【要旨】
造血器腫瘍に対して著効を発揮したキメラ抗原受容体導入T細胞(CAR-T)輸注療法の固形がんに対する適応拡大が期待されている。しかし、固形がんにおいては、輸注CAR-Tの低浸潤性やがん微小環境に於ける免疫抑制機構(免疫抑制細胞、免疫抑制分子、免疫抑制性代謝産物(乳酸など))がその有効性を損なっている。加えて、がん微小環境の貧栄養・低酸素状態における慢性的・持続的な抗原刺激が酸化ストレスを介してミトコンドリアの機能を障害しCAR-Tに疲弊をもたらすことも明らかになってきている。
今回、抗酸化剤によるCAR-Tと腫瘍の代謝リプログラミングにより効果の高いCAR-T細胞輸注療法の可能性について紹介する。