統合報告書 2024

PHCグループの事業戦略診断・ライフサイエンス

高精度な医療機器と診断薬を提供し、
医療の発展に寄与します。

徳永 博之

徳永 博之

PHC株式会社 取締役
診断薬事業部長

メッセージ

PHC株式会社診断薬事業部は、1962年に日本で初めて臨床検査薬を、また1991年に業界初の電気化学式自動吸引型血糖値測定システム(BGM)を開発した伝統のある事業部です。
現在では血糖自己測定システムやPOCT(Point Of Care Testing:簡易迅速検査器)、生化学分析装置、体外診断薬、および電動式医薬品注入器等さまざまな製品を手掛けています。
我々はPHCグループの経営理念を元に、事業部のミッションを「わたしたちは、高精度・高信頼性・高付加価値の医療機器と体外診断薬の提供を通じて、世界を駆け抜けるトップランナーとして医療の発展に貢献します」と定めています。
今後もPOCTを中心とした診断薬事業のさらなる成長を加速してまいります。

主要顧客

  • 病院/診療所
  • 医療機器メーカー
  • 製薬企業

概要

診断薬事業部は、1969年に設立された松下寿電子工業のヘルスケア事業を前身にする事業部です。
1991年に業界初の電気化学式自動吸引型血糖値測定システム(BGM)を上市して以降、電動式医薬品注入器やPOCT機器等、さまざまなヘルスケア製品を開発・製造してきました。モノづくりを強みとして、疾患の早期発見と効果的な治療を支援するさまざまな医療機器を提供しています。
PHCグループの事業再編により、PHC株式会社診断薬事業部と株式会社LSIメディエンス診断薬事業本部を2023年11月1日付で統合しています。
今後も、モノづくりの強みを最大限に生かし、製品のさらなる高品質化・低コスト化を推進するとともに、機器と試薬の開発においてお客さまのアンメットニーズに応えていきます。

強み

  • 市場のニーズを汲み取った製品設計
    ユーザーの要望や使用時の使いやすさやリスクをあらゆる角度から社内で検討し、設計へ反映しています。 またどうすれば診断・治療が正確に実施され、最大効果が出せるかなども検討し、当社でしか出せない高付加価値の製品を提供します。
  • 効率的な製品開発プロセス
    複数工程を同時に進めるコンカレントエンジニアリングという考え方や、通常は後に行う検討でも事前に評価できる項目・プロセスは極力前倒しをし、問題点を早めに洗い出すフロントローディングという考え方を取り入れ、製品開発プロセスの効率化を追求しています。
  • 卓越したモノづくり技術
    松下寿電子工業時代から続くモノづくりの知見や改善を繰り返す風土は、我々の高品質・高精度なモノづくり技術の基盤です。光ディスクドライブを設計・製造していた際に培ったディスクを回転させる技術は、現在のヘルスケア製品において検体の遠心分離技術や測定技術に応用されています。

What’s new

2023年11月に株式会社LSIメディエンスの診断薬・機器事業は吸収分割を経て、PHC診断薬事業部に承継されました。診断薬事業部の強みである血糖値測定システム等製品のモノづくりの風土に、体外診断薬および医療機器の開発・製造の新たな技術・知見・ノウハウが融合醸成することにより、高性能かつ高品質な製品を国内外に広く提供することが可能となりました。また、診断薬製造工場、研究施設、営業拠点の増強やグループ間連携、交流の促進等によるシナジーの最大効果を生み出し、お客さまのアンメットニーズにお応えする製品の開発・製造をさらに加速します。
今後も疾患の早期発見と効果的な治療を支援する医薬品・機器の提供により、医療の発展に貢献します。(2023年11月)

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新生・診断薬事業部のキックオフミーティングにて

従業員の声

別事業が同居する空間で生まれるシナジーとイノベーション

私が勤務している北海道オフィスでは、診断薬事業部 札幌営業所7名、バイオメディカ事業部 北海道営業所3名が同居しています。フリーデスクのため事業部の垣根を越えた交流と情報交換の会話が飛び交う、風通しの良いオフィスです。
診断薬事業部の製品群・情報網は臨床検査に特化しており、バイオメディカ事業部は顧客の領域に囚われない幅広い顧客層と情報網を有しています。これまで交流する機会がなかった事業や従業員が交わることで生まれるシナジーとイノベーションによって、お互いの強みをより加速させ、弱みを補い合える拠点へ進化している、と感じています。
今後もあらゆる情報を社内で共有し、新たなロールモデルと事業価値の創造を目指します。

西澤 宜彦

診断薬事業部 国内営業部 東日本営業部
札幌営業所 主任西澤 宜彦

主要製品・サービス

血糖値測定システムを中心とした糖尿病ケア製品、医療現場でのリアルタイム検査に用いる機器・試薬、医薬品注入器を展開

  • 移動式免疫発光測定装置
    (パスファースト)

    移動式免疫発光測定装置 イメージ
  • 全自動血液凝固検査システム
    (CN10)

    全自動血液凝固検査システム イメージ
  • 汎用自動分析装置用試薬

    汎用自動分析装置用試薬 イメージ
  • 血糖自己測定システム

    納入先:アークレイ株式会社

    血糖自己測定システム イメージ
  • 病院/診療所用血糖値測定
    システム

    納入先:株式会社三和化学研究所

    病院/診療所用血糖値測定システム イメージ
  • 採血用穿刺器具・専用採血針

    納入先:株式会社三和化学研究所

    採血用穿刺器具・専用採血針 イメージ
  • POC生化学分析装置
    (HbA1c、脂質およびCRPを測定)

    納入先:ロシュ・ダイアグノスティックス社

    POC生化学分析装置 イメージ
  • 電動式医薬品注入器

    納入先:JCRファーマ株式会社

    電動式医薬品注入器 イメージ
  • 呼気一酸化窒素測定装置

    納入先:NIOX社

    呼気一酸化窒素測定装置 イメージ
  • ※「 呼気一酸化窒素測定装置」は米国FDA承認済み

診断薬事業部

診断薬事業部 イメージ

診断薬事業部ではPOCT市場に注力しています。POCTはプライマリーケアと呼ばれる、身近にあり何でも相談にのれる総合的な医療や、より迅速な検査・診断に対する需要の高まり等から、1桁台半ばから後半で成長すると見込まれています。地域別では特に米国をはじめとする海外において、高い成長率が見込まれています。
現在、主に電動式医薬品注入器と移動式免疫発光測定装置および体外検査試薬に注力しています。電動式医薬品注入器は、正確な量の薬剤の自動投与の他、投与履歴の確認ができ患者さんのご自宅での治療をサポートします。

電動式であるため、バネ式と比較し高粘度製剤にも適用可能である等、より応用範囲が広い製品です。
移動式免疫発光測定装置はオールインワンの試薬カートリッジを採用し、同時・多項目の測定が可能、病院・診療所等での迅速な検体測定に貢献します。
診断薬事業部では今まで培った技術、およびPHCとLSIメディエンスの技術を融合させることにより次世代心臓バイオマーカー測定機器の他、アンメットニーズに応える機器と試薬の開発を進め、この領域で大きく成長してまいります。

電動式医薬品注入器 イメージ