2023年1月に運用が開始される電子処方箋制度。実際に利用することになる現場では、どのように受け止められているのでしょうか? 今回はウィーメックス株式会社が2022年1月に医師、薬剤師、患者さんを対象に実施した電子処方箋に関する調査(*)の結果をもとに、制度の認知度や期待されることなどをご紹介します。
みんな知ってる?電子処方箋
電子処方箋は、従来の紙運用による処方箋を電子的に管理する仕組みです。いよいよ2023年には運用が開始されますが、医師、薬剤師、患者さんはそれぞれどの程度この制度について認知しているのでしょうか。
ウィーメックス株式会社は2022年1月、医師1,089名(開業医234名、勤務医855名)、薬剤師1,290名、患者さん5,732名を対象に、電子処方箋に関するアンケート調査を実施しました。
この調査で電子処方箋の認知について対象者に質問をしたところ、「知っている」と回答したのは医師で約25%(開業医35%、勤務医22%)、薬剤師で42%、患者さんで19%という結果になりました。
現時点ではまだ十分な認知度に達しておらず、制度が普及するには、今後より多くの人に電子処方箋について知ってもらうことが大切だと考えられます。
電子処方箋、患者さんはどんなところに期待?
処方箋が電子化されることに対して、患者さんはどのような期待を持っているのでしょうか。同調査の「一番のメリットは何か」という質問に対して、「処方箋を紛失しない」と回答した患者さんが40%、「自身の処方薬の履歴や検診情報を一元化し自身の健康管理に利用したい」と回答した患者さんが38%となり、特に期待の高い項目であることが明らかになりました。
これらはまさに、電子処方箋が実現できる大きなメリットです。従来の紙による運用は紛失や取り違えなどをゼロにすることが困難でした。しかし電子処方箋であれば、クラウド上の電子処方箋管理サービスを介して医療機関と薬局が処方・調剤内容を確認できるようになります。
また、マイナポータル等を利用すれば、患者さんが薬剤情報を確認できるため、服薬情報等の管理が容易になります。
電子処方箋、利用時にあると便利なモノ
前述の通り、マイナポータルを利用すれば、患者さんにとって電子処方箋のメリットは増大します。このために必要となるのがマイナンバーカードです。ウィーメックス株式会社による調査では、マイナンバーカードを保有していると回答した患者さんは約70%という結果になりました。マイナンバーカード取得に対するマイナポイント付与第2弾(第1弾に申し込んでいない人が対象)が実施されていることに加え、保険証の紐づけ、公金受取口座の登録についても今後ポイント付与が予定されています。まだカードを持っていないという方は、この機会に取得を検討されるのも良いのではないでしょうか(2022年3月時点の情報にもとづく。マイナポイント付与の申請期間や条件等は、総務省のウェブサイトで詳細をご確認ください)。
一方、医師や薬剤師は電子処方箋システムの利用時には、認証や電子署名を行うICカード(HPKIカード含む)が必要になる見込み(2022年3月時点)です。ウィーメックス株式会社による調査では、開業医のHPKIカード保有率は11%、勤務医の保有率は5%(医師全体で約6%)という結果となりました。持っていない理由としては「必要性がない」と感じている医師が45%という結果でした。裏を返せば、必要性を感じれば導入を検討する見込みがあると考えることもできます。今後の電子処方箋の展開に応じて、普及が拡大する可能性もあるでしょう。
また、マイナンバーカードを使用して医師、薬剤師などの社会保障に係る資格を証明することも検討されています。実現すれば認証や電子署名を行う選択肢が増えることが期待されます。