健康診断データ等の分析や特定保健指導を通じて従業員の健康管理に取り組む健康経営の推進の他、様々な医療データの分析により医療費の費用対効果を改善する等ヘルスケア業界の課題解決に取り組みます。また、遠隔地にいる医師と患者さんをオンラインで繋ぐ遠隔医療システムの提供等を通じ、デジタルの力で医療に新しい価値を提供していきます。

※1 歯科を除く病院・医科診療所・薬局126,771施設のうち、Wemexで35,000件の導入支援を実施

※2 Airウェイト及びAirWAITはリクルート株式会社の商標又は登録商標です。