統合報告書 2023

PHCグループの事業戦略糖尿病マネジメント

診断薬事業部は高精度な医療機器と
診断薬を提供して医療の発展に寄与します。

徳永 博之

徳永 博之

PHC株式会社 取締役
診断薬事業部長

メッセージ

PHC株式会社診断薬事業部は、1962年に日本で初めて臨床検査薬を、また1991年に業界初の電気化学式 自動吸引型 血糖値測定システム(BGM)を開発した伝統のある事業部であります。
現在では血糖自己測定システムやPOCT、生化学分析装置、体外診断薬、及び電動式医薬品注入器等様々な製品を手掛けています。
我々はPHCグループの経営理念を元に、事業部のミッションを「わたしたちは、高精度・高信頼性・高付加価値の医療機器と 体外診断薬の提供を通じて、世界を駆け抜けるトップランナーとして医療の発展に貢献します」と定めています。
PHCグループの中期経営計画「Value Creation Plan FY2022-2025」の成長領域に位置付けられるPOCT(Point of Care Testing)を中心とした診断薬事業の更なる成長を加速してまいります。

概要

診断薬事業部は、1969年に設立された松下寿電子工業のヘルスケア事業を前身にする事業部です。
1991年に業界初の電気化学式自動吸引型血糖値測定システム(BGM)を上市して以降、電動式医薬品注入器やPOCT(Point-Of-Care Testing; 簡易迅速検査器)機器等、様々なヘルスケア製品を開発・製造してきました。モノづくりを強みとして、疾患の早期発見と効果的な治療を支援する様々な医療機器を提供しています。
診断薬事業部は、PHCグループの事業再編により、PHC株式会社診断薬事業部と株式会社LSIメディエンス診断薬事業本部を2023年11月1日付で統合しています。
今後も、モノづくりの強みを最大限に生かし、製品の更なる高品質化・低コスト化を推進するとともに、機器と試薬の開発においてお客様のアンメットニーズに応えていきます。

強み

  • 市場のニーズを汲み取った製品設計
    ユーザーのペインポイントや要望を十分に調査した上で、どうすれば良い製品になるか社内で検討し、製品設計へ反映しています。OEM製品も、継続的に使う際にいかにユーザーが使いやすく、診断・治療の最大効果が出せるか、当社でしか出せない価値を提供します。
  • 効率的な製品開発プロセス
    複数工程を同時に進めるコンカレントエンジニアリングという考え方や、通常は後に行う検討でも事前に評価できる項目・プロセスは極力前倒しし問題点を早めに洗い出すフロントローディングという考え方を取り入れ、製品開発プロセスの効率化を追求しています。
  • 卓越したモノづくり技術
    松下寿電子工業時代から続くモノづくりの知見や改善を繰り返す風土は、我々の高品質・高精度なモノづくり技術の基盤です。ハードディスクドライブや光ディスクを製造していた際に培ったディスクを回転させる技術は、現在のヘルスケア製品において検体の遠心分離技術に応用されています。

FY2022スナップショット

売上収益200億円

※PHCの診断薬事業部とLSIメディエンスの診断薬・機器事業の売上収益の合計

主要顧客

  • 病院・診療所
  • 医療機器メーカー
  • 製薬企業

主要製品・サービス

血糖値測定システムを中心とした糖尿病ケア製品、医療現場でのリアルタイム検査に用いる機器、医薬品注入器を展開

  • 血糖自己測定システム

    納入先:アークレイ株式会社

    血糖自己測定システム イメージ
  • POC生化学分析装置
    (HbA1c、脂質及びCRPを測定)

    納入先:ロシュ・ダイアグノスティックス社

    POC生化学分析装置 イメージ
  • 病院/診療所用血糖値測定システム

    納入先:株式会社三和化学研究所

    病院/診療所用血糖値測定システム イメージ
  • 電動式医薬品注入器

    納入先:JCRファーマ株式会社

    電動式医薬品注入器 イメージ
  • 採血用穿刺器具・専用採血針

    納入先:株式会社三和化学研究所

    採血用穿刺器具・専用採血針 イメージ
  • 呼気一酸化窒素測定装置

    納入先:NIOX社

    呼気一酸化窒素測定装置 イメージ
  • ※ 「呼気一酸化窒素測定装置」は米国FDA承認済み

診断薬事業部

診断薬事業部 イメージ

診断薬事業部ではPOCT市場に注力しています。POCTはプライマリーケアと呼ばれる、身近にあり何でも相談にのれる総合的な医療や、より迅速な検査・診断に対する需要の高まり等から、1桁台半ばから後半で成長すると見込まれています。地域別では特に米国をはじめとする海外において、高い成長率が見込まれています。

現在、主に電動式医薬品注入器と移動式免疫発光測定装置及び体外検査試薬に注力しています。
電動式医薬品注入器は、正確な量薬剤の自動投与の他、投与履歴の確認ができ患者さんのご自宅での治療をサポートします。電動式であるため、バネ式と比較し高粘度製剤にも適用可能である等、より応用範囲が広い製品です。

移動式免疫発光測定装置はオールインワンの試薬カートリッジを採用、同時・多項目の測定が可能、病院・診療所等での迅速な検体測定に貢献します。
診断薬事業部では今まで培った技術及び、PHCとLSIメディエンスの技術を融合させることにより次世代心臓バイオマーカー測定機器の他、アンメットニーズに応える機器と試薬の開発を進め、この領域で大きく成長して参ります。

電動式医薬品注入器 イメージ