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企業健康経営 人事・総務 コメディカル 2023.11.14 公開

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【津下先生解説】特定保健指導の効果に影響を与える〇〇とは?指導の質向上に向けて vol.3

制度にとって大きな転換期となる見直しの内容が発表された第4期特定健診・特定保健指導。この変更点等について2023年8月4日にセミナーを開催し、第1期より厚生労働省等の検討会委員を務めている女子栄養大学特任教授の津下一代先生に解説いただきました。本コラムでは、講演内容の中で抑えたいポイントをさらに詳しく解説いただき、連載でお届けいたします。第3回目は、第4期に向けて保健指導の質を向上するためのポイントについて教えていただきました。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

Q1.第4期の見直しにあたり、現場の保健指導従事者はどのようなことに留意して支援を行なえばよいでしょうか。

【津下先生解説】特定保健指導の効果に影響を与える〇〇とは?指導の質向上に向けて vol.3

A.これからの保健指導では、「行動変容、体重減量」という、参加者の変化をより意識するようになります。
「どれだけ詳しく説明したか」ではなく、本人が「わかった、やるよ!」と思えることが大切。そのためには、本人の関心事、準備度(行動変容ステージ)を考えながら話を進めること、検査値を活用したり、目標例を提示するなど、本人が必要とする情報をわかりやすく提供して、少し背中を押すことが重要といえるでしょう。

初回面接時に参加者本人が記載した行動目標と最終評価時の行動目標達成具合や体重変化との関連を調べたことがあります。
保健指導の効果に影響を与える要素として、「エネルギー収支に関する目標が入っていること」、「具体的な頻度や時間などの数字が入っていること」、そして「字数が多いこと」が影響を与えていました。
字数が多いということは、本人がより具体的に生活をイメージしながら目標を立てていたことを意味します。参加者自身が自分の生活を振り返り、悩みながらも具体的な行動目標を立てるプロセスが重要ではないかと思います。

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Q2.保健指導の質の向上のための教育研修について具体的な好事例があれば教えてほしいです。

A.保健指導者役、参加者役、観察者役の3人で行うロールプレイを推奨しています。
観察者役は会話の流れを書きとります。話が一方的になっていないか、参加者の発言を引き出し、疑問に答えようとしているか、話の進め方が構造的になっているかを確認し、保健指導者役にフィードバックします。
参加者役も保健指導を受けてみて、「どういう点が良かった」、「もう少しこの点を説明してほしかった」などのコメントを返していきます。ロールプレイの様子をビデオ撮りして研修することも有効な手法といえるでしょう。

ただし、ロールプレイにおいては保健指導者役の緊張感は高まるもの。観察者役、参加者役のフィードバックの仕方次第では、保健指導者役はつらい思いをするかもしれません。
よかったことをきちんと伝え、改善ポイントを自ら発見できるように、言葉を選んでフィードバックするよう留意してください。実はこのフィードバックの練習こそが、保健指導にも役立つのです。

Q3.健診結果や健康状態についての説明に時間がかかり、効率的な保健指導ができないことに悩んでいます。効率的で質の高い支援をするためのポイントはありますか?

A.特定保健指導において、健診結果のすべてを説明する必要はありません。健診結果の説明は健診後の「情報提供」に位置付けられているからです。
特定保健指導では、検査データの変化や重複などの状況により「なぜ減量が必要か」に絞って話をしてはいかがでしょうか。体重が増加するにつれて悪化しやすい検査項目(メタボ関連項目)に着目し、3%以上の減量(もしくは2cm、2kgの減量)で改善の見込みがあること、そのために何ができるか、について話し合います。
健診結果の説明にあたっては、保健指導判定値以上を色づけする、図(パンフ)などを活用するなどして、イメージしやすくしたり、本人の疑問点や悪化している項目に焦点をあてて説明するなどの方法も、本人の満足度や行動変容への意欲につながると考えられます。

▽前回のコラムをご覧になりたい方はこちら
https://www.phchd.com/jp/medicom/park/idea/healthmanage-point-02
▽関連記事
津下先生から学ぶ!明日から実践できる『第4期特定保健指導に向けた準備』
https://go.medicom.phchd.com/wellsportstep_seminar_material_20230804(PDF)

筆者情報

津下 一代

津下 一代(つした かずよ) 様

女子栄養大学 特任教授

名古屋大学医学部医学科を卒業後、国立名古屋病院内科、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務。
12年あいち健康の森健康科学総合センター、23年より同センター長兼あいち介護予防支援センター長に就任。令和2年より女子栄養大学特任教授として活躍。

健康日本21(第三次)推進専門委員会、健診・保健指導の在り方に関する検討会などの厚生労働省等の委員、健康・医療新産業協議会・健康投資WGなどの経済産業省の委員を務めるなど、多方面で活躍。

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