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医療システムのサポートとは?どんな内容なのか
電子カルテをはじめとする医療システムのサポートには、大きく分けて、導入する際のサポートと導入後のサポートの2つがあります。細かい条件は異なりますが、導入時のサポートはほとんどのメーカーが提供しています。今回お話ししたいのは、導入後のサポートについてです。
導入後のサポートは、ハードウェアとソフトウェアとで大きく分けられます。ハードウェアの場合、機器から異音がする、電源が立ち上がらないなど、日々の使用で直面するトラブルに対して原因調査や修理を行うなど、ハード機器の保守(正常な状態に保つこと)がメインです。一方ソフトウェアの場合は、システムのバージョンアップや診療報酬改定への対応に加え、システムの使い方や、システム更新に伴う変更点の問い合わせ、エラーメッセージへの対応など、予期せぬシステム運用上のトラブルに対するサポートです。
導入後のサポートを比較するとき、指標になりやすいのは対応時間やサポートセンターの拠点数などでしょう。しかし、実際にメーカーごとの差が表れるのは、対応の幅や手厚さです。
サポート内容が充実しているメーカーだと医療事務関連の知識にも精通していて、診療報酬改定の際には積極的な情報提供を受けられたり、レセプト業務に関する相談や業務をより効率化するためのアドバイスも受けられます。
サポートの有無は「コスト面」だけで判断できない
サポートの有無を選ぶ際にまず考えるべきは、医療提供をストップさせないためにはどんな備えが必要か?という視点です。もし災害などであらゆるお店やサービスが停止したとしても、医療機関は診療を止めるわけにはいきません。非常事態か否かにかかわらず、一刻を争う患者さんはいつどこでも発生する可能性があります。
また、医師が診療に集中できる環境を整えておくことも重要です。自分のやりたい医療を叶えるためにこんな運用をしたい、このような仕組みに変えられないかなど、クリニックを経営する中で見えてくる課題もあるでしょう。導入後サポートが充実しているメーカーを選んでいれば、追加機能の提案やカスタマイズを依頼することも可能です。システムという医療にとっては専門外の分野をプロにまかせられれば、医師も診療に専念できるようになるでしょう。
サポートの有無について考えるときは「コストを取るか、安心を取るか」という比較がされがちですが、「サポートにかかるコストを取るか、業務上で発生する煩雑なコストを取るか」という観点で比較することをおすすめします。
検査機器等への投資が「患者さんへの医療提供の幅を増やし、診療報酬単価を増加させるもの」だとした場合、業務システムへの投資は「より多くの患者さん診ることができ」、「残業を減らすことができる、生産性を向上させる」という意味で、とても重要な価値を発揮するものです。その目的を果たすために、サポートを受けることでより快適な診療を目指していく、という考え方もできます。
医療システムは「導入したら終わり」ではない
医療システム、特にレセコンに関しては原則、サポートに加入することをおすすめします。なぜなら医療システムは、変化する医療制度に追随し、適宜プログラムデータの更新が必要となるためです。レセコンの場合は、適宜改定がなされる診療報酬に対し、速やかにアップデートをしなければ、正しい請求ができなくなります。
レセコンが適切なレセプトを作成できるよう、アップデートを前提に作られていることは当然ですが、操作方法の変更や対応期限についてどれだけ早く情報共有してくれるのか、システム上の変更だけでなく改定内容も含めて具体的に教えてくれるのかなどについては、メーカーによって大きな差が表れます。
メーカーのサポートが手厚ければ、医師や事務スタッフが忙しいなか情報を自力でキャッチアップする手間を省くことができます。また、情報提供が遅かったために書類の修正作業が生じてしまったり、昨今活発な、医療DX推進のための補助金事業に申請しようにも申請条件をクリアするための準備が間に合わなかったりなどのリスクも回避できます。
1人あたりの業務スピードが30秒上がるだけでも、トータルでは大きな差を生み出します。生産性を向上させるという意味でも、システムの使い方を含めてコーディネートやアドバイスが受けられるサポート体制には、費用を超えた価値があるでしょう。
医療システムは「サポートを含めて」選ぶ
医療業界では、データとデジタル技術を駆使して診療・治療を行う医療DXが進んでいます。他業種や地域で情報連携を行う機会が増える中、リアルタイムで正しい情報を反映していくことが求められています。メーカーを選ぶ際には、診療報酬改定をはじめとするさまざまな法令改正の情報を正確に把握し、具体的な実地サービスに長けているかどうかという視点を持つことが重要です。
例えば、メディコムでは、レセプト点検サービス「レセプトEye」というサービスがあります。これは、医療機関様へのコンサルティングとして行っているもので、豊富な現場経験を持つ診療報酬のスペシャリストがクリニックのレセプトを点検し、病名の運用から査定・返戻対策、個別指導対策に至るまで、きめ細かな指導を行うものです。
また、メディコム製品の二次サポートを行うメディコムテクニカルセンターは、HDI-Japanが主催するHDI格付けベンチマークの「クオリティ(電話)」格付けの分野で、最高評価となる三つ星を獲得しています。
システムメーカー選びは、理想的な医療を行うためのパートナー選びでもあります。そして、信頼できるサポートがあれば、クリニックに務めるスタッフや管理職にとっても、きっと安心して長く働ける職場となるでしょう。