統合報告書 2024

PHCグループの事業戦略診断・ライフサイエンス

画期的なテクノロジーを通じて、
患者さんの医療アウトカムの改善に貢献します。

スティーブン・ライナム

スティーブン・ライナム

PHCホールディングス株式会社 執行役員
エプレディアホールディングス 社長

メッセージ

エプレディアの社名は、enhance precision cancer diagnosticsから頭文字をとっており、がん診断に関わる病理学的検査のソリューションを提供しています。私たちには、精緻ながん診断をサポートし患者さんの生活を豊かにするという使命があり、疾病による負担を軽減し、医療における環境への負荷も低減していきます。ベストインクラスの製品とサービスで、お客さまや患者さんに貢献するよう全力で取り組んでおり、今この瞬間も世界中のラボラトリで活躍しています。

主要顧客

  • 病院/診療所
  • 研究機関/大学
  • 製薬企業

概要

エプレディアは、精緻ながん診断を追求した包括的なソリューションを提供し、患者さんのより良いアウトカムに貢献する病理分野のグローバルリーダーです。
病理とは、採取された体内の臓器や組織の一部を観察し、良性か悪性か診断するもので、がんの診断・治療には不可欠です。採取された検体は多くの処理工程を経てスライドガラスの上に載せられ観察・診断されることになりますが、エプレディアはその工程で必要な全ての機器や試薬、スライドガラス等の消耗品を取り揃えて提供しています。Shandon、Richard-Allan Scientific、Microm、Menzel-Glaserといった製品ブランドとして知られ、1937年の創業以来85年にわたってその卓越した技術で精緻ながん診断を行うためのソリューションをお届けしています。
現在も1秒間に48ものエプレディア製品が、世界中の医療機関や研究施設で使用されています。今後も革新的でより的確ながん診断の実現に貢献していきます。

強み

  • 高品質・高精度で包括的な製品ラインアップ
    エプレディアは病理のワークフローに必要な機器と消耗品を揃えています。特にスライドガラスはその優れた接着性や、歪みのない表面の均一性等で高い評価を受けています。機器についても温度制御の精度等はもちろんのこと、人間工学に基づく操作のしやすさ等使い勝手にも注意した設計が支持されており、効率的かつ正確ながん診断に貢献しています。
  • デジタル技術による革新的な製品
    これまではスライドガラスに用意された検体は顕微鏡で病理医が観察していましたが、近年デジタル画像としてスキャンしパソコンの画面で観察するデジタル病理の技術が確立されてきました。またそのデジタル画像をAIの画像認識により、がんの診断に活用する技術も開発されてきています。エプレディアはこのような新規技術も積極的に取り入れています。
  • 強固な顧客基盤と高い市場シェア
    エプレディアには85年にわたって培われた顧客との信頼関係と高い市場シェアがあります。特にスライドガラスやティッシュプロセッサー等は世界シェア1位です。

What’s new

エプレディアは、がん診断ソリューションのグローバルリーダーです。高品質で信頼性の高い機器、試薬、スライドガラスを提供し、デジタルスキャナーやAIを活用した診断で、臨床・研究分野に新たな価値をもたらしています。2023年度には、SlideMate Laserプリンターを発売し、がん診断のワークフローで用いるスライドガラスにより多くの詳細情報を書き込むことで、組織検体の追跡と作業効率の向上に貢献しています。さらに英国でE1000 Dx™ デジタルパソロジーソリューションを上市し、検査室での診断を大幅に効率化させています。上海工場では中国市場向け機器の生産を開始しました。エプレディアは、検査室のワークフローを改善する病理分野製品を通して、これからも精緻な診断を可能にする最先端のテクノロジーをお届けします。(2024年3月)

従業員の声

これまで20年にわたり、私たちはポーツマスの拠点から子宮頸がん検診に特化した革新的で高品質なOEMスライドガラスを供給してきました。このような製品では、真菌汚染による誤診や不要な治療を防ぐために細心の注意が必要です。私たちは、誇りを持ってスライドを製造し、重要な医療ニーズに応えています。梱包部門で働いているのは全員女性で、
このスライドガラスが婦人科受診においていかに重要な役割を果たしているかに思いを巡らせ、
私たちに求められる高い品質基準を深く理解し、徹底しています。

リサ ジュリアン

工場長代理リサ ジュリアン

主要製品・サービス

  • スライドガラス
    良質なスライドガラスを用いることで、質の高い病理診断が実現できます。独自のガラス製造技術で滑らかなエッジと均一な厚さを可能にし、高質な検体分析と高精度な診断をサポートします。
  • 病理用試薬
    細胞質と核クロマチン間で明瞭なコントラストが得られる細胞診染色が、高く評価されています。また、エプレディアの染色装置は、高い透明度と鮮明度で核の染色を行い、さまざまな染色液と併用ができます。
  • 病理用機器
    組織検査室で信頼性の高い結果を得る上で、組織処理が重要です。現在、検査室における工程の迅速化、費用の節減、作業ミスの削減等が求められています。エプレディアの組織処理ソリューションは、高品質なパラフィンブロックを効率的に処理し病理医の判断を支援します。
  • ラベル付け・管理ソリューション
    組織検査室で発生する作業ミスを防ぐには、カセットやスライドガラスのラベリングや適切な記録、管理が必要です。レーザー技術やオンデマンド印刷機能を備えるエプレディアのカセットプリンターおよびスライドプリンターは、検査室の試料やスライドガラスを自動的にラベリングでき、ワークフローの合理化と精度を高めます
  • スライドガラス

    光学的に最高レベルの透明度で
    より的確な診断を実現

    スライドガラス イメージ
  • 病理用試薬

    透明度が高く、費用対効果に優れた染色液で、細胞質やクロマチンの顕微鏡観察を効率化

    病理用試薬 イメージ
  • 病理用機器

    試料への試薬の浸透・置換を効率化するとともに、試薬コストを低減

    病理用機器 イメージ
  • プリンター

    カセットやスライドガラスの印字を自動化しワークフローを効率化

    プリンター イメージ
  • デジタル病理

    病理検査の未来に貢献
    3DHISTECH社とのパートナーシップを通じた、病理検査におけるデジタルスライドスキャン技術の活用

    デジタル病理 イメージ

※ 自社調べ

病理事業部

病理事業部 イメージ

がん患者は世界的にも増加しており、それに伴い、がん診断の必要性が増し、また、がん関連の医薬品開発活動は製薬企業を中心に旺盛です。そのような背景から、病理検査用機器や消耗品の市場は1桁半ばの成長が見込まれています。

エプレディアでは、デジタル病理や免疫組織化学染色の領域にも注力しています。デジタル病理では顕微鏡ではなく、デジタル画像としてがん診断をサポートします。また、細胞・組織にどのようなタンパクが分布しているか確認する必要がある場合は、免疫組織化学染色という手法が用いられます。これらは今後がんの診断および医薬の研究開発の効率性を大きく向上させる手法として注目されており、年2桁で成長することが期待されています。

病理は品質の高さ、安定性が特に求められる領域であり、我々は今後も高品質の新製品を販売し、市場シェアを伸ばしていきます。

成長領域であるデジタル病理は、パートナーである3DHISTECH社のデジタル病理製品を販売しています。3DHISTECH社とは免疫組織化学染色におけるパートナーとして、共同で研究開発活動拠点を運営しており、デジタル病理・免疫組織化学染色においても重点投資して伸ばしていきます。

医師の経験や知見を通じて、現場視点で開発されたE1000 Dx™デジタルパソロジーソリューションは、最大1,000枚のスライドを一度にロードでき、約半日で自動スキャンできます。
例えば夜の間にスキャンにかけておき複数の病理医とデータを共有すれば、病理医の所在地によらず大量かつ迅速な観察が可能になり、観察プロセスの効率化に貢献します。

E1000 Dx™デジタルパソロジーソリューション イメージ