2023年1月26日より、電子処方箋の運用が開始されました。SNSでも電子処方箋に関する話題がトレンドに上がるなど、大きな話題となっています。そこで今回は、電子処方箋の運用開始を受け、SNSでの反応を調査しました。
電子処方箋の運用開始を受けてSNSでの反応を調査しました
本調査はTwitterでの投稿を分析対象とし、2022年2月1日〜2023年2月28日の13か月の期間で実施されました。電子処方箋のほか、マイナンバー保険証、オンライン診療などのテーマごとに、患者さんと医療従事者のそれぞれの視点から投稿数や内容の分析を実施しています。今回は電子処方箋に関する患者さん視点の投稿の分析について取り上げます。
電子処方箋の話題性やツイート内容について
今回の調査対象期間において、電子処方箋に関するSNSへの投稿数は約1万9千件でした。最も投稿が多かったのは、運用開始日である2023年1月26日の1,830件で、電子処方箋に関連した報道が多く投稿・リツイートされました。投稿は1月23日〜27日までの5日間で3,330件となり、調査期間における電子処方箋関連の投稿全体の17%を占めています。
患者さんの視点でのポジティブな投稿としては、厚生労働省による説明会動画を共有するなど、積極的に電子処方箋について知ろうとする内容が見られました。また、ニュートラルな投稿としては、Amazonによる日本での調剤薬局事業への参入は電子処方箋の導入に合わせたものではないか、といった内容など、話題となった事柄についての考えを述べた方も見られました。一方で、電子処方箋の運用開始時に対応している病院の少なさを批判する内容など、ネガティブな投稿も見受けられました。
電子処方箋に対する現時点の患者さんの反応
調査の結果、患者さんの視点では、ネガティブな意見が40%、ポジティブな意見が32%、ニュートラルな意見が27%となり、ネガティブな意見の方がやや多い結果となりました。
内容別に詳しく見てみると、「政策・制度について」「対応施設が少ない・普及に時間がかかりそう」などのトピックで厳しい意見が多く出ています。導入が進まない現状についての批判が多く出ている他、政府を厳しく批判する声が多く、マイナンバーカードが本当に必要なのか疑問視する意見も見られました。
また、「お薬手帳との違いなどの意見」、「紙の控えを渡すことへの批判」、「セキュリティの懸念」、「不安・抵抗感・メリットがない」の分野でも、ネガティブな意見が多く上がっています。ペーパーレスにはならないことへの不満やハッキングへの懸念、スマートフォンの充電が切れた際への不安などを理由に、利用しないとの意見も見られました。
しかしながら、「メリット・利便性・普及を求める声」では、お薬手帳を忘れる心配がないことに利便性を感じる投稿や、飲み合わせに関する安心感が増すといった投稿など、好意的な反応が多数見られました。特に、待ち時間の短縮に関しては既に体験した利用者から高く評価されています。
「電子処方箋の導入を契機としたAmazonの参入に関する意見」でも、利便性から好意的な反応が多く見られました。しかし、在庫の問題や発送の遅れを懸念する声も上がっています。
「意見・要望」では、システムの統一化を望む声や、電子お薬手帳も含めてアプリの統一化を求める意見、患者さん・薬局双方にメリットがあるとして自動連携を求める声が見られました。
今回は、電子処方箋の運用開始を受けて、SNSでの反応についてご紹介しました。患者さんの投稿全体ではネガティブな意見の方がやや多い結果となりましたが、電子処方箋の導入によって利便性が向上する点についてはポジティブな意見が多数となっています。特に、待ち時間短縮に関する利便性向上や、Amazonの調剤薬局事業への参入については評価する声が多くあがっています。今後、利便性の周知が進めば、電子処方箋の普及を求める患者さんからの声は更に増えていくでしょう。
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用(ウィーメックス株式会社調べ NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 プラットフォーム利用の調査)