クリニックのための「令和4年度診療報酬改定」〈速報〉
令和4年度の診療報酬改定について、大枠の内容が明らかになりつつあります。改定に向け、クリニックではどのような準備を進めていけばよいのでしょうか。本日はMICTコンサルティングの大西 大輔様を講師にお迎えし、2022年1月末時点での速報をお届けします。
[セミナー日時:2022年1月28日(金) ]
1.改定スケジュール
令和4年の診療報酬改定に向けて、基本方針が策定されたのは2021年12月10日のことでした。12月22日には厚生労働省から改定率が発表されています。その後、中央社会保険医療協議会における諮問・答申を経て、3月初旬には告示・通知が発出され、2022年4月1日より施行されるスケジュールとなっています。
2.基本方針
社会保障審議会(医療保険部会及び医療部会)は2021年12月10日、「令和4年度診療報酬改定」の基本方針を示しました。前回(令和2年度)の改定は、超高齢社会の到来に向け、医療機能の分化・強化、連携などを進める取り組みが重視された内容となっていました。今回の改定でもこうした流れを引き継ぎつつ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で明らかになった課題を踏まえ、地域全体での医療連携をいっそう強化する視点が盛り込まれています。さらに、社会全体でのデジタル化の流れに対応した、医療体制の構築を後押しする方向性も提示されています。
改定の基本的な視点として、以下の4つが提示されています。それぞれの概要と具体的な方向性を確認しましょう。
1点目は、重点課題と考えられる「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」です。当面は新型コロナウイルス感染症への対応を継続しつつ、今後の新興感染症等にも迅速に対策を講じることができるよう、体制を構築することが求められています。医療の機能などに応じた入院医療、かかりつけの医師・歯科医・薬剤師の機能について、評価ができる内容へと改定が行われます。また、高品質な在宅医療、訪問看護や、地域包括のケアシステムの推進についても重視した内容となっています。
2点目は、「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」であり、これも重点課題として認識されています。2024年4月からは、医師等の時間外労働の上限規制適用が予定されています。これに伴い、労務管理などを目的とするマネジメントシステムの利用取り組みを推進する方向性が提示されています。また、業務効率化のためのICT利活用や、長時間労働等の勤務環境改善に向けた取り組みも評価できるよう、改定が行われます。
3点目は、「患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」です。患者の安心・安全を維持しながら、デジタル化やイノベーションの推進、新たなニーズへの対応を実現する取り組みへの評価が進められる予定です。オンライン診療、オンライン服薬指導等についても、評価を推進することが言及されています。
4点目は、「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」です。高齢化の進行が見込まれるなか、国民皆保険の維持のため、制度の安定性・持続可能性を向上させる重要性が高まっています。また、医療サービスの維持・向上と効率化・適正化の両立が必要となっています。そこで、後発医薬品などの使用促進についての取り組みが今後さらに推進される見込みです。
3.改定率
厚生労働省は2021年12月22日、令和4年度の診療報酬改定率を発表しました。プラスとなったのは「看護の処遇改善のための特例的な対応」(+0.20%)、および「不妊治療の保険適用のための特例的な対応」(+0.20%)。一方、「リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化」で▲0.10%、「小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来」で▲0.10%となり、これら以外の+0.23%とあわせて、+0.43%となりました。薬科・材料を含めた全体での改定率は▲0.94%となり、4期連続のマイナス改定です。
このほかに改革を推進する項目として、何点か提示されています。
まず、看護配置7対1の入院基本料を含む、入院医療の評価の適正化です。これは医療機能の分化や強化、連携の推進を目的としています。
また、医療の標準化に向け、DPC制度の算定方法見直しなど、包括払い方式の推進についても言及されています。
医師の働き方改革については、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されることは先ほどご説明したとおりです。診療報酬においても、これが実効的なしくみとなるよう、見直しをするとされています。
かかりつけ医機能の強化に向けた見直し、後発医薬品の調剤体制に係る見直しなども改革を進めることが説明されました。
さらに、看護職員の処遇も改善されます。地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関(救急医療管理加算を算定する救急搬送件数急を担う医療機関200台/年以上の医療機関及び三次救急を担う医療機関)に勤務する看護職員が対象となります。なお、看護補助者、理学療法士、作業療法士等も対象となるよう、柔軟な運用が認められるとのことです。
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