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「建物リース」という選択

「建物リース」という選択~理想のエリアで開業するために~

 いざ開業!理想の土地も見つかり前途洋々……と思っていたところに、地主との交渉や資金調達など、予想もしない問題が待ち受けていることもあります。ともすれば、開業そのものに赤信号がともってしまう場合すらあるのです。心に決めた土地で開業するために、開業の思わぬ落とし穴を事前に知っておくことが大切です。また、こうした落とし穴を回避する心強い手段のひとつが「建物リース」です。
 弊社は先日、シャープファイナンス株式会社の迫 圭司氏を講師にお迎えし、建物リースやその活用事例などをご紹介するセミナーを開催しました。本稿では、その内容をご紹介します。
[セミナー日時:2021年2月27日(土)※Web会議ツール(Zoom)での配信]

シャープファイナンスの医療機関向け事業について

 シャープファイナンスは、芙蓉総合リース株式会社を親会社とする金融サービス会社であり、リース事業をはじめとした幅広いサービスを提供しています。医療機関向けの開業支援等のサービスも注力分野のひとつで、レセプトコンピューターなど各種医療機器のリース、診療・調剤・介護報酬のファクタリング、集金代行システムなど、幅広いサービスをワンストップで提供できることを強みとしています。そのなかでもクリニックの開業時に大きなメリットを提供できるとして特に注目を集めているのが、建物リースのサービスです。戸建開業の新たな形態である建物リースとはどのようなサービスか、またどのようなメリットがあるのか、事例を交えてご紹介します。

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建物リースとは

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 クリニックを開業するとき、その形態は「戸建開業」と「ビルテナント開業」に大別されます。戸建開業の場合、土地と建物の所有形態にいくつかのパターンがあります。
 1つ目が、土地・建物をいずれも自己所有するパターンです。建物の建築にあたっても自分の思い通りにプランニングできるなど自由度が高い点が魅力ですが、その反面、開業時の資金調達額が非常に大きく、リスクも高いパターンと言えるでしょう。2つ目に、借地に開業医が建物を建てるパターンがあります。この場合もやはり、開業時に多額の資金を調達する必要が生じ、借地上の建物は銀行の担保評価の対象外となるため注意が必要です。そして3つ目が、土地所有者による建て貸しです。建て貸しとは、一般的には土地所有者が開業医の希望に基づき建物を建て、それを賃貸する形態です。開業医の資金調達の負担は自己所有に比べると大きく軽減されますが、建物の規模について土地所有者の意向に左右されるなど開業医が希望する条件が十分満たされない可能性がある点は留意すべきでしょう。
 こうした問題点の解決を目指し、シャープファイナンスが提案するのが「建物リース」です。建物リースは、シャープファイナンスが土地所有者から土地を借り受け、その借地の上に建物を建築・所有して、お客様に賃貸するスキームを基本とします。初期投資を抑えた開業が可能で、案件ごとに契約スキームをカスタマイズすることもできます。土地所有者との土地の賃貸借契約、建築会社との建物の建築請負契約を開業医に代わりシャープファイナンスが実施するため、事務作業の負担軽減にも有効な手段です。
 それでは、実際にどのような場合に建物リースが活用されているのでしょうか。具体的な3つの事例に沿ってご紹介します。

土地所有者が個人との借地契約を行わない場合

 Aさん(開業医)は、開業に最適な土地を見つけ、土地所有者との交渉に入りました。しかし、土地所有者はこれまで企業との契約しか実績がなく、個人との借地契約に難色を示しました。Aさん個人と借地契約を交わすであれば少なくとも連帯保証人を立ててほしいと要望があったものの、Aさんの側でなかなか適任者が見つからず、コンサルタント経由でシャープファイナンスに相談があったという事例です。
 この事例で最大の問題となっていたのが、土地所有者が企業との借地契約を要望としていたという点です。そこでシャープファイナンスが開業医に代わって土地所有者と借地契約を結ぶことで、この問題をクリアしました。さらにシャープファイナンスが建築会社と建物の建築契約を結び、建てた建物をAさんに賃貸するという「建物リース」のベーシックなスキームを活用しました。
 コロナ禍の影響か、最近では土地所有者が個人との借地契約に慎重な姿勢を示す例が散見されるようになってきたと迫氏は指摘しています。特に、立地が良く、土地所有者が上場企業である場合などには、企業との借地契約しか行わない、という例も多いようです。そのままでは借地契約を泣く泣く諦めざるを得ませんが、シャープファイナンスが契約に介在することで開業を実現することができます。シャープファイナンスの提案がメリットを最大限に発揮する事例ということができるでしょう。

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銀行からの資金調達が懸念される場合

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 Bさんは、開業予定地の土地所有者との交渉を進めていました。当初は建て貸しを希望しており、土地所有者との具体的な検討段階に入りましたが、Bさんの希望する建て貸しの想定金額が土地所有者の想定額を大きく上回っていることが判明しました。結局、土地所有者は建て貸しのリスクが高いと判断し、土地のみをBさんに貸すこととなります。そこで、Bさんは建物を含む資金調達を銀行に相談しましたが、かなりの高額であったため、銀行から一社での融資は難しいという回答を受け取りました。こうした経緯を経て、シャープファイナンスに相談があったという案件です。
 シャープファイナンスは、建物部分について建物リースを、それ以外を銀行借入とする資金調達先の切り分け提案を行いました。銀行からの資金調達額を当初Bさんが想定していた額よりも抑えることで、交渉をスムーズに進めることが狙いです。
 迫氏によると、建物リースの案件相談ではこうしたケースが非常に多いといいます。開業時の銀行融資や土地所有者の建て貸しについて、特にコロナ禍の影響もあり、慎重な姿勢を示すケースが増えています。こうした問題が生じたときにも、建物リースをうまく活用することで道が開ける可能性が見えてくるのです。

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