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診療報酬・調剤報酬 薬剤師 薬局経営者 2023.11.14 公開

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2024年調剤報酬改定の施行が2ヵ月後ろ倒しに。新スケジュールと改定のポイントを解説

「調剤報酬」は診療報酬を構成している要素の1つであり、2年おきに改定がなされています。しかし2024年度の改定に関しては、一部の内容が2ヵ月後ろ倒しとなり、スケジュールが通例とは異なっています。
当記事では医療関係者に向けて新しいスケジュールの内容やその背景、改定のポイントを解説していますので、ここで整理をしておきましょう。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

2024年は、医療・介護・障害のトリプル改定

2024年調剤報酬改定の施行が2ヵ月後ろ倒しに。新スケジュールと改定のポイントを解説

2024年には診療報酬の改定が行われますが、この年はさらに介護報酬および障害福祉サービス等報酬の改定も同時に行われます。数年に1度、各種報酬の仕組みが同時に変更されることを指して特に「トリプル改定」とも呼びます。

トリプル改定が行われるときは各分野で共通の目標も掲げられ、調剤報酬改定に関してもその影響を受けて大きな変化が起こることがあります。
例えば「地域包括ケアシステム※」の確立はこれまでの改定でも推進され続けてきたことですが、薬剤師や薬局が地域包括ケアシステムのためにどうあるべきかという視点から、対人業務(薬物そのものではなく、患者と直接関わる服薬指導などの業務)に重点を置いた体制が整備されたという背景もあります。

※地域包括ケアシステムとは:地域の実情に即して、医療・介護や、自立した日常生活の支援等が包括的に確保される体制のこと。できるだけ住み慣れたその地域で自立した日常生活が送れることを目指す。

▽参考記事
厚生労働省「地域包括ケア」

2025年、2040年問題が背景に

医療や介護等における横断的な課題に2025年・2040年問題があります。

  • ・2025年:団塊の世代がすべて75歳以上になる年
  • ・2040年:85歳以上の人口および高齢者の単身世帯・夫婦のみの世帯が急増する年

また、2040年にかけては高齢者の人口が増えるだけでなく生産年齢の人口が急速に減ってしまうという問題にも直面します。地方に着目するとさらにその傾向は顕著に表れることになると予測され、介護等の人材獲得がより深刻化するとみられています。

すでに発生している問題でもありますが、日本人1人あたりの医療費はさらに増大してしまいます。

トリプル改定の検討においてはこうした人口や世帯構成の変化も考慮されます。適正化、効率化を図り、制度の持続可能性を高めなくては現在の社会保障制度を維持できなくなってしまうからです。調剤報酬に関してもこうした大きな問題の解決に向けて改定がなされます。

トリプル改定の重要テーマとは

トリプル改定における重要テーマの1つは「地域包括ケアシステム推進に向けての医療・介護・障害サービスの連携」です。医療機関の機能分化や強化、連携、在宅医療の充実、これによる医療提供体制の再構築を図るのです。

その他、次のテーマについても重要なものとして掲げられています。

  • ・リハビリテーション・口腔・栄養
  • ・要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療
  • ・認知症
  • ・人生の最終段階における医療・介護
  • ・訪問看護
  • ・薬剤管理 など

診療報酬改定の施行が2ヵ月後ろ倒しに。2024年6月1日施行へ。

通例でいうと2024年4月1日にトリプル改定が施行される予定ですが、2024年においては「2ヵ月」後ろ倒しとなった2024年6月1日に施行されるようスケジュールが見直されました。その背景などを以下で説明します。

診療報酬改定の施行日後ろ倒しの背景

2ヵ月後ろ倒しになったのは、2023年8月に行われた医療DXに関する議論での提案が発端です。医療DXを推し進めるうえでは、4月施行とするには「現場の負担が大きい」というのが主な理由です。
診療報酬改定に伴いさまざまな業務が発生し、医療機関や薬局、そしてベンダーの業務がひっ迫してしまいます。この負担の軽減を目的に、施行日は後ろ倒しされることとなりました。

2ヵ月後ろ倒しになった場合、スケジュールに影響はある?

診療報酬改定の施行が2ヵ月後ろ倒しとなりますが、すべてのスケジュールが変更されたわけではありません。薬価改定に関しては変わらず2024年4月1日に施行されます。

診療報酬改定時期を2ヶ月後ろ倒しした場合のスケジュール(案)
▽出典
厚生労働省「医療DXについて(その2)」(PDF)

ただ、時期がずれての施行となることで、患者側としては会計の内容がころころと変わることになり混乱することもあるかもしれません。

薬局側としても、4月からの薬価改定による会計の変化、6月からの調剤報酬改定による会計の変化についても患者に説明をする必要が出てくるかもしれません。なお薬局の実績判定期間等に関しては、今後の議論の動向に注目しておく必要があるでしょう。

2024年調剤報酬改定のポイント

来年度の調剤報酬改定に関して、注目ポイントを以下にまとめます。

在宅医療

トリプル改定においては「在宅医療」が重視されています。2040年に向けて在宅医療の需要が増大していくとみられており、患者が望む場所で看取りがなされるような体制を整えていくことが求められ、診療報酬上も適応していく必要があると評価されています。
また、地域包括ケアシステムを構築するうえでも住み慣れた場所で自分らしい生活を続けることは重要であり、その意味で在宅医療は不可欠の要素であると考えられています。

薬剤師や薬局に関しては、在宅医療における薬剤管理状況を把握すること、医療機関や高齢者施設との情報共有が重要な役割とされています。かかりつけ医と連携し、在宅医療でも患者が安心して薬物療法を受けられる環境を作っていかなければなりません。なお、在宅患者に対しては薬剤の管理だけでなく、服薬指導も行うことも重要です。

服薬フォローアップ

2023年7月の中医協総会(中央社会保険医療協議会総会)では、調剤に関する議論で、今後充実させるべき対人業務の1つとして「服薬フォローアップ」が取り上げられています。

服薬フォローアップには「適正な使用の推進」「服薬アドヒアランスの向上」「異常が起こったときの受診勧奨」「医療機関に対するフィードバック」などの効果が期待されています。適切にフォローアップがなされることで薬物治療に対する患者の不安も解消され、また、服薬に対する意識も高まります。

トリプル改定の重要テーマの1つである「認知症」に関しても、早期対応・重度化予防に向けて多職種による連携を図り、服薬管理が適切に実施されることが重要であると考えられています。

薬剤師・薬局に対してはさらに、情報提供をするだけでなく状況を踏まえた処方提案をすることも今後期待されています。

医療DX

昨今、社会全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が説かれています。これは単にITツールを導入するというだけでなく、デジタル技術の活用による変革を意味する言葉です。

医療分野においてもこのDXは重要なものと捉えられています。医療DXを進めることは、医療の質の向上や医療にかかわる業務の効率化につながります。
2023年6月に発表された「医療DXの推進に関する工程表」にも示された通り、今後も政府は医療DXに取り組んでいく方針です。

そのため、オンライン資格確認等システムを活用し、医療機関や薬局間で情報共有する仕組みである「全国医療情報プラットフォーム」を構築することをあげています。具体的に、電子カルテの標準化や電子処方箋の導入が重要となっています。プラットフォームが整備されれば、医療機関・薬局だけではなく、自治体や介護事業所等とも情報共有ができるようになります。

具体的な手段として、「オンライン資格確認等システムの導入・普及」が重要です。2023年からすでに薬局等においてオンライン資格確認等システムが導入され、マイナンバーカードと健康保険証の一体化が進められています。この流れにより、2024年秋には健康保険証は廃止される予定です。医療DXではこうして医療情報などを共有する基盤の構築が目指されています。

電子処方箋についてもすでに運用が開始されていますが、実際にすべての薬局に普及されているわけではありません。そこで2025年3月までに全国の薬局等に電子処方箋を普及させることも医療DXの一要素として進められています。これにより、複数の医療機関を利用している患者に関する薬剤の重複、飲み合わせなどの問題が解決されやすくなります。

他医療機関との連携

薬剤師には医師や歯科医師に対し情報提供を行うなど、連携することが求められます。職種を超えて連携し患者を支えていくこと、さらに連携に伴って「薬剤の一元管理」も重要になってきます。

患者は自宅や病院、介護施設など、さまざまな施設で過ごすことが想定されますが、これら施設の間に患者情報を一元管理する主体がないことも課題の1つです。そこで薬剤師や薬局の働きに期待が寄せられています。薬剤師が各施設と連携して患者の薬剤情報を一元管理し、適切に薬を飲めているか、副作用が生じていないか、といった情報を各施設に提供して連携を図ることが求められてくるでしょう。

門前薬局への報酬が厳しくなる!?

2024年の診療報酬改定に伴い、特定の医療機関からの処方箋に依存している調剤薬局について報酬を下げる方針が示されてされています。この影響を受けるのはいわゆる「門前薬局※」で、財務省からは薬局全体のうち少なくとも1/4で是正すべきとの主張がなされています。
※門前薬局とは:病院外ではあるものの、目の前やすぐそばに開設されている調剤薬局のこと。

過剰な処方により利益を出すことを防ぐため医薬分業が推進されたのですが、門前薬局が増えることで結局調剤医療費が増えてしまっているという現状があります。門前薬局に関わる方針も今後注目です。

薬局が今から準備できること

2024年のトリプル改定に対し、薬局はどのように対応していくべきでしょうか。医師の負担を軽減するため、「薬剤師による投薬に関する説明」「服薬状況等の管理や情報提供」などが求められており、今後さらに薬剤師や薬局の存在意義は増してくると思われます。

こうした期待に応えるためにできる今後の準備としては「医療ICTの活用」が挙げられます。

重要視されている地域包括ケアシステムの構築においても多職種との連携が欠かせません。そしてこの連携を実現するには医療DXが必要であることから、ICT活用の検討を進めなくてはならないのです。

電子処方箋や電子版お薬手帳などを積極的に導入し、情報管理・情報提供がより効果的効率的に実施できる環境を作っていきましょう。

まとめ

2024年はトリプル改定で調剤報酬などに関わる医療、そして介護や障害福祉の分野についても改定がなされます。薬価改定については4月からの施行ですが、診療報酬においては2ヵ月後ろ倒しとなっています。

準備期間が少し長めに取れるため、施行日までに薬局などでも環境整備を進めていきましょう。今後さまざまな役割が薬剤師に求められますが、まずは目の前の医療DXに向けて、医療ICT活用を進めていくと良いです。

無理に自院だけで対応する必要はありません。ICT活用の進め方がわからない、難しいという場合はベンダーも頼ることができます。

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