電子処方箋のモデル事業として選ばれた山形県酒田市にあるカイエイ薬局は、2023年3月に電子処方箋のシステムを導入し、運用を開始しました。今回は電子処方箋システムの地域医療や災害時におけるメリットについて、インタビューいたしました。
現状は1日多くて5枚程度しか来ない上に、同意を得るために必要なマイナ保険証を持ってくる方の割合が非常に少なく、情報を隅々まで見ることが難しい状況です。ですので、まだフル活用できるのは、もう少し時間が必要です。
引換番号をシステムに入力して、後は一般調剤とは変わりないです。
同意を取らないと見られないので、そこがなかなかまだ実現していません。コメントも書いてありませんでした。
疑義照会くらいはありますが、こちらからコメントを残すということはまだしていません。とにかく患者さんにマイナ保険証を持ってきてもらい、同意を取らないといけないのですが、持ってきてくださる方の割合が非常に少ないので、意識を変える必要性を感じています。
はい、掲示物を貼っていますし、患者さん向けの健康講座を開催する際にはお薬のお話をしながら電子処方箋とマイナ保険証についてもお伝えしています。健康講座では、メリットや流れについてお話し、薬局に来局される方にはパンフレットを処方薬と一緒にお渡ししています。
この活動をして、10人に1人くらいが実際にやってみようと思ってくれます。強制じゃないので積極的にやろうという動きは見えません。紙の処方箋と何も変化を感じなければ、今まで通りでいいという方が多いと思います。
みんながデータを見られるようになったので、服薬指導する際の相互作用や重複投与へのチェック意識が今まで以上に高まりました。
薬剤師が重複投与や飲み合わせのチェックをできるのは良かったねと言っています。事務職の皆さんたちも入力作業自体は楽になっているかと思います。引換番号を入れれば患者さんのデータが出てくるので、入力ミスもなくなるという意識でいると思います。
また業務効率が高まって、その部分を患者さんとのコミュニケーションを図る時間に割り当てられ、重複投与を未然に防げた事案もありました。
事務職の皆さんたちが楽になったと思います。
ただ、薬剤師側としては、引換番号のファックスが病院から来ても薬の名前と総量しか分からず、用法用量や指示量は載ってこないので、引換番号を入れたと同時に調剤指示書みたいなのが出てきてくれればもっと効率がいいのかなと思います。事務職の皆さんたちの入力が終わらないと正式な調剤内容が分からないので、それに少し時間がかかる印象です。紙の処方箋のほうが、すぐに全ての処方内容が分かるので、電子処方箋でも隅々まで分かるような調剤内容が記載されたものを出せればいいかと思いますね。
事務職の皆さんが全部入力し終われば、一包化指示か粉砕なのかも全部見られますが、僅かな時間ですが待たなくてはいけないので、その点が紙の処方箋の時と少しだけ違うかと思います。
医療Maasなどもあるので、へき地のところでオンライン診療をやる際、電子処方箋になればもっと効率がいいかと思いますね。実際そうなるか分からないですが、電子処方箋になったら薬局の立地は関係ないと言っている先生もいます。将来的には、家の近くの薬局で処方してもらう患者さんが増えてもおかしくないかと思います。
すべての医療機関が電子処方箋を導入しないと、最大のメリットを発揮できないのかなと思います。
うちの薬局に来た患者さんが旅行者だとして、県外でお薬をもらっていたとしても、全部内容が分かりますし。
過去の震災で酒田市に来た方も、お薬手帳のなかった方は薬をもらうのに3~4倍時間かかりましたから。でも電子処方箋が全国に普及していれば、一発で今まで飲んでいた薬が瞬時に分かってもらえると思うので、大規模災害発生時などにも活用できると思います。
飲み合わせや重複投与のチェックがリアルタイムで出来るので、その機能を絶対使ってほしいと思います。
処方や調剤の情報は、患者さんがお薬手帳を持ってこられないと分からないので、その内容もみんなが見られるようになるのは良いと思います。
その場で最新の処方箋を貰えるというのは大きいと思います。