一般(患者さん向け)

電子処方箋の導入で重複投薬防止などを実現し、患者さんに提供する医療の質を向上

電子処方箋を導入することで、より質の高い医療の提供や、より効率的・合理的な処方が可能になると言われています。また飲み合わせの確認などはできるのでしょうか?今回は、飲み合わせも含めて一人一人の患者さんに向き合った処方となる具体的な仕組みについて見ていきましょう。

患者さん対クリニック

オンライン資格確認等システムのみでは直近1か月の処方や調剤データを見ることができません。ところが電子処方箋を導入することで、直近1か月と3年分の薬剤情報を組み合わせて一元的に見ることが可能になります。クリニックは患者さんの同意のもと、他院の処方データが見られるようになり、その患者さんへの処方の傾向や注意点が分かるので、たとえ患者さんが、お薬手帳を忘れたとしても、重複投薬・併用禁忌・併用注意などを確認しやすくなります

お薬の処方時に、薬局側で後発品に薬を変更することがあります。また、過去の副作用やアレルギー、年齢や体の機能などを考慮したうえで、薬局から処方医への疑義照会後、用量や用法が変更されるといったケースも考えられます。このような変更があった場合でも、その変更後の情報をクリニックでの次回の診察時に簡単に把握できるので、より効率的な診療や処方につながります。

電子処方箋では、患者さんの直近の処方や調剤情報がクリニック側で考慮できるようになるので、患者さんはより質の高い診察・処方を受けることが可能になります。

患者さん対薬局

電子処方箋が導入されると、薬局は患者さんのお薬手帳による薬歴の申告がなくても、薬の重複投薬、併用禁忌や併用注意の薬剤投与などを未然に防げるようになります。薬局は、処方・調剤情報をリアルタイムで閲覧可能です。例えば他の薬局で痛み止めや胃薬を調剤されていても、電子処方箋の機能により薬局側で気づくことができるので、患者さんの情報をより的確に把握できます。

薬局では、患者さんに安全な投薬治療を受けてもらうために、薬剤師が二重三重に細かく確認をしています。電子化された処方情報を、複数の薬局と医療機関との間でリアルタイムに共有することで、確実かつ網羅的に確認ができるので、実効性のある重複投薬防止などが可能になるでしょう。また、使用禁忌の薬剤投与や多剤服用といった有害事象を防止する効果が期待できるうえ、患者さんの残薬解消にもつながります

電子処方箋で全国どこでも、適切な医療を受けることができる

電子処方箋を導入することで、全国の医療機関の医師や薬局の薬剤師などもその患者さんの処方・調剤情報を閲覧することができます。例えば、旅行や出張、引っ越しなどで住み慣れた地域とは異なる場所で病気になってしまった患者さんに対しても、適切な医療を提供できるようになります。また災害時に病院が被災した場合や、避難所にて患者さんが治療を受ける場合において、処方投薬をする場合も同様です。

電子処方箋を導入することにより、複数のクリニックや薬局間で、登録された患者さんの処方情報や調剤情報を共有できるようになります。その情報に基づいて新たに適切な処方・調剤が実施され、”よい”(=一貫性のある)データが積み上がります。これにより、特にかかりつけ医やかかりつけ薬局において、患者さんの経過をより正確に把握してもらえるようになります。また患者さん自身がマイナポータル等を通じて電子処方箋へアクセスができる点から、服薬管理もしやすくなるので、治療効果を実感しやすくなるといったメリットにもつながるでしょう。

今回は、電子化した処方情報を共有することで、一人一人の患者さんに向き合った処方となる、具体的な仕組みについて解説しました。今後、電子処方箋が普及すれば、さらに質の高い医療提供が可能となるでしょう。

※今後の電子処方箋の厚生労働省による仕様の進捗により、内容が変わる場合はございます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen.html
電子処方箋ページ(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen.html)の内容をもとに、ウィーメックス株式会社で独自に解釈、編集したものです。