社会の取り組み

サステナビリティ項目に対応する
取り組み

マテリアリティ KPI 目標値
事業の発展を支える
ヘルスケアイノベーションの創出
PHCグループの特許出願件数(意匠、実用新案含む)
PHCグループで保有する登録特許件数(意匠、実用新案含む)
新製品・サービスの上市数
成長領域における売上高(先端治療開発ソリューション・デジタルヘルスソリューション・個別化検査・診断ソリューション) 2025年までに860億円
製品の安全性と品質への責任 FDA warning letterの件数 0
リコールを実施した件数
サプライチェーンマネジメントの強化 PHCグループサプライヤーサーベイの回答率 95%
医療アクセスの改善 新興国・途上国における売上
活力のある組織文化の醸成 管理職のジェンダーダイバーシティ 2030年までに女性30%以上
従業員エンゲージメントサーベイスコア 前年比1ポイント以上改善
従業員の教育及び能力開発の充実

社会の取り組みに対する基本姿勢

PHCグループが特定した「社会」のマテリアリティは、当社グループの経営理念である「新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献」し、バリューベース・ヘルスケアの実現に向かって、事業を通じてどのように貢献するかを表したものです。
我々はヘルスケアイノベーションの創出を通じて新しい価値を創造するとともに、ヘルスケア業界において人々の健康に直接携わることの重大性を認識し、製品の安全性及び品質への責任を果たすことが最重要と考えています。高品質・最先端の製品をご使用いただき、新規治療法の開発等を通じて、医療の質の向上に貢献します。また、新興国・途上国での拡販を通じ、より多くの方々に医療や医薬品を届けることができるようになり、医療アクセスの改善にも繋がると考えています。

また、お客様が安心して使える製品・サービスを提供するために、サプライチェーンの強化も重要課題と捉えています。メーカーとしての供給責任の遂行と責任ある調達の実施は、グループを挙げて取り組んでまいります。
社会に価値を届ける事業活動の主役は従業員です。我々の強みの一つである多様な人財がいきいきと働ける職場を作っていくことが極めて重要であり、今後も様々な施策を通じて従業員に活力のある組織・文化の醸成を推進していきます。

事業の発展を支えるヘルスケアイノベーションの創出

目指す姿

経営理念にもあるとおり、イノベーションの創出は我々の価値の源泉です。PHCグループにはこれまでに培った独自の技術があり、従来の技術に満足することなく、たゆみない努力により更に進化させていきます。一方で自社技術をかけ合わせることで新しい価値の創出に可能性がある場合は、大学や研究機関、ビジネスパートナーと積極的に協業していきます。
このような様々なアプローチにより、特許や新製品・サービスを創り出していきます。

取り組み事例 ①

超低温フリーザー「VIP ECO SMART」

超低温フリーザー「VIP ECO SMART」は、ハイエンドモデルとして「世界最高レベルの省エネ性能」と「利便性の更なる向上」という、2つの高いハードルを乗り越え、製品化を実現しました。
省エネ性能については、業界トップクラスの状況から更に他社の追従困難な省エネ性能の限界に挑戦した結果、北米モデルでは国際エネルギースタープログラムにおいて、米国環境保護庁が定めた消費電力の基準を満たす製品として「ENERGY STAR」認証を取得し、国際基準で他社を凌駕する業界No.1※1の省エネ性能を達成しました。

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利便性を向上させる新規機能については、様々な認証機能(顔認証/NFC認証※2/パスワード)を搭載することでセキュリティを強化し、多様化する顧客ニーズに対応しました。また、機器の状態をより正確に把握するための各種センサーを搭載し、クラウド接続可能なモニタリング機器を接続することで、機器の状態を一括管理することができます。このモニタリング機器の接続により、クラウド経由での本体ソフトウェアのアップデートも可能になりました。これらにより安心・安全な運用をサポートすることができる製品を実現※3しました。
更に、設計の共通化を図った新しいプラットフォームの開発により、工数削減、グローバル展開や各種ライフサイエンス機器へのプラットフォーム展開が容易に実現可能となりました。

※1 Global Assessment of Life Science Equipment Market 2022 (Frost & Sullivan) ※2 日本、北米、欧州向けモデルのみ対応 ※3 現時点では、米国のみで展開。

取り組み事例 ②

3DHISTECH社とのイノベーションセンター設立による研究開発活動の加速

「Pathology Innovation Incubator」はエプレディアホールディングスとデジタル病理のビジネスパートナーである3DHISTECH社との共同出資により2023年3月に設立しました。両社の長年における知識、技術の共有により「今日のアイデアを明日の診断ソリューションに」をスローガンに主に免疫組織化学染色(IHC)の研究開発を行っています。

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がん診断はより複雑かつ精密になってきています。がん診断は通常、生体組織を2色に染色して細胞・組織の形態を観察することで行われます。一方、IHCでは生体組織内にあるタンパク質を個別にマーカーで染色・視覚化することができます。発現しているタンパク質の種類を詳細に調べることで、がん診断において良性/悪性やステージの判断の他、どの臓器から転移してきたかが分かったり、医薬品開発においてどの程度薬の効果があるか評価できる非常に重要な手法です。
腫瘍が疑われる組織を従来は顕微鏡で観察して診断していましたが、近年はスキャンしてデジタル画像としてパソコン上で観察するデジタル病理が広まってきています。3DHISTECH社はデジタル病理の領域で高品質の製品を開発・製造するリーディングカンパニーです。エプレディアホールディングスは生体組織を観察できるように処理・染色するのに必要な機器・試薬・スライドガラスのグローバルリーダーであり、「がん診断の精度向上により医療の進歩に貢献する」ためにデジタル病理でパートナーシップを結んでいます。IHCにおいてもそのパートナーシップを発展させ、がんの精密診断に新しいイノベーションを起こすための取り組みを推進しています。

製品の安全性と品質への責任

目指す姿

PHCグループでは顧客要望や法令・許認可の要求等品質ニーズを製品・サービスづくりに反映させ、有効かつ効果的な品質マネジメントシステムを推進します。その中で特に以下の3点に注力します。

  • 「お客様起点」の製品・サービスづくり
  • 有効かつ効果的な品質マネジメントシステム推進
  • 「品質最優先」の意識と行動

取り組み事例

「品質最優先」の考え方に基づいた有効かつ効果的な品質マネジメントシステム推進

各事業はISO 9001やISO 13485等の認証を取得し品質マネジメントシステムの重要要素をシステムに落とし込んで運営をしています。各事業において品質マネジメントレビュー会議等で経営層参画のもと開催し、品質に対して最優先の考えで取り組んでいます。”Bad news first/fast”の考えで、お客様及び現場の従業員の声を大切にし、自主回収のような問題を予兆の段階で是正・予防(CAPA; corrective action and preventive action)できる体制及び環境づくりを目指しています。

「お客様起点」の製品・サービスづくり

各事業において、お客様の声(VOC; voice of customer)を様々な仕組みで収集しています。頂いたフィードバックを製品・サービス開発に生かしています。

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サプライチェーンマネジメントの強化

目指す姿

PHCグループでは、サプライチェーンにおいて、調達先企業様は「お客様に価値をお届けする製品・サービスづくりのパートナー」という考えのもと、調達先企業様にも当グループの経営理念をご理解いただき、CSRをともに実現していくことを目指しています。

取り組み事例

CSR調達ガイドライン

国際社会からの要請を反映し、人権・労働、安全衛生、環境、企業倫理・コンプライアンス、情報セキュリティ、品質・安全性、社会貢献、マネジメントシステム等のCSR項目を明確化し、ウェブサイトにも掲載しております。これらのCSR項目を順守した事業活動を調達先企業様と一体となって推進することで、人権尊重、環境保護、公正な取引等の社会的課題の解決に取り組みます。
本ガイドラインは、PHCグループにおけるサステナビリティ活動の“誠実な企業活動”を目指し、調達元企業様との協働によるCSRの実現への指針となります。

サプライヤーサーベイ(CSR調達の自己評価アンケート)

アンケート調査の結果をもとに、調達先企業様とともに社会・環境に関する課題を認識し、その活動取り組みの進捗状況を把握しています。

サプライヤーミーティング(日本国内)

直接購買となる主要調達先企業様を招き、PHCグループ全体の活動取り組みや各事業におけるトピックを共有する会合を開催させて頂いております(開催日は年単位で不定期)。同時に懇談の場も企画し、事業の壁を超えた情報収集や、日常のコミュニケーションを越えた機会が増やせるような事も心がけています。

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サプライヤーミーティング
(2023年度実績)
出席社数:138社
出席者数:207名

サプライヤーミーティング(インドネシア)

PHCインドネシアが主体となり主要調達先企業様を招き、PHCグループ全体の活動取り組みやインドネシア調達活動を共有する会合を開催させて頂いております。(開催日は年単位で不定期)現地調達のメンバーとともに、日本メンバーも参加し、国を超えた情報収集やコミュニケーションの機会を心がけています。

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サプライヤーミーティング(2023年度実績) 出席社数:52社

医療アクセスの改善

目指す姿

医療アクセスの格差は、現在のヘルスケア業界を取り巻く課題の一つです。国によって受けられる医療の質に差があるという格差の他に、先進国の中で見ても都市部と地方、過疎地でもそれぞれに差があります。
PHCグループは、様々な製品の新興国・途上国への拡販により、より多くの人々に医療・医薬品が届く社会づくりに貢献します。また、地方や過疎地にいながらデジタル機器を通じて都市部の医師と繋げることで、都市部と同等の診断・医療が受けられる遠隔医療の取り組みも推進し、医療アクセスの格差改善に向けて取り組んでいきます。

取り組み事例

Teladoc HEALTHは、医師主導でリモート操作可能なリアルタイム遠隔医療システムです。「あらゆる現場で、いつでも簡単に繋がる安心を」をコンセプトとし、専門医の少ない医療機関と遠隔地の専門医とをオンラインで繋ぎます。以下のような様々な遠隔医療のシーンで活用されています。

  • へき地医療
  • 周産期/新生児医療
  • 救急/集中医療
  • 災害医療
  • 感染症対策
  • 在宅医療 等

「住民・医師の高齢化や医療リソースの不足等が顕在化している地域において、遠隔医療システム活用によるD to P with N※1でのオンライン診療実施」等があげられます。効果としては、患者さんの移動負荷の軽減、医師不在時におけるバックアップ体制構築等があります。

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また、へき地では限られた医療リソースのもとで幅広い専門領域への対応が必要かつ、医師の訪問診療にかかる移動負荷も高い状況です。こうしたへき地医療の課題解決に向けて、遠隔医療システムを搭載した医療MaaS車両「MEDICAL MOVER※2」を活用し、オンライン診療の実証実験を実施しています。
更には、医療の質を変えず、医師の働き方改革を実現することにも寄与するものと考えております。
今後の展開としては、医療機関との連携を拡大するとともに、シナジー効果を見いだせる他社との連携にも取り組んでいきます。

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  • ※1 Doctor to Patient with Nurseの略。遠隔地の医師が患者さんのそばにいる看護師を介して実施するオンライン診療。
  • ※2 様々な理由で診察や健康診断に行けない方々の健康維持・増進等の課題をモビリティで解決することを目指したトヨタ車体株式会社の「医療MaaS車両」。

活力のある組織文化の醸成

目指す姿

私たちは、個々の従業員の成長こそが当社グループを発展させる原動力であると考えています。そのために、多様な人財が新たな技能・技術を学び、イノベーションを創出し、チームの一員として課題を解決し、グローバル規模で各自の成長を実感できる、活気にあふれた働きやすい職場づくりを目指しています。そのための活動方針として「多様性の尊重」「連携の基盤づくり」「人財の活性化」を3つの柱と掲げています。

取り組み事例

多様性の尊重

  • 事業間でシナジーを起こせる人財を育成するために、国内外及び法人・事業部間での人財交流を実施しています。
  • グローバルに採用を強化し、多様な能力や経験をもつ人財を増やすとともに、多様な従業員が活躍できる環境をより充実させていきます。

連携の基盤づくり

  • グローバル人事システム導入により、国や事業を跨いだ人財の連携や次世代幹部の育成をシームレスに実現できる体制を構築します。

人財の活性化

  • グループエンゲージメントサーベイや経営幹部との定期的なタウンホールミーティング等を実施し、従業員とのコミュニケーションを通じ、働きがいを高める取り組みを行っています。
  • メンター制度を通じ、キャリア構築を自ら行う自律的な人財の育成・成長を支えています。
  • 各種社内研修制度に加え、外部研修費用や資格取得に対する補助制度を通じ、個人の主体的なチャレンジ・成長を支援するための環境を整備し、能力開発の機会を提供しています。