スタッフのモチベーションを引き出す薬局へ
優れた医療を継続的に提供するためには、スタッフ一人ひとりが仕事に対して高いモチベーションを維持できることが非常に大切です。企業で近年注目を集める「従業員満足度(ES)」の考え方を、薬局経営に当てはめてみると、さまざまなものが見えてきます。スタッフの満足度が向上することでどのようなポジティブな影響があるか、また満足度を上げるにはどのようなポイントに注意すべきか、今回のコラムで確認していきましょう。
スタッフの満足度向上がもたらすメリット
薬局のスタッフが業務に高い満足感を持つことは、本人にだけでなく、薬局全体にもプラスの効果をもたらします。業務に対する満足度が高いということは、自分の仕事の意義を実感できており、「より価値の高いサービスを患者さんに提供したい」というモチベーションが生まれやすくなるからです。モチベーションの高いスタッフは、自発的に仕事を進めるようになり、周囲のスタッフにも積極的に働きかける姿勢を示す傾向にあります。本人だけでなく、他のスタッフも含めた生産性やスキルの向上につながりますし、スタッフに帰属意識が芽生えることで、人材が定着しやすくもなるでしょう。薬局の活気に満ちた雰囲気は、訪れる患者さんにも伝わるもの。さらに提供される医療サービスの品質も高いとあれば、患者さんからの評価も高まるはずです。すなわち、スタッフの満足度は患者さんの満足度に直結するのです。
「意義のある仕事をしている」という充実感
スタッフの満足度にとって大切なのは、自分の仕事に価値を感じられるということです。仕事で自分のスキル・能力を最大限に活かすことができており、高い品質で業務を遂行できているという手応えが、大きな満足感を生み出します。そのためには、マネジメント層はそれぞれのスタッフにどのような仕事を割り振るか、十分な配慮と検討をすることが大切です。スタッフ本人が自分の強みをどのように認識しているかを把握したうえで、可能な限り納得感のある仕事を割り振ります。難しい場合にも、マネジメント層はどのようなことを期待してその仕事を任せるのか、しっかりと伝えることを心がけましょう。また、細やかな進捗管理や成果に対する評価のフィードバックの時間も定期的に設けたいものです。「自分の仕事をちゃんと見てもらえている」と実感できれば、スタッフは自分が薬局に貢献できているのだという手応えが得られます。こうしたミーティングを、できれば1対1で設定することで、スタッフと充実したコミュニケーションをとるようにしましょう。
ワークライフバランスの実現
また、業務そのものだけでなく、業務を進めやすい環境を作り出すこともマネジメント層が心がけるべきポイントです。薬局内の設備のみならず、制度や運用もスタッフのニーズと合致しているか、常に気を配りましょう。特に、スタッフ一人ひとりが理想とするワークライフバランスを実現できていることは、満足度に大きな影響を及ぼします。スタッフの残業が多すぎないか、休みを適宜取得できているか、勤務状況にも気を配り、負担が集中している場合は業務の割り振りや制度の運用方法を見直しましょう。理想的なワークライフバランスは、ライフステージなどに応じて変化を続けるものです。それぞれのスタッフが今どのような要望を持っているかを把握するためにも、細やかなコミュニケーションが大切です。
スタッフの満足度が高品質の医療サービスを生み出し、やがては患者さんの満足度に反映されていくことをご理解いただけたでしょうか。そのためにはまず、風通しのよい職場環境を作ることが大切です。コミュニケーションの機会をこまめに設け、信頼関係を築くところからスタートしましょう。
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