SPECIAL TALK

モダリティ(治療手段)の
進化を支える。
バイオメディカ事業部は
無限の可能性を秘めています。
代表取締役社長
取締役事業部長

国内シェア1位(※1)、世界シェア2位(※2)などの商品群を、世界の約110の国と地域(※3)に展開しているPHC株式会社(以下、「PHC」)。50年の歴史を誇る精緻な技術力と確かな信頼・実績により、数多くの製品・サービスをグローバルに展開しています。今回は、「モダリティ(治療手段)の進化への貢献」をビジョンに掲げるバイオメディカ事業部に焦点をあて、強みや特長、今後の方向性を「代表取締役社長 中村 伸朗」と「取締役事業部長 高魚 力」に聞きました。

(※1)(※2) 出典:Global Assessment of Life Science Equipment 2023 (Frost & Sullivan)
(※3) 対象事業部:バイオメディカ事業部

theme 01 PHC株式会社
について

グローバルヘルスケア業界におけるPHC株式会社

国内シェア1位(※4)
世界シェア2位(※5)の商品群。
“次世代医療の実現”に技術で貢献。

(※4)(※5) 血糖自己測定システム(自社調べ)、超低温フリーザー、CO2 インキュベーター
(出典: Global Assessment of Life Science Equipment 2023 (Frost & Sullivan) )などのシェア

はじめにグローバルヘルスケア業界の、
課題をお聞かせください。

中村

様々な課題がありますが、一番はクオリティとコストの両立です。医薬品や医療技術を届けるために世界的に莫大なコストがかかっています。“良質な医療サービスをいかに効率的に、いかに安く届けられるか”が、グローバルヘルスケア全体の課題です。

新しい治療技術、新薬創出に、
向き合っていくとお聞きしています。

中村

難治性疾患に対する治療技術や創薬も世界中で進んでいますね。その中で、少しでも早く、安く、新しい治療技術や新薬を患者さんに届けるために、私たちは “どういった価値を創造し、提供できるか”を常に考えています。
PHCグループは、中期経営計画で、個々の治療に合わせて医療コストを最適化する“バリューベース・ヘルスケア”の実現への貢献を目標として掲げています。技術で“次世代医療の実現”に貢献する日本発のグローバルヘルスケア企業として、国内外問わず数多くの商品・サービスを提供していくのが、私たちの責務だと考えています。

PHCグループでの立ち位置

世界の約110の国と地域で
展開されている商品を
バイオメディカ事業部、
診断薬事業部で創出。

PHCグループにおける、
PHC株式会社の役割を教えてください。

中村

PHC株式会社はモノづくりを通じて、価値を提供する企業としてPHCグループ全体の中でも存在感を示しています。医療機器をつくるということにおいてチャレンジングな姿勢で、商品を生み出し、そして品質の向上を実現させています。

PHC株式会社が行っている
事業内容と組織について教えてください。

中村

大きく分けて2つあります。生体試料や医薬品、ワクチンなどの長期保存に使用されている超低温フリーザーなどの研究・医療支援機器の開発、製造、販売を手掛けている“バイオメディカ事業部”と、診断機器や在宅医療支援機器を開発している“診断薬事業部”です。

国内だけでなく、
国外にも数多くの商品を届けていますね。

中村

世界110か国に展開しています。商品の精度に対する客観的評価でも、世界中のお客様よりお墨付きを頂いています。ここまでグローバルに商品を提供できている企業は稀ではないでしょうか。事業の更なる強化を行い今後はさらに世界でのシェアを拡大していきます。

theme 02 バイオメディカ事業部
の特徴

写真左上/
Reproduction Medicine Center
(スウェーデン)

写真右上/
Cell & Co(フランス)

写真左下/
国立国際医療研究センター(日本)

バイオメディカ事業部の目指す姿

超低温フリーザーや
CO2インキュベーターを
はじめとする商品は、
国内外の様々な製薬企業、
医療機関、
大学研究施設で活躍。

成長著しい「バイオメディカ事業部」
について教えてください。

高魚

バイオメディカ事業部は1966年に国内で初となる薬用保冷庫を世に送り出しました。それ以来、半世紀以上にわたり、ライフサイエンス研究に携わる研究者や医療従事者を対象とした研究医療支援機器の開発、製造、販売、サービスをグローバルに展開しています。

商品は世界中の様々な機関、
企業で使用されていますね。

高魚

コアとなる技術は、冷凍保存技術や培養技術です。細胞試料や医薬品などの長期保存に使用する超低温フリーザーや、細胞培養に使用するCO2インキュベーターが主力商品となっており、どちらも高いシェアを誇っています。様々な製薬企業、医療機関、大学や研究機関などで使用されています。

開発や販売の拠点が
世界各地にあるとお聞きしています。

高魚

国内の開発、製造拠点は群馬県と愛媛県にあります。インドネシアにも製造拠点を設け、国内外の需要に迅速に対応しています。そして、アメリカ、ヨーロッパ、中国、シンガポールにも販売拠点を持ち、グローバル市場に商品を届けています。

バイオメディカ事業部の特徴

世界各地の研究機関や国際学会などから
認められた“品質の高さ”。
起点は常に“お客様の声”です。

国内シェア1位、世界シェア2位を
実現できる理由はどこにありますか?

中村

“品質の高さ”です。日本のモノづくり技術の得意とするところですが、“PHCの商品は耐久性が高く、性能も均質で使い勝手がいい”と、数多くのお客様から感謝の言葉を頂いています。それもあり、毎月開催される品質会議はとても重要。少しでも気になる点や現場からの声があれば、改善するために動きます。

やはり重視しているのは
「お客様からの声」でしょうか。

中村

実際に使用する方々が“どう感じ、どう考えているか”を、マーケットドリブンで商品の改善、開発につなげています。注力するテーマは“使い勝手の進化”や“コア技術の基礎研究”など様々。起点を常に“お客様”に置きながら、改善と新しい価値の創出を繰り返します。この良いサイクルから高い品質の商品が生み出されています。

高い品質は様々な国際機関からも
高い評価を得られていますね。

高魚

アメリカの国際エネルギースタープログラム(※6)では、各社の商品の消費電力量などが公示され評価されています。その中で私たちの-85℃ノンフロン超低温フリーザー“VIP ECO SMART”シリーズが省エネルギー性能を認められ、1位と2位を独占(※7)。品質の中でも“省エネ性能”が評価されました。

最近リリースされた商品も早速、
受賞されていますね。

中村

特に、1位になった機種は、環境および生物学的リポジトリ国際学会(ISBER)2023年度年次総会でも、高い省エネルギー性能が評価され、優秀新製品賞を受賞しました。PHCの商品の品質の高さが認められ、とても嬉しいです。

(※6)日米両政府合意のもと、1995 年10 月から実施されている地球環境を守るための国際的な省エネルギー制度です。製品の消費電力などについて米国EPA(環境保護庁)により基準が設定され、基準を満たす製品に「国際エネルギースターロゴ」の使用が認められます。
(※7) 2023年10月31日現在。詳細な情報は こちら

theme 03 バイオメディカ事業部
の今後

バイオメディカ事業部の目指す姿

「過去に縛られない。
成功体験を超える発想や技術で
モダリティの進化に貢献を。

今後のバイオメディカ事業部の
方針を教えてください。

中村

バイオメディカ事業部のビジョンは、“モダリティ(治療手段)の進化への貢献”です。生命科学研究においては、既存モダリティの多様化に加え、再生医療、細胞医薬、抗体医薬など様々な新しいモダリティの研究開発が進んでいますが、これらすべてのモダリティの進化にこれまで以上に貢献できる商品やサービスを追求していきます。

具体的にどんな方向性があるかも
教えてください。

高魚

まず一つが“モダリティの研究開発と治療現場で貢献している既存の商品ラインアップの更なる進化”です。先ほどお話しした“VIP ECO SMART”は、私たちが過去十数年にわたって研究開発を続けてきた環境配慮型商品で、省エネルギー性能の向上を徹底的に追求した結果誕生したハイエンドモデルです。また、IoT技術を付加した新たなサービスソリューションなどのDX化も加速させます。
次に、“CGT(細胞遺伝子治療)の早期普及に向け、治療製造プロセスにおけるQCD(品質、コスト、納期)課題の解決に貢献する新たなソリューションの創出”を掲げ、新規開発を進めています。

先端治療分野における挑戦

加速する細胞遺伝子治療。
PHCも変革を遂げ
新規事業、新たなソリューションを
生み出します。

ニーズが急増している
「ライフサイエンス機器市場」について
教えてください。

高魚

抗体医薬品やワクチンなどのバイオ医薬品需要の高まりや、mRNA技術を活用した創薬研究、細胞遺伝子治療などの新たな治療法の研究開発の進展等を背景に、ライフサイエンス機器市場はグローバルで成長しています。特にCGT領域においては、2030年までに年率30%以上の成長率で拡大することが見込まれています。

PHCの注力ポイントを教えてください。

高魚

これまでは超低温フリーザーやCO2インキュベーターの開発、販売を中心に事業を行ってきました。今後は、先にもお話したように、CGTの早期実用化のために解決しなければならない課題―例えば細胞製造の生産性向上や、より安定した細胞品質の実現などに貢献できる新たなソリューションの開発と提供に注力したいと考えています。
実は、私たちは、2000年に業界に先駆けて細胞調製加工施設(※8)を国内で導入し、2007年にはセルプロセッシングアイソレーター(※9)を開発、発売するなど、約20年前からCGT領域におけるソリューション開発に取り組んできた実績を持っています。

開発中の製品もあるのですか。

高魚

現在は、細胞の連続的な代謝変化をリアルタイムで可視化するライブセル代謝分析装置「LiCellMo」を開発中です。これは、培養中の細胞が増殖・分化するために取り込むグルコースとその過程で産生される乳酸の濃度を、独自のIn-Lineセンサー(※10)を用いて連続的に測定できる商品です。従来のように培地をサンプリングせずに、培養中の細胞の代謝変化をリアルタイムに測定できるため、細胞の代謝研究や細胞治療などの基礎研究分野だけでなく、細胞治療の実用化に向け、安定した細胞製造の実現に寄与する基盤技術としても活用できると期待しています。
このように、私たちは、新たなモダリティの研究開発や治療現場に必要不可欠な機器を提供する既存事業を基盤としながら、新たなモダリティの早期実用化に向けた課題解決に直結するソリューション開発という新しいフェーズへ、事業領域の拡大を図ろうとしています。

バイオメディカ事業部も
変革を迎えているのですね。

中村

市場の変化を見据え、私たちも変わるタイミングを迎えています。社内の技術力や発想はもちろん、専門性の高い人財を迎えたり、時にはM&Aなどを実施したりすることで、新たな事業を創出していきます。

(※8)細胞培養、加工などの処理を無菌的に行なうために、厳密に管理された細胞処理施設
(※9)アイソレーターの操作内部を過酸化水素で無菌化した閉鎖空間と、着脱式の培養モジュール、遠心分離モジュール等を組み合わせ、セルプロセッシングの一連の工程が無菌環境を維持したまま行える装置
(※10)培地に常時浸漬させ、サンプリングすることなく培地中の細胞代謝物質を連続測定するセンサー

theme 04 多様性ある
活躍フィールド

私たちが求めている人財

「あれをしてみたい」
「これはするべき」
挑戦の機会を、成長の機会に。

どのような経験や知識がPHCで活かせますか。

高魚

現在、事業企画やマーケティングなどの企画系のポジションはもちろん、設計開発、品質保証などの技術系のポジションも募集しています。それぞれで活かせる経験や知識がありますが、何より大切なことは“挑戦心”です。

変革期を迎えたバイオメディカ事業部だからこそ、
挑戦の機会も豊富なのですね。

中村

事業の変革期を迎えている今、常にチャレンジしてほしいと思います。“グローバルに活躍したい”“新しい取組や価値の創出にチャレンジしたい”“知的探究心を持ち、原理原則を追求したい”など、当社で何か一つでも挑戦したいことがある方は活躍できる可能性が高いですね。

実際、どのような思いを持って
入社される方が多いですか。

高魚

“人の役に立ちたい、社会に貢献したい”“培ってきた経験や身につけた知識を意義の大きな仕事に使いたい”など、手がけている商品や事業内容からも、このような思いを持ち、入社される方が多いですね。

PHC株式会社で得られること

商品を導入した研究機関から
新たなモダリティが生み出されることも。
世界や人類を支え、
医療に新たな価値を提供するチームの一員。

ユーザーには新たな治療法の開発に取り組んで
いる研究機関も
多くあるとお聞きしました。

中村

私たちの商品は、数多くの製薬企業や医療機関、大学の研究施設などに導入されています。時にそういった機関や施設で新たな治療法が開発されることもあります。研究の一翼を担い、さらに多くの人の暮らしや社会にも貢献できている実感を味わえます。

様々なバックグラウンドを持った人財が
活躍していますね。

高魚

国内、海外含め、チームワークがいいのが特徴の一つです。新卒入社もキャリア入社も、20年・30年のベテランも若手も、お互いを尊重しながら働いています。一人一人の個性や力が最大限、発揮できる環境が広がっています。

「期待をして、機会を提供する」という
風土も特徴でしょうか。

高魚

とにかくチャンスが多いですね。入社数ヶ月で海外出張を経験した新卒入社者もいますし、入社して数年で責任あるマネジメントのポジションを担当しているメンバーもいます。“大手の安定性、土台”と“ベンチャーの自由度、スピード感”という、最高の舞台です。

新しい事業や新しい商品が
今後リリースされていきますね。

中村

優先順位をつけた上で新規事業の創出や新商品の開発を進めているところです。ロードマップを描き、どんな商品が求められているかを俯瞰しながら形作り、チームを牽引できる機会があるので、ぜひ挑戦して欲しいと思います。