Medicom

コラム
特 集 医療テック 経営アイデア
お役立ち情報
イベント・セミナー お役立ち資料
  1. PHCグループ
  2. [ウィーメックス]メディコムTOP
  3. メディコムパークTOP
  4. 経営アイデアコラム一覧
  5. 事業計画書の作成方法と作成の流れ

クリニック開業 医師 事務長 2023.01.23 公開

記事をプリント
Twitter Facebook

【クリニック開業】事業計画書の作成方法と作成の流れ

事業計画というと、難しく感じる先生も多いかもしれません。しかし、実はそんなに難しいものではありません。先生自身が、自身のクリニックをどうしたいのか、どのような診療方針で診療を行っていくのか、そのために必要なリソースは何か。これらを順序立てて考え、文章に落とし込んだものが「事業計画書」です。では早速、作成手順を見ていきましょう。

※本内容は公開日時点の情報です

#事業計画

目次

クリニック開業に欠かせない事業計画とその理由

まず、先生の目指すべき診療を思い描いてみてください。その診療を実現するためには、どこに開業し、どのような診療所を構え、どのような医療機器が必要なのか。これらを具体的に挙げていく必要があります。

なぜ事業計画を立てる必要があるのか

事業計画は、事業を運営するための道筋を立てるほか、融資を受けるためにも必須となるものです。

先生が思い描く診療を行うためには、クリニックの建設(または賃借)や医療機器の購入(リースを含め)が欠かせません。賃貸で開業するにしても、内装工事費や医療用備品費、運転資金が必要になるでしょう。多くの場合、これらの資金をつくるためには融資を受ける必要があり、融資には事業計画の作成が必須となります。

そして、融資を受けると、それに見合った利息を支払わなければなりません。また、融資金額が増えるにつれて、毎月返済しなければならない元本も増えていきます。これらの支払いは、日々の収入の中から行います。先生の可処分所得を圧縮する結果にもなりかねませんから、事業計画で返済計画までしっかりと立てていくことが大切です。

イメージ

頭の中の考えを書き出す

事業計画では、先生が思い描く診療を行うための、経営基本計画を策定する必要があります。まずは、経営理念を決めましょう。難しく考える必要はなく、先生がこのクリニックを通して実現したいことを記載してください。いわば、先生の考え方そのもの。この経営理念に沿って、そのほかの計画を策定していきます。

また、診療方針も定める必要があります。例えば「笑顔でみんなを元気にする」という経営理念を掲げたら、患者さんが病気にならないクリニックを目指すのもありでしょう。

そうすると、病気にならないための予防医学を、診療方針にするという考え方もあります。これらを考えると、どこに開業して、どのくらいの設備を入れるかが明確になり、そのための資金調達をどうするのかが、当面の目標になっていくでしょう。

最終的には税理士事務所やコンサルティング業者などの手を借りて、立派な書類の形になるかもしれませんが、そもそもは、クリニックにかける先生の思いや将来の展望を伝えるためのもの。つまり、その原型はすでに先生の頭の中にあるはずです。

まずは箇条書きレベルでよいので、ご自身が開業することの意義やクリニックの将来像、収益目標などについて書き出し、整理してみましょう。文章化・数値化することで、漠然としていたプランが、だんだんと具体化されていきます。

もし計画書の作成を業者に依頼するつもりでも、このアイデア整理の工程だけはぜひご自身でなさってください。きっとこれは、先生にしか作れないものです。

専門家が作成した事業計画では先生自身が腹落ちできず、思い入れのない事業計画になり、やる気が出ないのではないでしょうか。先生が事業計画書に魂を込めることにより、より精度の高い計画書が最初から期待できますし、融資の審査面談時にも慌てることなく受け答えができるはずです。

理想の経営を実現するための事業計画書の書き方

経営計画の目的は、資金調達を実現することです。もちろん、この部分も重要ですが、それ以上に重要ともいえるのが、その後の資金の返済です。返済は自身のクリニックの利益からしていくこととなりますから、この部分を押さえておく必要があります。

計画は徐々に練り上げていく

イメージ

まずは、クリニックの立ち上げから見ていきましょう。まずは、漠然とで構いませんので、将来像を思い浮かべてみてください。

次第に頭の中の整理がついてきたら、事業計画の大枠を策定してみましょう。もちろん、いきなり完璧なプランを目指さなくても結構です。この部分が、経営計画の肝になる部分で、先生の思いが入った部分となります。

ただ、「どこから見ても隙のない構想にせねば」と肩肘張るのではなく、まずは「計画の足りない部分を発見するため」くらいに捉え、お知り合いの開業医やコンサルタントなどに相談しながら練り上げていくことをおすすめします。

彼らは先生の思いを現実に変えるために必要な頭脳になります。大雑把にいうと事業計画は、経営基本計画・資金計画・収支計画から構成されます(もっと細分化する考え方もありますが、最初はこのぐらい大まかに捉えていた方がわかりやすいでしょう)。

経営基本計画とは、経営理念や診療内容、開業場所など、クリニックの根幹に関わる構想部分。「なぜこの場所にクリニックを開設するのか」「どのような診療で地域に貢献しようと考えているか」が明確に伝わるようにしておく必要があります。

同様に、資金計画・収支計画には、「開業にあたって、何にいくらのお金が必要か」「それらをどう調達するのか」「どれくらいの利益が見込めるか」「返済スケジュールはどうなるのか」などについて明らかにしておかなければなりません。

バックナンバー(『クリニックの開業資金はどのくらい必要?初期投資と運転資金』)も参考にしてください。特に、返済スケジュールには注意が必要です。予想通りの収益が上がらないなど、返済ができなくなると大変なことになりますので、この部分は特に注意しておいてください。

資金調達に必要な書類と計画の立て方

資金調達を行う場合に最も重要なのは、事業計画書とそれに付随する資金計画書です。事業計画と資金計画が、妥当で無理のない数字であるか否かが確認されます。

次に重要なのは、診療圏分析です。診療圏分析は、返済計画に妥当性があるか否かを判断するために重要なファクターとなります。新規開業の場合、すでに診療圏分析を実施していると思いますので、その結果を提出してください。

このほか、クリニックを建設・購入する場合は、工事費がわかる見積書などの資料が必要になり、すでに着工されているのであれば、建物工事請負契約書などが必要になります。また、賃借する場合であれば、建物賃貸借契約書が必要となりますのでご準備ください。

事業計画書作成のポイントと費用の見積もり方

ここまで、先生の思いを中心に事業計画書をまとめてきましたので、この先は客観的な視点で、その妥当性をブラッシュアップしていきます。プロの支援が必須となるパートですので、どのように進めていくべきかを見ていきましょう。

運転資金や初期投資費用の見積もり方

資金計画を考える上でまずは、医療機器や人材、開業資金が必要になってきますので、自己資金や借入金による調達を考えなければなりません。自己資金はともかく、借入金によって準備した開業資金には返済が必須となります。

返済は、基本的にクリニックの利益から返済することになりますので、一連の流れのバランスを見ていくことが重要です。例えば、返済し切れない計画になっているようなら、もっと収益が得られる場所での開業を考える必要があるかもしれません。

あるいは、初期投資を減らして、よりコンパクトなクリニックを目指すべきなのかもしれません。診療圏分析で得られた収益予想は絶対的なものではありませんので、計画を下回った場合でも資金が回るように、余裕を持った計画が必要になります。

貸し主の視点で計画を検証

診療圏分析の時点では、実際に診療を行っているわけではありません。つまり、これまでの実績がないため、創業時の事業計画は「未来予測」の側面が非常に強くなります。すなわち融資を受けようとする際は、担当者を説得できるほどの客観的な根拠が必要だということです。

しかし、「お金のプロを説き伏せるなんて」と諦めることはありません。逆に先生が開業志望者へご自身の資産から「お金を貸すとしたら」と想像するとよいでしょう。

クリニックの優位性や将来性、利益率や返済能力について、具体的な数字の裏付けがほしいと思うはずです。この貸し主サイドに立ったときに自然と湧き上がる疑問について妥当性のある解答を先回りして用意しておくことが融資成功率の高い事業計画の秘訣といえます。

確かな予測の数々で綿密に練られたプランほど、実現可能に思えるものです。ご自身の事業計画をチェックする際は、借り主だけでなく、貸し主の視点でも検証しておくことを強くおすすめします。

また、先生が地元出身であれば、地の利を活かして患者さんを集客できるかもしれませんし、先生自身がある程度有名であれば、それも有利に働くかもしれません。数字に表せないアピールポイントを見つけ出し、数字とともにアピールしていきましょう。

事業計画の検証は専門家へご相談ください

事業計画書の作成は非常に大変ですが、金融機関への融資の相談、開業後の経営方針などに影響するため、必要不可欠です。特に、資金繰りの面は非常に重要になります。資金ショートを起こしてはクリニック自体の存続と、先生の信用にも影響が出かねません。事業計画は専門家であるプロに依頼し、検証していただくことをおすすめします。

大まかに見て資金が回っているように見えても、診療報酬が支払基金から入金されるまで約2カ月かかるなど、細かい差異が生じることもあります。また、医療機器は、借り入れを行って購入するか、リースにするかの判断に迷うことも多いです。事業計画の精度を上げる意味でも、専門家への相談を検討してみてください。

まとめ

クリニックを経営される上では、予想できないアクシデントが起こることも考えられます。クリニックを開業し運営を軌道に乗せるためには、プロに相談してサポートしてもらうことを強くおすすめします。そのほか、今後、クリニック経営を行っていく上で、お困りごとが出てくるかもしれません。定期的にプロの診断を仰ぎ、助言をもらえる体制づくりを検討してみてください。

著者情報

竹中 啓倫

竹中 啓倫

税理士・米国税理士・認定心理士
上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。

  • メディコムのオンラインデモメディコムのオンラインデモ

経営アイデア記事一覧へ


イベント・セミナーEVENT&SEMINAR

お役立ち資料ダウンロード