PHC株式会社

クリニック・薬局経営コラム

人を育て、夢を実現する リーダーシップと危機管理

事故や失敗は集中力の欠如から起こりやすい

 職場の危機管理を考える時、よく話題になるのは「集中力の欠如」をどうしたらいいかということです。集中力とは、「意識を集中させてしっかり見る」ということですが、気をつけているつもりでも見落としがあったり、いつの間にか意識が散漫になりがちです。
 そこで、工夫したいのは「目(眼)」の使い方です。現代人の目は、視力でいえばせいぜい1.5程度。視野もそうたいしたものではありません。そこで、もっとすぐれた働きを持つ「鳥」「虫」「魚」の眼を、自分の中に意識するのです。

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 たとえば、「鳥の眼」は、周囲を広く遠くまで見渡すことができます。「視野を広くする」「大局的に物事を見る」という状況です。また、「虫の眼」は目の前のことに意識を集中させ、小さな変化やちょっとした傾向を見分ける眼です。パイロットでいえば、操縦席の窓から空全体を見渡すのは鳥の眼で、計器盤の数値を常に監視し、変化を見落とさないのは虫の眼です。
 特に、IT化した現代は、どんな職場でもコンピューターなどのモニタリングにかかわる時間が増えています。これは「虫の眼」になります。しかし、視野を広くとり、全体を見通す必要のある時に、「虫の眼」で一点を見つめすぎたために事故が起こることも少なくありません。つまり、両者を使い分けることが非常に重要だということです。
 そして、「魚の眼」は、川や潮の流れを読む目です。飛行機にも空のトラフィックフローがあり、常に他の飛行機との距離を瞬時に把握しながらニアミスなどのトラブルを起こさない運行が求められています。
 つまり「潮目を読む」ということです。どんな仕事でも「今、どういう流れになっているのか」を見る眼があれば、流れに逆らった判断をせずにすみ、流れに乗り遅れて大きな損失につながることが回避できます。
 この3つの眼を意識し、状況に応じてうまく使い分けることが集中力につながり、現場において「よく見る」「しっかり見る」ということになるのです。

「心眼」で見極め、目的と理由・手段を間違えない

 そして4つめには、「心の眼」があります。3つの眼を統合すると同時に、何をどう行動するか、ものごとの目的、手段、理由を見極めるもっとも重要な眼といえるでしょう。
 仕事の現場では時折、目的と理由が入れ替わってしまうことが起こりがちです。たとえば、「(上司に)叱られたくないから」「よく思われたいから」という理由で仕事をするのは本質を見失っています。また、「よくやってくれたから」とか「(彼は)我々の仲間だから」という理由で人事を行うのも、正しい判断力を支える心眼が機能していないということです。
 あくまでも、「どんな事業を遂行するために、この能力を持った人を配属する」という将来の目的をもち、手段を選んでいくことが正しい判断につながります。心眼を持っているのは人間だけであり、これを活用することがリスクマネジメントとして有効だといえます。

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筆者情報

小林 宏之(こばやし ひろゆき)

1946年、愛知県新城市生まれ。東京商船大学航海科中退後、1968年に日本航空に入社。入社以来42年間一度も病欠、自己都合でスケジュールを変更せず。乗務した路線は日本航空が運航した全ての国際路線及び主な国内線、総飛行時間は18,500時間。首相特別便機長や湾岸危機時の邦人東南アジア人救出機機長などを務め、2010年3月に日本航空退職。現在は、日本航空機操縦士協会の副会長、慶応大学大学院の非常勤講師を務める傍ら、危機管理・リスクマネジメントの専門家、航空評論家としてメディアや講演会などで活躍中。著書は『機長の集中術』『機長の健康術』『JAL最後のサムライ機長』『ザ・グレート・フライト〜JALを飛んだ42年』など。

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