統合報告書 2024

PHCグループの事業戦略ヘルスケアソリューション

お客さまの研究開発のあらゆるステージをサポートし、
新しい医療と医療の発展に貢献します。

清水 啓

清水 啓

メディフォード株式会社
代表取締役社長

メッセージ

メディフォードは、社会にとっての新しい可能性です。これまでの長い経験から培われてきた高い分析力と疾病理解の深い知見、目的を実現する方法をゼロから開発してきた豊富な経験、提供してきたさまざまなサービス、あらゆるステークホルダーの皆さまとの強固な信頼関係が掛け合わさった新たな会社です。ここからさまざまに生み出されていく新しい価値や可能性を社会に届けることが、医療や創薬の進化を促すだけでなく、治療や人々の健康づくりに対するアプローチを、多様に、自由にしていくと、信じています。全ての人、それぞれの想いを叶えたい。私たちには、強い想いがあります。心身の健康や安心、人生の充実を叶える方法を自ら選びとれる世界をつくり、「生きていく」を明るく、前向きにしたい。これが、私たちが目指しているものです。

主要顧客

  • 製薬企業
  • メーカー
  • 研究機関/大学
  • 創薬ベンチャー企業

概要

メディフォードは、治験事業を担っていた株式会社LSIメディエンスの事業部と非臨床事業を担っていた株式会社LSIM安全科学研究所が2023年11月1日に統合して誕生した事業会社です。
治験事業では、新規医薬品・治療法の開発に必要となる治験の検査サービスを製薬企業や創薬ベンチャー向けに提供しています。特に、高度な分析技術を有するバイオアナリシスサービスと、治験での検査に関わる一連のプロセスをセントラルラボサービスとして提供しています。
非臨床事業では、治験に進む前の医薬品や再生医療等製品の候補物質に対し、安全性や有効性等の非臨床安全性試験の受託試験を提供しています。検査はデータに関する品質と信頼性に関する規範である優良試験所基準に適合した自社施設で行っています。
メディフォードは、統合により、両事業が蓄積してきた医薬品研究開発における知見と技術を融合することで、多様化する新規治療法(モダリティ)における治験・非臨床両分野の分析技術を強化するとともに、多くの製薬企業が取り組むトランスレーショナルリサーチにも積極的に取り組みます。また、これまでの国内中心の事業活動に加え海外製薬企業・分析ラボラトリー向けサービスを拡大します。さらに、先端分析領域における製薬企業やベンチャー、アカデミアとのパートナーシップを拡張し、一層の事業規模拡大を目指します。

強み

  • 高い品質・信頼性の試験サービス
    各試験拠点はGLP適合施設であり、品質・信頼性の高い試験を行っています。また動物実験の試験も行っていますが、国際実験動物ケア評価認証協会(AAALACインターナショナル)から認証を取得しています。同協会は科学研究における動物の人道的な取り扱いを促進する国際的な非政府系団体であり、メディフォードでは動物のケアおよび使用において世界的な基準で取り組んでいます。
  • 個別化医療にも対応する最先端の分析機器・技術
    患者さんの腫瘍組織をマウスに移植したPDXライブラリーを維持管理しており、PDXを用いた抗がん薬のスクリーニング試験等、最先端の試験が可能です。またイメージング質量分析等の最新の機器を揃えています。さらにオルガノイドを始めとする3D培養技術や生体模倣システム(Microphysiological System: MPS)などの医薬品開発における課題解決に有用な技術やデバイスについても、他社との協業や導入などの選択肢も含めサービス化に向けた開発・検討に取り組んでいます。
  • お客さまのニーズに応えるソリューション提供
    治験の検査ではお客さまに必要な検査を設計して最適なソリューションを提供します。また、非臨床試験の分野でも試験戦略の立案から実施までコンサルティングサービスを行っており、それぞれのお客さまに最適なソリューションを提供することが可能です。

What’s new

現在、日本発の医薬品の世界市場におけるシェア低下や、ドラッグロスなどの課題に対し、医薬品の開発期間の短縮や成功確率の向上がますます求められています。
当社はこれらの課題を解決すべく他社との協業を積極的に行っています。2024年3月より連携している公益財団法人実中研(以下「実中研」)との研究では、実中研の基礎医学研究成果を当社が保有する医薬品開発技術基盤を通じて社会実装し、将来的に海外へ普及・展開することを目的としています。
また、湘南ヘルスイノベーションパーク(略称:湘南アイパーク、所在:神奈川県藤沢市)に集う企業4社と共に、2024年3月に発足した「湘南創薬支援コンソーシアム」では、製薬企業やベンチャー、アカデミアの創薬開発をサポートし、1社のみでは実現し得ない創薬支援の提供を目指してまいります。(2024年3月)

従業員の声

当社は、2023年12月に兵庫県神戸市で開催された「第97回日本薬理学会年会」にて、ポスター発表を行いました。通常業務と並行して行う実験や発表準備は、大変でしたがその分「やりがい」もありました。本発表では、新規に導入した機器を用いた評価系に挑戦しました。未経験の機器でしたが、論文を参考に一から勉強し、新たな評価系の構築に成功。発表準備では、データの解釈や結論付けについて先輩方と議論を重ね、研究成果を形にしました。ポスター発表当日は、来場された多くの方々から質問をいただき、結果の解釈や今後の課題について活発に意見を交換しました。多くの来場者に興味を持っていただけたことが嬉しく、努力が報われたと感じています。今後も精力的に研究を行い、継続的に学会での発表を行い、メディフォードの研究者として
成長していきたいと思います。

松木 菜保子

事業統括部門 非臨床事業部
熊本研究所 薬理研究部 薬理2G松木 菜保子

主要製品・サービス

治験事業と非臨床試験事業で培われた試験の信頼性と経験による高い分析力を掛け合わせ、創薬の探索フェーズを含む基礎研究から臨床試験まで、幅広い領域で研究開発支援サービスを展開

  • 非臨床試験受託サービス

    GLP基準に適合した施設および最先端の設備機器をいかし、薬事承認申請用の各種試験から研究開発初期の探索的検討試験、コンサルティングまで幅広く展開

    非臨床試験受託サービス イメージ
  • バイオアナリシスサービス

    生体試料中の薬物やその代謝物、バイオマーカー等の分析法開発から分析法バリデーション、実検体の測定を実施

    バイオアナリシスサービス イメージ
  • セントラルラボサービス

    全国の医療機関で実施される臨床研究(治験・臨床試験)の検体回収から一括検査まで、一連のプロセスをサポート。医薬品開発のグローバル化にも対応

    セントラルラボサービス イメージ

CRO事業部

CRO事業部 イメージ

国内の治験・非臨床市場は3,000億円超で、政府による創薬ベンチャーやアカデミアの支援強化の他、国際共同治験等の増加により年6%の成長が見込まれています。
疾患別にみると従来は生活習慣病やその関連疾患が中心でしたが、今後は認知症をはじめターゲット分子が十分に解明されていなかったり、がん等ターゲットは分かっていても効果に個人差がある疾患の割合が増加すると見込んでいます。また医薬品別では、治療法の変化から、低分子医薬から抗体・核酸医薬や細胞・遺伝子医薬といった新しい医薬・治療法の非臨床・治験試験が増加する見込みです。

2023年11月1日のメディフォードの設立により、非臨床事業と治験事業に存在する医薬品研究開発における知見と技術を融合し、これまで以上の成長を目指します。
イメージング質量分析法やPDXモデルによる抗がん薬試験等の優れた分析・評価技術をさらに進化させ、遺伝子組み換えや細胞培養の技術を用いた新規医薬品・治療法で求められる分析・評価技術を一層強化していきます。
また、以上のような高い分析技術をテコに、海外の製薬企業の日本における治験の検査を受注したり、協業している海外の医薬品開発業務受託機関(CRO)からの国際共同治験の試験等にも積極的に取り組みます。