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「MEDICAL MOVER」に遠隔医療システムを搭載し、オンライン巡回診療を実施
高齢化が進む山口県徳地地域では、移動にかかる負担に起因した受診控えや治療離脱による患者さんの重篤化リスクが懸念されていました。また、へき地では限られた医療リソース下で幅広い専門領域への対応が必要、かつ、医師の訪問診療にかかる移動負荷も高い状況です。こうした医療課題の解決に向けて、「Teladoc HEALTH」を搭載した医療MaaS車両「MEDICAL MOVER(※1)」を導入し、D to P with N(※2)の体制を構築した事例をご紹介します。
(※1) さまざまな理由で診察や健康診断に行けない方々の健康維持・増進などの課題をモビリティで解決することをめざしたトヨタ車体株式会社の「医療MaaS車両」。(※2) Doctor to Patient with Nurseの略。遠隔地の医師が患者さんのそばにいる看護師を介して実施するオンライン診療。
ご活用施設
山口県の山間部に位置する徳地地域では、住民の高齢化率が53.4%(※3)にまで達しており、充実した医療体制の整備が求められています。また、地域住民の移動手段となる公共交通機関が限られているため、患者さんが望むタイミングで医療機関を受診することが困難です。そのため、医療機関での受診を希望されている方の受診控えや、通院困難による治療離脱を原因とした重篤化リスクが懸念されています。
こうした患者さんの通院負担を軽減するために、医師が訪問診療を行っていますが、診療所から患者さんの自宅までの移動にかかる時間も長く、限られた医療リソース下で幅広い専門領域に対応する必要があるへき地の医師にとって大きな負担になっており、持続的な医療体制の確保が必要とされています。
(※3) 出典:2021年5月発行 山口市徳地診療所整備計画(山口市)
遠隔医療システムと検査機器を搭載した巡回診療車で診療看護師(NP)が公民館などの患者集約拠点を訪問し、遠隔地にいる医師が診察を行います。
公共交通機関へのアクセスが限られたり、健康状態を理由に医療機関を受診できない方に対し、巡回診療車を活用することで通院にかかる負荷の削減、定期的な受診を可能にし患者さんの重篤化の防止・健康維持に貢献します。また、ご家族の負担や、ご家族に負担をかけたくない患者さんの心理的負担を軽減することに繋がります。
訪問診療では患者さんの通院負荷は軽減できる一方で、移動に時間を要するため、医師の限られた時間を圧迫していました。巡回診療車を活用し、現地での対応を診療看護師(NP)へタスクシフトすることで、医師の移動にかかる時間を削減し、その時間を他の業務時間にあてるなど業務効率化が可能になります。また、普段から診療で連携しているNPが現地でサポートするため、情報取得・コミュニケーションともに対面診療に近い環境での診療を実現します。
高齢者の多いへき地において患者さん自身でのオンライン診療の受診は浸透しにくい状況でした。そこで巡回診療車を活用しNPのサポートの元、オンライン診療を実施することでへき地医療にスムーズに取り入れられます。さらに、患者さんが医療を受ける頻度を増やすだけでなく、遠隔地の専門医による診療を受けることも可能になることも見込まれます。
遠隔医療に特化したシステムを活用することで、一般的なWEB会議システムでは難しい患者さんの詳細な身体状態の把握ができます。実際に患者さんに対峙して診察を行う診療看護師とのコミュニケーションも円滑にでき、オンライン診療が十分な精度で問題なく行えることが分かりました。今後はまず地元山口市徳地、そして山口県内の離島・へき地でこの取り組みを広げ、地域に健康を届けていきたいと考えます。
山口市徳地診療所長山口県立総合医療センターへき地医療支援部長 中嶋 裕 先生
「Teladoc HEALTH」を実際にご体感いただけます。